ATTENTION
・賽子様の二次創作
・人外×社畜
・青×桃
桃↬「
青↬『
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それでもいい方のみお進み下さい
「 ……ん…、?
目が覚める。目に飛び込んできたのは…暗闇。何も見えないし何も聞こえない。自分の家の布団ではないここは何処だ?そっと手を伸ばすと直ぐに硬い何かに手が触れた。これは…木材か、?
「 何なんだよこれッ……、
自分の真正面、重力に逆らって手を伸ばすと硬い何かが持ち上がる。隙間から僅かな光が入ってきて、少し目が眩んだ。目を慣らしながら身体を起こすと、自分が何に入っていたのかわかった。……棺桶だ。
「 ……え…棺桶…?俺死んだ…?
軽いパニック状態で辺りを見渡す。全く知らない家具、間取り。カーテンは締め切られていて、お洒落な灯りだけが部屋を照らしている。その中で、ソファーに座って眠っている蒼髪がいた。
「 ……え、こいつ…確か…噛んできたやつ…、
第一印象は最悪な上に勝手に家に連れてこられている。その事実に無性に腹が立った俺は、混乱していたことも忘れて棺桶から出るとそいつの頭を叩いた。ぱしっといい音がして、そいつが起きる。
『 いっ…たぁ……何すんねんお前…
「 いやいやいや!こっちの台詞な!?
「 何で俺知らん家で棺桶入ってるわけ!?
『 …うるっさ、
「 お前のせいな!?俺のせいじゃねぇし!
『 分かった分かった…ちょっと今は寝かして……
「 は、!?おい、!
ぼんやりしたまま話していたこいつは俺を無理やり隣に座らせると、俺に抱きついたまま目を閉じた。この話を聞かない感じ、今までの彼女を思い出す。妙な嫌悪感はしたが、顔面蒼白とも言えるような色白さと無駄にいい寝付きの良さが社畜の自分と重なってしまい、もう一度頭を叩いて起こすという傍から見たら酷い行動を取れなかった。行き場を失った手で艶やかな蒼髪を撫でる。整えられたそれは絹のようで、起こさないように…と、気付けば何度も触れていた。
「 ……何なんだこいつ、
呟いた言葉は誰に届くでもなく壁に消えていく。ぐっすりと眠っているこいつを起こすのも忍びない。ちら、と壁掛け時計を見るとちょうど10時を指している。少し寝すぎた気もするが、今日仕事休みでよかった、なんて考えてしまう俺はどう頑張っても社畜なんだろう。
「 あ~やばッ…眠い…
目の前から聞こえる規則的な寝息をBGMにしているうちに、俺もいつの間にか2度目の眠りについていた。
『 ……ん、?
目が覚めると昨日家に運んだ男が俺の腕の中で寝ていた。確かベッドに寝かせたはず…だが、しっかりと俺が抱きしめている。そういえば1回目が覚めたような気もするが…思い出せない。まぁ寝惚けている間にしてることやし…と心の中で言い訳をしてから改めて目の前のこいつを見つめる。
『 …ほんま、いい匂いすんなぁ…
そっと項を撫でると柔らかい肉の感覚。噛み付いてしまいたいとも思うが、いつもとは違う満腹感が残っている。昨日飲んだ血は一口だけで、到底満足できる量ではなかったのに。これも運命だからなのだろうか、と決まった訳でもない”運命”を押し付ける。こいつにとって傍迷惑な話であると言うことに俺は気付いていない。
『 ……お~い、そろそろ起きろ~?
軽く揺するとゆっくりと長い睫毛が持ち上がる。煌めく桃色の瞳が俺を捉えて___
「 ……はぁぁぁ!?!?
……ビンタされた。吸血鬼であろうと痛いものは痛い。頬がじんじんと熱を持っている。眉をひそめて頬をさする俺を見て、流石にやりすぎたと思ったのか申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。
「 …ごめ、やりすぎた……、
『 ん、大丈夫、もう痛くあらへんし
「 …そ、ならいいけど、
素っ気ない態度で言うと俺の腕から出てソファーに座る。消えた温もりを残念に思っていると、くせっ毛の彼が口を開いた。
「 …あんた、なんで俺の事連れてきたの?急に首噛むし、棺桶に入れられるし……訳わかんないんだけど、?
『 何で、って言われてもな……俺吸血鬼やし、
「 ……は…、?
目を丸くして口をぱくぱくと動かしている。まぁ信じないのも無理は無いが……そこまで吸血鬼というのは信じられないものなのだろうか?
「 きゅ、うけつき…いや……え……!?
『 ほんまなんやけどなぁ…
「 ありえないッ…そんな訳ないじゃん……!!
『 ほんまやわ、同族の血ぃ飲むとかシンプルきもいやろが
「 …まぁそりゃね、?
「 んで…何で俺なの?てか何で倒れてたの?
そう聞かれ、俺は全て説明した。何十年も前から人間界で暮らしていること、数ヶ月人の血を吸えていなかったこと、そして貴方が自分の”運命”であるだろうということ。全てを説明された彼はあからさまに嫌な顔をした。冷静に考えれば当たり前だ。
「 ……ほんとに現実味ないんだけど…夢とかじゃないよね、これ
『 夢ちゃうわ、ちゃんと起きとる事やから
「 あ~そうですか……俺はあんたの御馳走なわけね
『 まぁそういう言い方もできるな、
「 ……取り敢えず、俺帰っていい?
『 …え?何で?
まさか帰ると言い出すとは思わなかった。一緒に暮らすんちゃうん?、と聞くと馬鹿じゃないのと言いたげな目で見てきた。そんな目をされる理由を考えていると大きな溜め息とともに口を開いた。
「 あのねぇ…俺には住んでるアパートあるの、
「 荷物移したり手続きしたり面倒なんだけど?
『 それくらい手伝うけど、
「 前のとこはコンビニ近かったからカップ麺すぐ買えるの!
『 食事は俺が用意するで?カップ麺…ってあの体に悪いやつやろ
「 ぅ”、ッ……で、でも…好みかどうかわかんないし!
『 口に合わんなら外で食べてもええで、金出すし
『 てか光熱費とかも俺が全額負担するけど?
何十年も生きていると金が溜まっていく。そろそろ使いたいなぁなんて思っているからちょうどいい。というか血を貰う立場なのだからこれくらい当たり前じゃないか?こいつが健康的になればその分美味しく血を飲めるし…と悶々と考えていると、肩がぷるぷると震えているのが見えた。
急な同棲提案を跳ね除けようとしたところに爆弾発言。引越しの手伝いだけではなく食事や光熱費まで面倒を見てくれる?そんな虫のいい話あるわけが無い。2人分だと結構な金額になるんじゃないか…?
…暫く考えて、そういえばこいつは俺の血を吸えば生きていけるやつだった、と思い出す。なら本当に俺の生活費も出して家事までやってくれるのか?その疑問を抱えたまま目の前の吸血鬼をちらりと見たが、当たり前だと言いたげなこいつの顔で悩みは消し飛んだ。
「 ……しく……します…
『 …どした、?聞こえんかったわ、
「 ……よろしくお願いしますッ……!!
巫山戯んなと思いつつ言い直し、とても癪だが頭を下げる。数秒後に顔を上げると、年齢に不釣合いな笑顔で此方を見ている吸血鬼がいた。
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遅くなりました
申し訳ないです
コメントめちゃ嬉しいです
コメント
2件
はわわわわ:(っ'ヮ'c): スキイイイイィィィィ(?) ………すみません取り乱しました え、もうなんというか、最高ですね 続きがすごく楽しみです!!(*^^*)
1個1個の表現が細かくて...なんというか、すごぉ...って感じです(?)本当にこのストーリー神ですよね、もう放心状態です(?)桃さん 承諾しちゃった〜♪どうなっちゃうんだろ〜 «٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク