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「よし!こんなもんかな?」
勉強の目途をつけた千春はそろそろお昼かな?と携帯を見る、もう少しでお昼だ、そしてモリアンを見る。
コックリコックリ
「モリー、そろそろお昼だよー。」
「ふぁああい。」
「付き人がそんなんでいいの?」
「考えてみてくださいよ、途中お茶を入れたとはいえ4時間無言で立ってる人の事を。」
「いや、座ってたよねその椅子で。」
「多分気のせいです。」
「そっか、サフィーとユラちゃんを呼んできてくんない?」
「はーい。」
モリアンは扉を開け呼びに行く、直ぐに2人もこちらの部屋へ戻って来た。
「チハルお疲れ様、お昼にされますか?」
「うん、ユラちゃんもお疲れ様。」
「つかれてないよ?」
「おー偉いねぇ、挨拶みたいなものだから気にしないでいいよ、お昼はどうしようか?」
「食堂には行くんですよね?」
「そだね、ユラちゃん何か食べたい物ある?」
「はんばーがー!」
「私もハンバーガー食べたいですー!」
ユラとモリアンは朝も食べたハンバーガーをご所望だった。
「いや、流石にお昼は別の物食べようよ、美味しかったけどさ。」
「確かに美味しかったですね、あのパンの中身は変えたらサンドイッチになるんですか?」
「まぁパンに挟んだ物がハンバーグだからハンバーガーだと思うけど。」
「思うけど?」
「詳しくは知らない。」
「調べたりはしないんですか?」
「調べてまで知りたい情報?」
「・・・・いえ、そこまでは。」
「よし!食堂に行こうか!」
「「はーい!」」
黙って聞いていたユラとモリアンは名前の由来よりも食堂の方が大事だった。
「それで、お昼はハンバーガーじゃなく何か作るんです?」
「そうだねぇ、パンに挟んで食べるのが気に入ったならカツサンドでも作ろうか。」
サフィーナと千春は食堂に向かいながらメニューを考える。
「カツサンドですか?」
「そ、前作ろうと思ったんだけどウスターソースが作れそうに無いから作らなかったの。」
「なんちゃってウスターソースが作れたから?」
「そう言う事ですにゃー、ナンチャッテウスターを使ってカツサンド作りましょかね。」
「にゃー・・・たまに出ますね、にゃー。」
サフィーナは呆れたように真似をする。
「ユラちゃん、にゃーって言ってみてください!」
「にゃー?」
モリアンはユラに振る。
「かわいいなー!でも狐ならコンコンじゃないの?」
「え?きつねはわんわんだよ?」
「うっそん?」
ユラに狐の鳴き声を訂正された。
「まじか・・・あとでUツベで見てみよ・・・。」
4人は談話しながら食堂に着いた。
「ルノアーさん、きったよーん。」
「おー、お昼か、そろそろ準備も終わるが何を食べる?」
「んーちょっとまた作ろうかなって思ってね?」
「・・・・朝みたいなのは止めてくれ、あの後大変だったんだ。」
「ごめんごめん、でも似たような感じになったらごめんね。」
「・・・・まぁそれはしょうがない、新しい料理が作れると前向きに考えよう。」
「あはは、それじゃぁ豚・・オークのお肉のロースの部分って分かる?」
「ロース?」
「んっと背中あたりの肉で赤身と脂肪がくっきり分かれてる感じの場所。」
「ああ!あるぞ。」
ルノアーは肉があるテーブルに取りに行く。
「今日はオークのステーキもメニューに入れてたからな、コレだ。」
「おー!良いお肉だね、高級豚肉みたい。」
「これをどれくらい使うんだ?」
「サイズは朝パンに挟んだハンバーグくらい、厚みは2㎝くらい欲しいかな、それを4枚ね。」
「わかった、おい!これを2㎝くらいのサイズで切ってくれ!」
ルノアーは肉を持ってきた時に付いてきた料理人2人に肉を切らせる。
「あとは千切りキャベツを1人こんくらい・・・」
そういって手で器を作るように量を教える。
「よし、それはあっちのやつらにさせよう。」
「キャベツはすっごく細く切ってね、切った後は水に一度浸けて、そうするとシャキシャキになるから。」
「わかった。」
ルノアーはそう言って指示を飛ばす。
「それで肉の方は焼くだけか?」
「えっとねーちょっと手を加えるから見ててね。」
千春は切ったオーク肉を受け取りまな板に置く。
「こうやって斜めに1/3くらいの深さで刃を入れます、間隔は5㎜くらいで、だいたいでいいよ、全体に刃を入れたらひっくり返して同じように斜めに刃を入れる、そしたら裏表で格子状に刃は入る感じになるから。」
そう言ってオークロース肉を持ち上げ見せる。
「そうするとどうなるんだ?」
「肉がすっごく柔らかくなったように歯で嚙み切れるのと筋切りも出来るから肉が反らない。」
「ほぉぉぉ。」
「それからこの肉に塩と胡椒をかけて、あとはコロッケと一緒、小麦粉付けて、溶き卵付けてパン粉付けて揚げる、ただ揚げる時はカラアゲと一緒で二度揚げしてね、それで終わり。」
「ふんふん、よし、分かったお前ら聞いた通りだ、肉切ってる奴は切れたら刃を入れていけ、揚げ物の奴の所に持って行ってどんどん揚げろ!」
ルノアーは指示をどんどん飛ばす。
「ルノアーさん?」
「なんだい?」
「4枚でいんだけどー。」
「どうせそこで食べるんだろう?今からどんどん人が入って来たら絶対チハルさんが何食べてるか見るだろう、そして同じものを頼む、朝の二の舞が目に浮かぶ。」
「ごめんて。」
千春は苦笑いで答える。
「トンカツって言うんだけどこれにナンチャッテウスターを掛けて食べても美味しいよ、ビールによく合うらしい。」
「ビールってなんだ?」
「炭酸の麦で作ったお酒。」
「エールか!それじゃぁコレは夜のメニュー決定だな。」
「ココお酒飲めるの?」
「基本夜の飯だけだ、夜勤の奴等が寝る前に飲むときがあるから昼も出すことはあるがな。」
2人が話をしている間にパン粉も掛けられどんどん揚げられている。
「それじゃキャベツの千切りを水切りしてこっちに下さい、あとパンをお願い。」
「パンはコレな、あとはナンチャッテウスターってやつはコレだよな。」
「そう、あれ?作り方教えたっけ?」
「サフィーナとモリアンが味見してる横で見てたじゃないか。」
「そっか、手間が省けて助かる!」
トンカツが揚がって持って来られる。
「うっは美味しそ、そう言えばオーク食べるの初めてだな。」
「そうだったか?あぁ、ハンバーグの時は王族の食卓で食べてたな、猪肉よりも美味いぞ?」
「へぇ~それは楽しみだなぁ、それじゃパンにトンカツを乗せてキャベツを乗せます、その上からナンチャッテウスターをたらーっとかけて、その上にマヨ!」
マヨネーズをボトッとキャベツの上に乗せパンを置く。
「オークカツサンドバーガーできあがりー!」
「これは美味しそうな見た目と香りですね。」
「うん!マヨが乗ってて美味しいとしか思えない!」
「おいしそー!」
見ていた3人も食べて無いのに盛り上がっていた。
「それじゃあと3個つくりまーす。」
千春はさくさくっと作って皿に乗せる。
「ルノアーさんそこのテーブルで食べてるからフライドポテトとケチャップをお願いします。」
「分った、出来たら持って行くよ。」
「私が取りに来ますから大丈夫です!」
モリアンが進んで取りに行くらしい、4人はテーブルにオークカツサンドバーガーを置き各々座る、飲み物は給仕が用意してくれたフルーツジュースだ。
「それじゃぁ頂きます。」
「「「いただきます。」」」
4人は一斉に齧り付く。
「「「「・・・もぐもぐもぐもぐもぐ・・・」」」」
「うっま!オークうま!」
「美味しいですね、オークは良く口にしますが凄く柔らかいです。」
「・・・(コクコクコクコク)」
「おいしいぃぃぃ~~~!!!!」
「「モリアンうるさい!」」
「ユラちゃん、ゆっくり食べなーのどに詰まるよ?」
口いっぱいに入れたユラは口をもくもく動かしながらコクコク頷く、そして昼食を食べに来た兵士達がまたもや千春達を見つめる。
「料理長俺もあれくれ!」
「俺もだ!」
「俺もフライドポテト付きでな!」
俺も俺もと次々注文が入るが、ルノアーや料理人達はすでに準備をしっかりしていた、朝の二の舞を踏まないようにパンを切る係、重ねていく係と効率よく作り出していた。
「チハル様失礼します。」
千春の横から野太い声がした、何かと思い千春は直ぐに声の方を見た、いや見上げた、そこには2mは有ろうかと言う獣人が立っていた。
「おっと失礼しました。」
そう言ってその獣人は片膝を突き目線を合わせた、いや、それでも座った千春は少し見上げていたが。
「第一騎士団団長のエーデル・キアヌと申します、以後お見知りおきを。」
獣人は首を垂れながら自己紹介をする。
「チハル様、此方が先ほど王子殿下の言われておりました虎の獣人であるエーデル様です。」
「あーーーー、獣人で貴族の!」
「殿下より紹介されておりましたか!有難き事で御座います。」
首を垂れたままお礼を言うエーデル。
「それで、どうかされました?」
「いえ、この食堂の食事の改善、新しい料理を伝えて頂き有難く思いお礼も兼ね声を掛けさせていただきました。」
「いえいえ!自分が美味しい物を食べたいだけなので!あともうちょと砕けた感じで話してもらえたらすっっっっごい助かります!」
国王陛下やマルグリット、エンハルト等王族でさえ千春には結構な砕けた話し方をしてくれる、ココまで固い喋り方をするのは宰相くらいだが、宰相とは実はあまり話していない為実際初めてだった。
「そ・・そうですか?チハル王女殿下に砕けた・・・。」
「エーデルさんチハルさんはそう言うのあんまり気にしない人なんで普通に話していいと思いますよ?」
「モリアン、貴女はもうちょっと畏まりなさい。」
「サフィー、モリアンはこれくらいがいいよ、私も落ち着くし。」
「まぁそうですね、チハルがそう言うなら。」
サフィーナも当の本人から言われれば矛先を収めるしかない。
「そ、そうですか、いや、流石に・・」
「んー陛下とかお母様とかハルト兄様の前ではそう言う話し方で、普段は同僚くらいの話方でお願いします、それでどうかな?」
「はい、それでしたら。」
「あと呼び方はチハルでいいですよ。」
「いえ!それは流石に!チハル様で!」
「はい。」
千春もさすがにごり押しするほどではない為苦笑いで了承する。
「では改めて、食事を有難う、俺も食事が楽しみでしょうがないんだ。」
「それはルノアーさん達の努力と愛情の結晶だからねー、このカツサンドバーガーだって作り方教えただけで作ったのは料理人さん達だもん、それより早く頼まないと無くなるかもよ?」
そう言って後ろを見ると次々と消費されていくオークカツサンドバーガーが見えた。
「それはいかん!それではまた、何か有りましたら兵士へ一声かけて頂ければすぐ駆け付けます故、失礼致します!」
そう言ってエーデルは急いで注文に向かった。
「また固くなってたね。」
「仕方ありませんよ、あの方は軍人の中でも真面目の中の真面目と言われてますから。」
「すごいね、あの体格もそうだけど威圧感が半端ナイねー、こっちの獣人と大違いだ。」
そう言ってちょうどオークカツサンドバーガーの最後の一口を食べモグモグしているユラを見る。
「うん!可愛い!可愛いは正義だ!」
「それは私も同感です。」
「同じく、獣人と一括りにしてはダメだと私も思いました!」
3人に見つめられユラは「?」と言う顔をしながらコテンと頭を横に傾ける。
「「「可愛い!」」」