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……かれこれ小一時間くらいは経つんじゃなかろうか。
ひとつの村から抜け出せない……と言うよりかは、、
「ずーっと、同じとこ歩いてるよね?」
スマイリーくんが独り言のように言った。確かにその通りだ。ここまで一本道だった筈なのに、グルグル回っているのは村の構造としてあまりにもおかしい。
そもそも村の入り口はあるのに出口は無いなんておかしな話ではないか。
「これ、敵の罠にもうハマってるんじゃない?」
もうとっくに食べ尽くして残ったりんごの芯は早くも酸化して変色しつつある。
「幻覚見せる系の敵とかいないの?」
「それが……情けないんだけど、敵の人数も戦い方も何も情報がないんだよね…。」
おいおいそれでも元YouTuberか。YouTuberは情報が命みたいなもんでしょうが。
「でさあ、ずっと言おうと思ってたんだけど」
僕は勿体ぶって口を開く。
「なんかいるよね?」
それも目の前にね!!
「なにこれ!!お化け!?」
「んーわかんないけどなんだろー。サクッ」
サクッ?
まるで白菜でも切るような慣れた手つきでスマイリーくんが腰についたダガー(短剣)を使いオバケを一刀両断していた。
え?え??
切った瞬間ドロドロと溶けたお化けは数秒後には跡形もなく消えていて、その代わりと言わんばかりにマリオのコインみたいなものが数枚落ちていた。
これって…
「なろくん!!みて!これがここの通貨」
このちゃっちいのが?
「ちゃっちくないよ!そっちの日本通貨だって同じようなものでしょ?」
昔やってた子供銀行のコインみたい。懐かしいな。
そんなことを思いながら僕はコインに触れようとしてみる。
ばちんっっ!!
「痛っっ…!!」
手首に激痛が走り脊髄反射で手を引く。
先程スマイリーくんが言っていた財布とは、こういうことなのだろうか。
「なろくんは手違い迷子勇者だからさわると感電状態になるのかも」
冷静にスマイリーくんが分析する。
「てっ、手違い迷子勇者……」
勇者なろ屋、まだまだ苦労の道を行く。