いつもと変わらない土曜日。
何故かジッとしていられなくて、ずっと体が動いている。
我慢ができなくなり、近くの喫茶店に行くことにした。
夏の気温は高く、今にもどこかが溶けてしましそうなほど、外は蒸し暑かった。
ペットの散歩に来ている人や、追いかけっこをしながら楽しそうに笑う子ども達。色んな人がそれ ぞれ明るい顔をしていて、土曜日という名の休日を満喫しているようだった。
喫茶店につき、クーラーの効いた涼しい店内で、暑さで揺れている外をボーっと眺めていた。
カランカラン。風鈴の音が風に乗り優しく広がった。
お店の入口付近を見ると、そこにはエプロンを着た雫さんが、大きな段ボールを抱えながら店の奥に入っていった。
しばらくすると雫さんが、汗をタオルで拭いながら出てきた。
僕が彼女を見ていたからか、目が合い、彼女もこちらに気づいたようだった。 彼女は僕に、笑顔で小さく手を振ってくれた。僕も小さく手を振りかえした。
すると、彼女は驚いたような顔をしたが、すぐに嬉しそうな顔に変わった。
麦茶も飲み干し、満足したのでお会計をしようとレジに向かった。
「お会計、340円です!」
知り合いの僕にもちゃんと丁寧に接客してくれ、最後まで良い気持ちで店を出ることができた。
家へ帰るため歩いていると、後ろから走っている音が聞こえ、振り向くと、雫さんが何かを持ちながら僕の名前を読んでいた。
「怜央くーん!これ、忘れて行ってたよー!」
よく見ると、雫さんが持っていた何かは、僕のワイヤレスイヤホンだった。
「あ、本当だ、片方無い⋯」
自分の耳を触ると、さっきまであったはずのイヤホンが左耳だけなくなっていた。
「ありがとう、雫さん」
「ううん!届けられてよかった!はい、これ」
嫌な顔1つせず、むしろ僕に笑いかけている。
「よく僕のだって分かったね」
「お店には怜央くんしかいなかったからね」
思い返せば僕以外のお客さんは1人もいなかった気がする。
人気が無く、建物と建物の間にある店だ。そうそう人は来ないのだろう。
「あ!そうだもう1つ聞きたいことがあって⋯」
「ん?あ、もしかして曲のこと?」
「それとはまた違う話なんだけど、もしかして怜央くんの苗字って、星影さんだったりする?」
そういえば名前を言うとき下の名前だけで、苗字を伝えるのを忘れていた。
でもなんで雫さんが僕の苗字を知っているのだろう。
「そうだけど⋯どうしてし知ってるの?」
「さっきおばあちゃんが、怜央くんのこと見て『あの子、星影さん家の息子よねぇ⋯大きくなったわね〜』って言ってたから」
お店にいたおばあちゃん⋯あ、店主のおばあちゃん化!
でもなんで僕のこと知っているんだ⋯?
「雫さんのおばあちゃん⋯?なんで雫さんのおばあちゃんが僕のこと知っているのかよくわからないけど、改めて僕の名前は星影怜央。」
「とっても綺麗⋯!あ、もう戻らなきゃ。またね!」
そういって彼女は颯爽と走り去ってしまった。
綺麗⋯か。 自分の名前、あんまり褒められたことなかったから、少し嬉しいな。
「よーしせっかくだし、星と影の曲、作ろうかな」
コメント
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以外な繋がりが…!!!!!! 星と影の曲…私が好きそう…💭( コメント書くの時間かかりますね!(? 投稿ありがとうございます!!!!