妖はじ
隊晴
『彼ではない君』
注意
めちゃくちゃ自分得の話
下手
今作品は単行本14巻までのネタバレを含みます
ご本人様とは関係ありません
暴力表現あり
喫煙要素あり
1部BL要素…? あり
それが許せる方のみお進み下さい
一言
ごめんね
君たちに、君に
どうか許して欲しい
「安倍先生〜?」
彼ははぁ〜っと大きなため息を付きながら
晴明の肩に顔を乗せる
『どうしたんですか?神酒先生。』
彼がこんなに悩むような顔をみるのは、
あの酒呑童子の事件以来だったため、
晴明はぽかん、とされるがまま。
「奏中先生が意地悪してくんねん〜…助けてぇや…」
深刻な顔をしていたため何か凄いことか!
と構えていたがそうでは無いらしい。
安心と心配させやがって!の感情が
五分五分であった。
『どうせ神酒先生がまた何かやったんでしょ?』
今度は自分が大きくため息を付き、肩を落とす。
「晴明くんまで〜…勘弁したって〜…」
やれやれと見ていると
神酒はう〜っと泣き真似を披露し始めた。
このままでは埒が明かないので
『奏中先生〜!!神酒先生いますよ〜!!』
「晴明くん!?!?」
奏中先生に神酒先生の居場所を教えてあげた。
僕優しいな〜!!
「晴明。ご苦労だったな」
『本当ですよ〜笑』
「晴明くん酷いわッッ…」
「酷いのはお前だよッ」
ゴッッと鈍い音が神酒の頭から出る。
「痛ッッ〜!!!!」
「何すんじゃいボケェ!!!」
これ以上巻き込まれたくはないので
晴明は静かにその場を後にした。
屋上にて
「せいめいくんまた吸ってる!!」
「そんなに大丈夫??」
柵の上に座りながら煙草を吸う晴明を
心配そうにマンドラゴラ達が見つめた。
『大丈夫だよマシュマロ、のりこ。』
『心配ありがとうね。』
煙草を吸っている間は
太陽のような笑顔ではない晴明。
目を細め不敵に微笑みを浮かべる晴明。
*まるで*安倍晴明公の様であった。
その姿を1人
上空で眺める物が居た。
「晴明?」
蘭丸は、
いや、
朱雀はそう一言こぼす
今自分が見ている彼は間違いなく
彼ではない。
わかっている。
でも、この一滴だけは、許して欲しい
憎悪と悲しみを込めた涙を一滴。頬を撫でた
脳内時計では1分程経っただろうか?
ハッとした蘭丸は晴明の後ろへと降り立った。
後ろから見た彼の雰囲気は
まるで自分の元主と同一人物であった。
わかっている。
同一人物であり、全くの別人であると。
でも、それでも、今一瞬。
彼を憎悪を込めて見てしまった事を
許して欲しい。
「晴明。」
憎しみで埋もれた瞳で、彼の名を呼んだ。
彼ではない、彼の名を。
蘭丸。いえ、
今一度、ここに、彼は朱雀として、
彼ではない彼をみていた。
『隊長さん?』
晴明の声で我に返る。
とめどなく流れていた涙に気付き、
「ごめん、ごめんね。」と謝りつつ、
涙を止めようと必死に拭った。
ふわり
優しいおひさまの香りと、
少し苦みのある煙草の香りに包まれる。
「は、。晴明くん!??」
状況を理解した途端、顔が赤くなる。
自分が今どんな顔をしているか、
人前で泣いてしまった事、。
今までの行動全てが
恥ずかしくて仕方ない。
『今だけは。朱雀さんとして、ゆっくり休んでください。』
優しい声色が耳元をかする。
彼には、彼を彼として見ていたことなど、
お見通しだったようだ。
「ぅ、あ…」
止めどなく溢れる涙。
ぐしゃぐしゃになった顔を隠してくれるように、
彼は僕を優しく包んでくれていた。
目元にはハンカチを当ててくれた。
元主が憎い。とともに、また会いたい
あって話をしたい
芦屋殿と、白虎たちとまた6人で、
それはもう叶わないのに。
でも今だけは、
彼を、
安倍晴明公ではなく、
安倍晴明を、頼っても
良いのだろうか。
『大丈夫です。大丈夫ですよ。』
まるで僕の心を見透かしたように
言葉をかけてくる。
彼の一言一言が、優しく包んでくれる。
ああ。そうだった。
今の僕の主は晴明くんだった。
守らなければ。
もう二度と、
あんな事にならないように。
僕の愛する優しい彼を
守らなければ。
「晴明くんがこないから探してみれば…」
『…えへ?』
紫色の髪をなびかせながら
烏天狗の彼を抱く、人間の彼を、
人間に抱かれながら寝息を立て
目元を赤く腫らした阿呆な烏天狗を、
呆れながらも見守る優しい彼がいた事は
また別のお話。
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