__それは入隊初日の事だった。
「皆さん、入隊おめでとうございます。」
明らかにオーラの凄い人が出てきた。
髪が白くて、アメジストみたいな目をしていて、如何にも育ちが良さそうな人。
周りより少し年が老いている。
「私の名前は統括指揮官のコティロリーザ・ツベルクラータと申します。皆さんの入隊を祝して、言葉を贈らせて貰います。改めて、おめでとう。」
表情から見て、凄く優しかった。
だからこそ、ちゃんとトップの人だと認識するような人だった。
「……あらあら、皆さんそんなに緊張なさらなくても良いのよ??」
目の前にトップの人が居るんだ。それは流石に……
「けど、そんな事言っても緊張は崩せない、分かるわ。」
……心を見抜かれてしまった。
それに、周りの静けさ。心を見抜かれたのは僕だけじゃなくて、他のクラゲ達もそうなのかも。
「それじゃあ次はやる事について、サムクラゲさん、お願いできる??」
「はい、分かりました〜っと…。」
今度はコティロリーザ・ツベルクラータさんの側近らしい人だった。
襟足が長い、男性だ。ネクタイが山吹色で目立っている。
「え〜、これから話すのは、翌日から始まる事を覚えておいてくれ。まず、最初は皆訓練だ。試験での技能、判断から考えて皆の訓練内容を変えている。ので、決して同じことを延々と繰り返すことは無い。そして、お前達には必ず教育係が1人居ること。実際の戦場で足を引っ張らなくするように、つけることは方針上絶対だ。」
「次、ある程度訓練のラインを乗り越えた者は実際の戦闘に出る。最初は後ろ側からの配置だが。徐々に実力が認められた場合、前に出す仕組みとなっている。それが分からずに前に行ったら、”即死”する事になるかもな。」
「それで、その即死を免れる為にも、最後に言っておく。お前達の教育係には自由にしていいと言ってある。お前達の実力が落ちた場合、大切なものが無くなるかもしれない。覚悟しとけよ。……以上だ。」
一目見ただけでも思った。怖い。圧が凄い人だ。それくらい強いのかもしれない。
でも、1つ気になることがある。あのサムクラゲさんが話している最中、どうして僕の方を見てきたのだろう。気のせいかもしれないけど。しっかり目は合った。気になる……。
「えぇ、ありがとう、サムクラゲさん。そしたら次は設備の話ね。」
「ここの設備は寮制となっています。毎晩ここで寝泊まり、決まった時間に訓練……そういうルーチンワークです。食堂とお風呂はあるから安心してくださいね。寝室の方は1部屋4人。明日に支障が出ないなら、何時でも起きてて良いことになっているから、楽しんでても良いのよ。」
「次、肝心のトレーニングルームは完全な個室になっています。広い敷地を使っているからシミュレーションに使えるように、ね。もちろん、シェアしても良いかもしれません。けれど、人によって番号が振り分けられているから、決して間違えないように。」
「他は……そうですね、これで設備の話も終わり。この後は顔合わせ。後程メンバーを確認して、今日は自宅の方で休みを取っていて頂戴。本番は明日ですよ。」
「では、これにて入隊式を終わります。解散ね。」
凄く短く終わった。もっと長いものだと思っていたけど……それにしても、サムクラゲさんは、愛想が悪いのかな…??どこかの漫画でそういうキャラクターは見たことがある気がする。
っ…、こんな事考えてる場合じゃないな、早く同期の人達を確認しなきゃ__
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