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涼ちゃん…?どこ?
あれ?いつの間に俺はベッドに来たんだ?
“あの日”のような小鳥の囀りが聞こえる。
無意識に横を向くと、整った顔が見える。
「ん、…はぅ、…もときぃ、」
あ、え、元貴?、…え?
じゃあこの人、…涼…、ちゃん?
「ぉ、…もとき、おはよぉ、…」
眠たげに目を擦り、こちらをトロトロの瞳で見つめる。
で、でも、…なんで。俺…夢の中で夢を…
見てるのか…?
ふと、起き上がると、腕に何やら文字らしきモノが。
10と書いてある。なにこれ。今日は…5月9日。あと、10日後…5/19…と言えば、涼ちゃんの誕生日だ。
あれ…?涼ちゃんが亡くなったのって、…19日…?
あれ…?5月9日…?今日、20日じゃないの?
「ねぇ、…涼ちゃん、」
どうやって何を聞こう。
どーしたの?と首を傾げる涼ちゃんが愛らしくて仕方がない。
いいや、そんなこと言ってる場合では無い。
どういう事だ…?
涼ちゃんが死ぬ時の夢を永遠に見続けているのか?
そうだ、きっとそうだ…。
でも、夢の中なら、…涼ちゃんを救う事、出来るのかもしれない。
「…、涼ちゃん。
今日はお家でゆっくりしない…?」
火事が原因で死んでしまうなら、外に出さなければいい。
「何言ってんのー、
今日は僕、出かけるよぉー?」
あれ、そうだっけ?
それはマズイ、…涼ちゃんを外にだしたら
ダメ、…
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あれ…?涼ちゃんは?
てかいつの間に寝てた?
スマホスマホ…
蒼白い画面を開いたらそこには無数の、涼ちゃんのスマホの番号の着信履歴が、…何だか嫌な胸騒ぎがする。
「もしもし…?」
「あ、こちらフジサワスズカ…あ、
フジサワリョウカ様のお電話番号でお間違いございませんでしょうか?」
はい?どなたですか?
「はい、藤澤がどうかしましたか?」
口重たそうに、その発信者は答える。
「16時35分、フジサワさんが他界されました。」
え?
また俺は、救えなかった?
もう、分からない。
「火事の中に飛び込んだ様で、損傷が酷いらしいです。」
そして、また火で亡くした。
俺は、もう君を救えないのだろうか。
ううん、待っていて、絶対に君を救ってみせる。
絶対に、絶対に。
君と笑える日が来るまでぼくは…
あの日のような笑顔をまた僕に見せて欲しい。
いつの間にか僕の頬には一筋の涙が通っていた。