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12月25日 午前4時
闇に包まれた部屋の中、五条悟は静かに目を閉じていた。
彼の身体には宿儺が受肉している。しかし、その表情には迷いはなく、ただ一つの決意が宿っていた。
「これで終わる。」
彼はすでに領域を展開していた。
「無量空処」
だが、今回は違う。
通常、領域展開は相手に必中の効果を及ぼすものだ。だが、五条は自らもその必中対象に含めた。
領域内での死の宣告。
宿儺とともに、自身を確実に滅するために。
領域の影響はすぐに現れた。
宿儺の意識が揺らぐ。
「…これは…貴様…まさか……!」
宿儺は即座に理解した。
これは五条悟が「自分ごと宿儺を消す」という最終手段であることを。
「おもしろい…!」
宿儺は笑った。
だが、すぐにその笑みは崩れる。
五条悟の身体が崩れ落ち、魂が消滅していく。
それとともに、宿儺もまた消えていく。
最強の呪術師が消えると同時に、最凶の呪いもまた消える。
しかし、宿儺は死の間際に最後の力を振り絞り、呪いを残そうとする。
「貴様に…敬意を表してやる…」
宿儺は五条悟の意識が完全に消える直前、その精神に何かを刻み込む。
それは呪いではなく、ただの言葉だった。
『また、どこかで会おう』
12月25日 午前7時
戦場には、ただ静寂が広がっていた。
五条悟の死体も、宿儺の死体も、そこにはない。
ただ、彼らが戦った証だけが残されていた。
山本麹、伏黒恵、乙骨憂太、九十九由基、夏油傑、歌姫、そして生き残った者たちはその場に立ち尽くす。
彼らは知っていた。
戦いは終わったのだと。
しかし、それが「勝利」なのかどうかは、誰にも分からなかった。
日本のどこか、とある寺の跡地。
そこには、まるで何事もなかったかのような静寂があった。
その場所の空気が、一瞬だけ揺らいだ。
…風が吹いた。
そして、その風の中で、かすかに笑い声が聞こえた気がした。
「ククク…」
完。