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Dr.STONE 夢小説
時間軸一気に飛びます。
龍水の所まで
パキィン、と鋭く石が砕ける音がした。
白く反射する太陽の下。
数千年の時を超えて目覚めたその男は、顔に水滴を伝わせながら、気高く頭を上げた。
「フハハハハ……!待たせたな、世界よ!!」
——世界が欲しい!金と冒険の化身・七海 龍水、復活。
龍水の姿を初めて見たとき、翠は正直こう思った。
(……元気な方。あとなんか光ってる)
輝く目にに金髪という絵に描いたような派手さに、木陰にいた鳥まで飛び立っていった。
が、次の瞬間——
「……おおっ?……おおお!?!? そこの君、君だッ!!」
突然、龍水が雷に打たれたようにこちらを振り向いた。
「なんと美しい……!緑の風のような髪、星を宿したような瞳、控えめながら内に炎を秘めた表情!その眼差し、まさに未知のロマンッッッ!!」
「………………」
翠、完全に無表情で固まる。
「美しさと知性を載せて進む航海の希望、まさに女神だッ!!貴様の知識と美貌、いや、貴様自信が欲しい!!!」
ゲン「おお〜出た出た〜!龍水節、初対面から全開☆」
クロム「うわー……さっそく誰かに惚れたなこりゃ……」
そしてついに、龍水が“キメ顔全力”で翠の前に立ちふさがる。
「君の名は!?我が生涯の財宝に加えたい、君の名を!!」
翠は一拍おいて、完っ全にトーンフラットな声で言った。
「……東風 翠。もういいですか?」
「な……っ!? いや、待て!君こそ、我が人生に不可欠な存在——」
「何言ってるんですか?」
「………………」
その瞬間、龍水が初めて口を閉ざした。
翠は淡々と葉っぱの束を抱え直し、千空の方へ向き直る。
「千空、この“メハジキ”と“ヨモギ”、強い香りだから防虫に使えそう」
「あぁ、乾かして混ぜりゃ虫除けスモークに使えるな。ナイス」
「よし、じゃあ準備してくる」
「おう」
そう言って、翠はするりと龍水の横を通り抜けていった。
まるで彼の“情熱の大演説”など、なかったかのように。
「………………フハッ……」
ぽつんと取り残された龍水は、ゆっくりと振り返った。
「おもしろい……!あれほど完璧な容姿と冷静な頭脳を持ちながら、まったく振り向かんとは……!」
「なるほど、なるほど!君はそういうタイプか!欲望で落ちぬ“理性の女神”……!!」
ゲン「うわー……これは悪化するな。恋という名の欲望が加速するぞ☆」
千空「……くだらねぇ。でもま、面白ぇ研究対象ではあるな」
その後、龍水は何度も“宝物のスカウト”を試みるも、
翠は毎回「無理です」「興味ないです」「他当たってください」と平然とスルー。
しかし龍水はめげずに叫ぶ。
「私が落としたいのは金ではない!貴様の心なのだ!!」
「おおおおおまたやってるー!」(クロム)
そんな騒がしい日常が、新しい波として科学王国にやってきたのだった。