僕はここに来る前、鬱で苦しんでいた。
友人に裏切られ、絶縁され、生活も支障をきたしており、何をしてもしんどく、大好きなものでさえも楽しみも興味も湧かなくなっていた。
そんな過去を持ちながら、僕は忍術学園へ入学した。
新しい自分を見つけたいから。
ずっとこうしてても何も始まらないから。
学園でも孤独で過ごしていた。
また裏切られるのが怖いから。
そんな臆病な自分が心を蝕んでいた。
ある日、門の近くにひとりで座り込んで、空を眺めていた時
小松田秀作先輩と言う先輩がいた。
彼は箒を持ちながら、僕に気付き、優しく声を掛けてくれた。
僕は最初、怖いのと警戒心でいっぱいで、最初は目を逸らして黙っていた。
秀作先輩は、僕の目線と合わせるように優しくしゃがみこんでこう言った。
秀作「君はどうしてここに居るのかな?何かあったのかい?」
僕は一瞬、話を聞いてくれる優しい人、と思っていたが、裏切られるのが怖くて、モゴモゴしながらいた。
いつまで経ってもこのままだと何も進展しない。
僕は、思い切って秀作先輩に伝えた。
「生きるのが辛くて。」
秀作先輩は目を丸くした後、すぐ優しい笑顔に戻り、そっと声を掛けてくれた。
秀作「君にも辛いことがあったんだね。よく頑張ってるよ。生きてるだけでも偉い。」
僕はその言葉に救われたような気がした。心も少しだが軽くなった気がした。
そう言ってくれたのと同時に、僕の目からはいつの間にか涙が流れて頬を伝っていた。
そんな僕に秀作先輩は、優しく頭を撫でてくれた。
初めて感じた温もり。
そして初めて感じる心臓の高鳴り。
この人の前なら素直になれそう。と思っていた。
これが”恋”ということに思えるようになったのは、この日からだった。
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