「おはよう!」
テストを受ける為に学校に行けば
玄関でしょーくんが待ってくれていて
軽く挨拶を交わした。
「西田、あ、瀬戸内さん。珍しいね。」
「…テスト、…受けなきゃだから、…。」
「あぁそっか。」
「でも私、保健室で受ける、。」
「教室はしんどいよねー。」
「うん、。」
「帰り、送ろうか?」
「んー…迎え来てくれるって、。」
「玲くん、…?」
「の、お友だち。直弥さん。」
「じゃあ安心だね。」
「でしょ?」
保健室に行くのも
保健室のドアをノックするのも
怖くて無理だって言ったら
しょーくんがついてきてくれて
保健室でふたりとわかれた。
保健室の先生には
担任の先生から説明がされていたみたいで
快く受け入れてくれた。
テストが終わって
廊下が騒がしくなる。
どうしよう。出ていけない。
帰る準備をしながら 内心パニックで
冷や汗が背中を伝う。
「海ちゃん、迎えに来たよ。」
「ぁ、しょーくん、。」
「今人多いから、ちょっと待とっか。」
「…うん、。」
しばらくして廊下が静かになった頃
担任の先生が直弥さんを連れて
保健室に来た。
「帰れそう?」
「うん。」
「じゃあ帰ろっか。」
「うん。」
「西田、ありがとうな。気にかけてくれて。」
「いや、大したことしてないんで。」
「じゃあ俺も帰ります。」
「海ちゃんまたね!」
「うん。しょーくんまたね。」
生徒玄関でお別れをして
直弥さんの車に乗り込めば
『テストどうだった?』って聞いてきた。
「まぁそれなりに、。自信はないけどね。」
「そっか。」
赤点は35点。
なんとしてでも赤点は避けたい。
「ただいま、」
「おかえりー。テストどうだった?」
「自信はないけど出来たよ。たぶん。」
「お昼作ってあげるから手洗ってきな。」
「うん。」
手を洗って
いつも哲汰さんと座る
カウンター席に座れば
「はい、いつものね。」
って、いつものセットが置かれた。
「海さー、食に関心ないよね。」
「作る方にしか興味ないもん。」
「んはは!素直でよろしい。」
料理は小さい頃から
母に教えられていた。
そのせいか
中学時代兄の部活の影響で
家をあけがちな状況でも
私ひとりで留守番はできた。
作る楽しさを知ると同時に
食べてもらうことに対する
楽しさにも気付いた。
友だちに手料理を振る舞って
調理実習ではみんなのお手本になって
料理に関することは
誰にも負けたくないと思うようになった。
上には上がいる。
実際私は玲くんを尊敬している。
料理に関する知識も
その他のことに関しても
知識が豊富な玲くんだから
私には勝ち目なんてないんだ。
「いただきます。」
決まったもの、ハマったものを
一定期間食べ続けてしまったり
飽きるまでずっとエンドレスなのは
昔から変わらない
冒険はしたくない性格のせいだろう。
困ることはないし
カフェでの食事がこうなだけで
普段の食事はもう少し、色々食べている。
ただ、キノコ類とトマト、貝類
その辺が本当に食べられなくて
食べられるものが決まっている。
好き嫌いが多いせいで
いつも玲くんには迷惑をかけているから
少しでも力になれればいいなって
密かに玲くんの後を追っている。
私も玲くんと同じように
いつか玲くんの隣に立って働きたい。
このカフェは
私を助けてくれた場所だから。
玲くんと厨房に立って
あれこれ試作を重ねて
新作メニューも作りたい。
私は玲くんと同じ道を歩みたい。
もっと料理がしたい。
いろんな人と触れあいたい。
玲くん
素敵なカフェに出会わせてくれて
ありがとう。
おかげで私
今、すごく幸せだよ。
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