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ふざけんな。

1 - 第1話愛する君の嘘に僕は気付けなくて

♥

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2024年08月01日

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真夏の炎天下。 コンクリートに守られ クーラーという 遠い、いやそこまで遠くない昔に作られた文明の利器に 頼りきって生活をしている。 俺の隣でスマホを弄るのが 俺の相棒件 恋人の しろせんせーことぼびーことせんせーこと白井裕太 。 こいつに俺は今日呼び出されたと言うのに 、いつまで経ってもスマホを弄るばかりで口を開かない。 困惑とイラつきが回る。だって僕は36.2度の猛暑の中 わざわざ来てやったんだ。真剣な話がある、とか。甘えたくて…///とかなら全然許すのに。なんで何も言わないわけ。俺が痺れを切らして口開いた瞬間黙らせるようにぼびーも口を開く。


「   俺、活動辞めるわ     。 」


俺は開いた口が塞がらない。それをまさに体験してしまった。 かり、っと食べていたラムネを噛み殺し、喉を通し胃に入れる。

そんな僕から出た最初の音は


「  は、 はぁ、?    」


なんて力のないダサい音。 スマホから目を離さないぼびーを見て俺はドッキリかなにかかと思った。

だからそう言った


「     冗談きついよ  ぼびー、 笑   」


彼の紅色の瞳がこちらを軽く睨んだ 。

あぁ、これはガチの目だ。俺が察した瞬間に、更に俺に分からせるように 言葉が飛んできた


「   冗談ちゃう。 俺は 女研も しろせんせーも辞める。   」


全て分かってしまった瞬間。俺の顔からはきっと色という色が抜けた。 今すぐ否定して欲しかった 。 否定して 、 いつもみたいに笑って動画を撮ろうと話しかけて欲しい。

なぁ、ぼびー 、その先は言わないでね、

何となく頭では察しても絶対に言って欲しくなかった。 人生で1番聞きたくない言葉、 聞かないと信じていた言葉。

そんな俺の思いは無慈悲にも ぼびーの一言で刺し壊された


「   だから、 別れよ。  ニキ   」


そんな言葉を聞いた瞬間。ずきん ゞ と頭に嫌な重みが増える。 何も言えずに見詰める俺を、殺そうとでもしてるのか、またゆっくり口を開いた


「 そもそも 男同士とかキモいし。 」


その一言で、俺は全て壊された。 いや、全てとは言い難い。 だって彼への信頼と愛情は、どうしても消えないものだから。

まぁ、そんなん ボビーが思ってる、知ってるわけなくて。


「      だからもう帰って。 報告はまた今度する。    」


僕はぼびーのうちによく泊まりに来てたから、何個か私物が置いてある。 それも綺麗に纏められ、 全部が詰められた鞄を足元に投げられた。 最後まで此方をしっかり見ない彼に、 虚しさだけが残った。



「  ごめん、最後に。 愛してるよ。ぼびー  。 」


これだけはいいかった。いつも、 僕が伝えたら少し照れくさそうに返してくれたり

きしょい!なんてつっこんでくれる彼が 大好きだった。 愛してた。なんて言いたくなかった。 自分で自分を刺すような自傷行為。虚しさが倍増するだけ。それでも俺は、言わないともっと酷いことになる確信ができていたから。ここで口を開きかけ、 閉ざしたぼびーがよく分からなかったな。

僕はそのまま 家を出て、 自身の家に 歩いて向かう。   ただ、僕の中にずっと浮かんでいる気持ちを、 ゆっくり噛み殺した。


数日後 、ボビーは本当に 女研も 活動もキッパリ辞めた。 少しの炎上と 悲しみの声と 。色々なことを俺らに押し付け 彼はただの大学生に戻って行った。 悲しくて仕方がない。俺がtiktokであいつを見かけて

「  仲良くなるならこいつがいい!!」

と思った時。  本当に おもろいと思ったんだ。 話したかったし、仲良くなりたいと強く思った。 実際に仲良くなってみては彼奴はめちゃくちゃに面白くて、一緒にいると楽しくて。 彼奴と恋仲になるなんて、思ってなかったけど 必然で、運命だとさえ考えたよ。彼奴と掲げた

《   2人で100万人 行く  》

そんな目標は僕だけのものになった。

いや、 そんな目標なくなってしまった。

だって、 2人で、 なんだから。

ぼびーの活動 終了報告を見て 、

数日前から押し潰し続けた感情が口から落ちてしまった


「  俺らで 、 行くんじゃないん…。俺そのために 、ずっと、 お前にとっては その程度の目標だったんか。 俺にとっては 人生かけて達成したい目標だったよ、 」


活動休止報告画面を開いたまま少し暗くなったスマホに俺はそう語り掛けた。彼が聞いてるわけでも、 誰が聞いている訳でもないのに。 ただこれは本当だった。

俺は人生かけて、 頑張って頑張って頑張って 《2人で》達成したかったんだ。

ぼびーにとっては、 理由さえ教えてくれないまま諦めるような目標だったらしい。

お前も俺と肩を並べるほど強い想いを持ってると信じて疑わなかった  。 ずっと一緒だ と笑う彼の顔をずっと信じていた。

だって、 数日前告げられた日の1週間ほど前、 俺らは何度目かも分からない行為をしたし 、抱きしめあって一緒にご飯を食べた。 ぼびーの顔色が悪くて、 心配で熱を測ったら 38.2度。 大丈夫と笑っていたけど やっぱり心配で彼を寝かせた。

そこから 風邪が治ってないと言って会わせてくれなかったんだ  。

おかしい。 そこから先ずおかしいんだ。

だってぼびーは 風邪でも会ってくれた。無理してでも一緒に居てくれたのに。そんなに急に嫌いになることなんてあるかな。

そんな自分に都合のいい解釈していた所、いや。 解釈なんかじゃないか。

ぼびーから一通 、 病院の住所が送られて来た。

俺はスマホと財布だけ持って そこに向かう。なんだかすごく 嫌な予感がしたから。

病院につき、  待合の女の人に 白井裕太はここにいますか。そう聞いたら 病室を案内された  。

そこには 、白い布を被せられたぼびーと

止まった心電図と 、神妙な顔をした 医者達が立っていた。 俺は、すぐに分かった。

絶望に堕ちようとした瞬間 動画が送られてきた 。ぼびー、からだ。病室なんて関係なく 涙で滲む視界を腕で無理やり鮮明に戻し 、 そのまま震える腕で 再生の矢印ボタンを押す


[  ぁー、ぁー、聞こえとる?げほ ゛っ、 俺 、死ぬみたいや。ほら、見ての通りここ数日寝ず食わず、 笑  っ゛、 息も苦しくて 、 さ。゛。 治療とか ゛っ、 したにはしたんやけ゛どっ、…。 金足りんし ゛、  なんかもう 治んないと思うとか ゛言われてさ。  正直言うと、゛、まだ生きたいし、っ、゛、 お前とわら゛、っ、てたぃ、しっ。 こんな ゛、独りで朽ちたくなか ゛、っん、やけど っ、 。     お前らに、 お前に、めいわくかけとーない ゛っし、 。 本当はあの日、っ、゛、治療の日やってん。゛、っ、。 お前から、金、借りよかなっ゛て、  思ったんやけどさ 。  流石に出来ひんく、て  っ、。死ぬことに、しました゛っ。 医者に、は゛さ、? 言われたけど゛っ、 借りても何でもして、 ゛、治療したら 生きれる可能性も全然ある゛って、 。 でもお前 ゛っ、100万行くんやろ゛っ、?無駄な出費、 させたくなぃ゛っし、け゛ほ゛っ。  ぁと゛おまぇ、っ、 最近 色々買って金欠らし゛いまし、 ゛…。  だから゛、すまん。 …。今世とは゛、っ、さよならみたぃ、や…。

… あの日 ゛っ、言えなくてすまん゛、

言ったら、 ゛っ、金とか何もかも゛っ、頼っちゃう気がした、んよっ、゛。 ぅ゛え、っ、 。 …゛、にき゛っ、ずっと 、ず ぅーっと、 愛しとるで。   ]

その言葉で 、動画は切れた。

ぼろっぼろにやせたぼびー。それが先ず目に入ってきて。 苦しそうに嗚咽と咳を漏らしながら、 カメラに向かって 笑っている。

内容を聞いた瞬間、俺は崩れ落ちた。涙を抑えることなんて出来ず、 胸の来るさでいっぱいにされた。金なんて、 僕よりボビーの為にたっくさん使いたかった。

借金しても、体売っても何しても。ぼびーに金を使いたかった 。俺言ったじゃん。

無理しがちなお前に 、

なんで も遠慮せずに頼れって。何回も何回も。 何しても、お前が幸せなら良かった。少しの欲を言うなら俺の隣で笑っていて欲しかった。それ以外、何も望んでなかったのに。 活動も、大きな大きな 目標だった。でも第1はお前だって。どうしてもっと伝えてなかったんだろう。 活動活動になってしまっていたのは気付いていた。お前の顔色が悪いのも分かったのに、 どうしてここまで重要な ことに気付けないのかな。

100万行くのは、 お前と行きたかったんだよ。 お前と、俺とで。2人で。 2人でだよ、 言ったじゃん、何回も。お前が幸せならそれでいいって。

はぁ、おかしいなぁ。  


ふらつく意識の中俺は ぼびーの手を握る。

そして 一言だけ、



「    愛してる。    」

そう告げた。  冷たくて冷たくて、 酷く怖かった。 もし、来世があるなら。

僕、もついでに。ぼびーを幸せにしてあげてください  。お願いします。








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