私が好きだった本
その中に出てきた”天使”という存在
私は、私達はその”天使”に似た存在なのかもしれない
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【レイヴィル・ミラー(rayville mirror)】
・「レイ」と呼ばれることが多い
・15歳
・ケツァールの翼を持つ(ターコイズブルー)
・本を読むことが好き
・3/11生まれ
【ウィリアム・グレイ(william gray)】
・「ウィル」と呼ばれることが多い
・ケツァールの翼を持つ(ターコイズブルー)
・絵を描くことが好き
・6/27生まれ
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「おはようございます、お嬢様」
「おはよう…」
毎朝のように今日もメイドに起こされた
「おはよう、レイ」
そして毎朝のように挨拶をしにくる父
見慣れた光景だ
「今日も頼むよ」
「承知いたしました」
父が頼むとメイドがゾロゾロと私の部屋に入って来た
このメイド達は私のために雇われたメイド達なのだが、毎日顔が変わる
理由は考えても仕方がないので自分の身支度を始めた
メイド達はいつも私の身支度の手伝いなど一切行わない
その理由は明白だ
こいつらは私の翼の手入れのためだけに雇われているからである
「お嬢様、髪が長くて翼についてしまっ
ているので切らせていただきます」
「…うん」
勿論拒否権などない
この世界は残酷である
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この世界の住人は全員翼を持っているが
翼は人によって種類が違った
そのため翼の美しさや希少性の差によって差別が増えたという
醜く、豊富性の高い翼が蔑ろにされるのは当たり前だと思うかもしれないが、 美しく希少性が高いから良いというものではなかった
私がその良い事例だ
調べると、私の翼はケツァールという”世界一美しい鳥”とされていた鳥の翼と一致するようだった
美しく、希少性の高い翼は裏で高く売れる
きっと私の父親は私に子を産ませてから私の翼を売る気なのだろう
私達にとって両方の翼をなくすことは死を意味する
私の読んでいた本の天使は翼を切り落として人間という生き物になっていたが、私達は両翼を切り落とせば即死である
早々にここから逃げ出さなければ
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「…おはよう、レイ」
「お母様!おはようございます!」
「お嬢様、動かないでください」
「すみません…」
私の唯一の救い、お母様である
ケツァールの翼は父親譲りであるがお母様の翼も美しさで言えば相当な上物なのだろう
豊富性は高いが、白色の羽が光を反射していてとても美しい翼だと思う
「それでレイ、許嫁についてなんだけど…」
お母様は値の高く付く翼を持った子を産ませるために強制結婚させられた庶民にすぎない
そのためお母様も父親に逆らうことは難しいらしい
「どうかしたのですか?」
「18歳になったら式をあげたいそうよ」
「18…」
タイムリミットは残り3年か、、
「分かりました」
「わざわざ伝えに来てくれてありがとうございます」
「えぇ…」
相変わらず私のことを哀れむような目をしてるのが鼻につくが、私の我儘を嫌な顔一つせず聞き入れてくれる
たまに手作りのお菓子も持って来てくれる
この屋敷の中ではお母様と一緒にいる時が私の1番の幸せである
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