コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
超えて。/天天
✒︎魔法
ある朝のことだった。窓の方に目をやると、そこには雲ひとつない青で塗りたくられた空が広がっていた。ぼーっと窓をながめていると、後ろのほうからがたっ、という音がした。 振り返ると、先程まではいなかった友人の旭(あさひ)が椅子に座っていた。
旭はこの中学にあがってきてからできたと友達で、とても明るい子だった。まるで太陽のような…朝日のような眩しい笑顔をいつも輝かせていた。
「おはよう!」
旭は私に向けてそう言った。
「あぁ、おはよう…」
私はあくびをしながら挨拶を返した。
「ねぇ、知ってる?」
旭は目を輝かせていた。
「最近ある噂が流行ってて…」
「ふむ」
「紙に見たい夢の内容を書いてその紙を枕の下に入れて寝ると、その紙に書いた通りの夢を見れるらしいの!」
「…えっ?」
私は一瞬困惑した。小学二年生がてきとうに考えたような、ありきたりすぎる話だったからだ。
「てきとうなこと言ってるでしょ」
「いや本当らしいんだって!」
「誰情報?」
「色んな子から聞いたのー!」
旭は噂話をすぐ信じてしまうところがある。今回もうまく騙されているようだ。そこで私は
「じゃあ、私が今夜試してあげるよ」
なんて、言ってみた。
「えっ、マジ?!明日、結果教えてね」
「まあ、ただの噂だし…どうせできないだろうけどね。ただの噂…だし」
私は低い声で言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
寝る直前に、私は噂のことについて思い出した。
「ええと、たしか…」
私はひとりでつぶやいた。旭が今朝学校で言っていた言葉を思い出す。
「紙は…作文用紙でもいっか」
机の上に置いてあった作文用紙にそっと左手を添えた。右手のほうにボールペンがあったので、それも取った。
見たい夢。なんだろう。
「…そうだ」
『”あの子”とまた公園で話したい。』そう作文用紙に書いた。
作文用紙を折りたたみ、枕の下に入れた。
「まさか本当に見られるわけないよね…」
私はベッドに横たわり、そっと目を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
砂の感触を手で感じとり、私は起き上がった。
「ここは…公園?」
あたりを見渡すと滑り台や砂場などの遊具が見えた。すると、あるものが目に留まった。ベンチに誰かが座っている。そのベンチに座っている人物に心当たりがあった。私は目を擦ってもう一度見た。
「間違い…ない…」
ベンチにはあの子が座っていたのだった。