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1話 視エル少女
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幼い時から時々、可笑しなものを見た
友人や家族には見えない彼らは妖怪と呼ばれるものの類__。
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私「 おばあちゃん、おはよう 」
祖母「 おはよう伊吹、はい 誕生日プレゼント 」
私「 え、気にしなくてよかったのに…. 」
祖母「 何言ってるんだい、誕生日は誰にとっても大事な日なんだよ 」
私「 ….ありがとう、大切にするね 」
祖母と二人暮しの私、羽澄伊吹( ハズミ イブキ )
初夏を感じ始めた今日、誕生日を迎えました。
祖母「 それでね、こんな日に悪いんだけど相談があってね 」
私「 相談、? 」
祖母「 実はおばあちゃん、もうあまり長くないみたいなの 」
私「 え? 」
祖母「 それでね、貴方の父の遠縁にあたる方が伊吹を引き取ってくれると連絡を貰えたのよ」
私「 おばあちゃん、何言っているの? 私、ここに居たい、離れたくないよ 」
祖母「 ごめんねぇ、伊吹 」
ピンポーーン
祖母「 少し出てくるね 」
私「 ま、待って…. 」
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祖母「 和田さん、こんにちは 」
和田「 お久しぶりです、伊吹さんは?」
祖母「 今、丁度お話が終わったところですよ。少し困惑していますが…. 」
和田「 そうですか。羽澄さんお身体の方は? 」
祖母「 一週間後から入院予定です、本当にご迷惑をお掛けします。」
和田「 いえいえ、そんな….。我々も彼に助けられた事が何度もありますし、これくらいお安い御用です 」
祖母「 なんとお礼を言ったら良いか…. 」
和田「 伊吹さんの事はお任せ下さい 」
祖母「 えぇ、頼みます 」
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私「 …. 」
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和田「 こんにちは、伊吹さん 」
私「 こんにちは 」
和田「 手続きはこちらが責任もって行うから….、引越しの準備だけお願いできるかい?」
私「 はい 」
祖母「 伊吹、手伝うわよ 」
私「 …. 」
祖母「 ….ごめんね、本当にごめんなさい。でも、分かっておくれ 」
私「 …. 」
私には見えていた
祖母に潜んでいた黒い影に。
私「 うん、分かってるよ 」
祖母「 ありがとう、ありがとう伊吹 」
泣いている祖母は私をそっと抱きしめた
そして私も抱きしめ返す。
和田という男の傍にいる妙な影をふと目の端に
置いておきながら__。
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数日後
私「 ふぅ…. 」
祖母「 だいぶ片付いてきたねぇ 」
私「 そうだね 」
カタッ
私「 ? 」
祖母「 どうかしたのかい? 」
私「 ううん、何でも 」
祖母「 伊吹は本当に道春と似ているわね 」
私「 またその話? クスッ 」
祖母「 道春はね、何も無いところで驚いたり、 転んだり、話していたり 」
祖母「 周りからは “ 可笑しなひと ” って言われていたわ、でも 」
私「 とても優しい人だった、だよね? 」
祖母「 えぇ 」
私「 ….少し、外行ってくる 」
祖母「 行ってらっしゃい 」
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私「 …. 」
道春とは、私と父の名前__
父は昔から “ 妖怪 ” というものが見えていた。
そして血筋を継いでいる私もまた
妖怪が見えていた
私「 …. グスッ 」泣
私( ここから離れたくない )
?「 そこの小娘、何故泣いているのだ? 」
私「 ! 」
?「 聞こえているのだろう?小娘 」
私「 …. 」
?「 おい、顔を上げろ小娘 」
私は俯いていた顔を上げず、ただ声の主が去るのを待ち続けた。
?「 小娘、私はその家にいる祓い屋とは違う 」
?「 だから顔を上げろ 」
私( 祓い屋….?)
私はゆっくり顔を上げ、声の主の顔を見る
私「 ….!」
思わず息を呑んだ。
そこに居たのは今までに見たことのない程の
とても美しい妖怪だったから
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私「 …. 」
?「 何だ? 我の姿に見惚れたか?」
私「 うん 」
?「 ….今、なんと 」
私「 貴方、とても綺麗ね ニコッ 」
?「 ! 」
私「 名前は?」
?「 フン ッ、人間に教える訳無かろう 」
私「 私は羽澄伊吹、好きに呼んでいいよ 」
?「 …. 」
私「 ねぇ、貴方の名前は? 」
?「 ….美凰( ミオウ )」
私「 みお? 」
?「 み・お・う・だ!この生意気な人間め 」
私「 ふふ、美凰ね 」
私「 それより、どうして私が妖怪を視えるって分かったの?祓い屋って? 」
美凰 「 オマエ、何も知らぬのか? 」
私「 ? 」
美凰 「 私が小娘を一目見た瞬間、今まであった人間の中で妖力が最も優れていると確信したぞ 」
私「 そんなの誰にも言われたことなかった 」
美凰「 普通の人間には分かるまい 」
美凰 「 妖力とは元は妖( アヤカシ )が持つものだ 、人間には無い力であり、それは祓い屋にしか分からん 」
私「 ??? 」
美凰 「オマエ、今幾つだ?」
私「 今日で13歳 」
美凰 「 何だ、まだ幼子なのか。 そういえば…. 小娘、オマエ何故泣いていたのだ?」
私「 …. 」
美凰 「 何だ、言ってみろ 」
私「 えと…. 」
私は数日前に起きたことを話した
私「 私、あの和田って男の人….苦手 」
美凰 ( あの祓い屋、和田というのか ….ふむ )
美凰 「 おい、小娘 」
私「 私、羽澄伊吹 」
美凰 「 ….伊吹 」
私「 うん、なに? 」
美凰 「 私がオマエを守ってやろうか? 」
私「 ? 」
美凰 「 恐らく、その和田って奴はお前を祓い屋にする算段だろう 」
私「 何で?」
美凰 「 妖力が強い者が入れば、何かと都合が良いからだ 」
私「 ふぅん….?」
美凰 「 オマエはまだ無知だ、危険な事も多々あるだろう ….どうだ? 」
私「 よく分からないけど ….一緒に来てくれるの?」
美凰「 嗚呼、約束しよう 」
私「 !! 」
タタッ
ドサッ!( 抱きしめ )
美凰 「 おい、オマエ….!! 」
私「 ~ ッ、嬉しい!ありがとう 美凰 」
美凰 「 …. 」
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私「 じゃあ、私帰るね 」
美凰 「 私は妖だ、守ると言ったからには傍にいれるし、呼べばオマエに従う。後は勝手にしろ 」
私「 ….じゃあ、帰ろ?美凰 」
美凰 「 あぁ 」
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言葉一つで主従関係を結んだ 伊吹と美凰 。
美凰が従う理由とは一体?
そして
二人のこれからの行方は__?
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