透き通るその声が気になりぐしゃぐしゃな顔で上をむいてみると
そこにいたのは翼の生えた同い年くらいの少年であった。
「てんし..?」
確信ではないがそうだろうとオレは思った。
作り物にしてもリアルに動く羽。
天使を連想させるような透き通った綺麗な声
そしてなによりもの証拠、こいつ、その羽で飛べるのだ。
天使はオレを慰めるためか空中で一回転してみせた。
あと、綺麗な光を振らせたり明るい歌を歌った。
え?天使なんか信じない?
最初はオレも信じなかったさ。でもこんなの見たらさ…
天使は本当にいるんだなって!
ちなみに天使に会った第一の感想は「綺麗」ってこと。
白くてマシュマロみたいな肌に美しく、濁ることを知らない瞳。つやつやでサラサラな髪。
あと、驚いた。天使がいたからってのもあるが、
天使って金髪で髪の長いおねえさんってイメージだった(オレの中では)
でもこいつは男だし髪も黒くて目も茶色い。羽がなければオレとおんなじ人間に見えるしただのイケメンだぞ。
涙をぬぐい「もう大丈夫」と、微笑んでみた。
オレがもう大丈夫と分かれば天使は安心したような顔でホッと胸をなでおろした。
「良かった。」
今初めて出会ったやつの笑顔を素直に喜べるとは
天使も大したもんだ。優しい。優しすぎる
「オレなんかのためにありがとう。えーっと…」
流石に初めて会った人物なので名前を知っているはずもなく。
てか天使って一人ずつ名前あんのか?
「ボクはVeeane。ヴェアとでもなんとでも呼んで!君は?」
Veeane。なんだかかっけー名前。
オレが知っている天使にはそんな名前はなかった。ラファエルとか、
有名な奴は知っている。
「オレは裕翔。ゆうってよんでよ。」
本当の話。別にこれといった愛称は無い。ただ、今考えた。
なんか名前を覚えてほしくなったから。
「ゆう。しっかりと記憶にいれたよ」
頭の横あたりを人差し指で触れるとヴィアが上記を述べた。
天使は聞いたことを手から吸収するのだろうか。不思議なものである
「君が笑顔になったならばよかったよ。ゆう。それじゃ僕は天に戻るから。」
「え、早!!!」
こいつが降りてきてからざっと数分。あまりにもそっけなく。そして
あまりにも早い別れだ。
「用事がちょっと」
ヴィア苦笑しながら今。天へと飛び立とうとしている最中。
用事というものは気になるがプライバシーだ。聞かない方が良いだろう
「あーそう。じゃ、さいなら?」
まあ一応手を振っておこう。多分二度と会わないけど。
たった数分の付き合いだし。悲しくはなかった。
と、おもう
「じゃあねゆう!」
また綺麗な星のように天へ舞い上がり、オレの知らない
世界へ帰っていった。
まあ。ほんとに二度と会うことはないと思おう。
気づけばもう夕方だし、葉奈は今頃何をしているのだろうか。
きゅっと顔がゆがむ。
これで本当にここにはひとりしかいなくなった、
はずだったのだが…
ドシャ、
鈍い音が聞こえた。何かが落ちるような音
「いてて…」
聞こえたのは懐かしいような今聞いたような透き通った声。
振りむけば同じ背格好のイケメンがいた。
髪は黒くつやつや。目は濁ることを知らないように輝いて…
「あ!ゆう!」
え..まさか..
「ヴィア?」
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