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多分、その日は暑くて溶けそうな夏だったと思う。
その日は本当に暑くて暑くて、外に出るのなんて私くらいだった。
特に予定は無かった。
ただ、体を動かしたかっただけだった。
「……この自転車…錆びてるな…」
アパートの前にある無駄にでかい駐輪場にはバラバラに自転車が止めてあり、時折倒れていたり、ロックを掛けていない自転車が盗まれたりしていた。
私の自転車の隣にあるそれ(自転車)はすっかり錆びていてもう使われていないことがわかる。
おまけにチェーンも外れていた。
「……誰か分からない…けど直したら喜ぶのかな……」
持ち主が使うとは限らない、寧ろ持ち主なんかもういないかも知れない
そんな自転車のチェーンを直した。
「……使われるといいね…」
そんな言葉を自転車にかけ、駐輪場から自分の自転車を取り、駐輪場から出た。
ーーーーーーーー
自転車で向かうところは勿論決まっていない
ふらーっと立ち寄れて時間を潰せればどこでも良かった。
「……!!」
そんな事を思っているとある建物が視界に入った
それは、私の大好きな、大好きな…
「本屋…!!!」
本屋だ。
漫画、雑誌、絵本や赤本までよりどりみどり
見出したら止まらない、買いたい欲が抑えられずいつも沢山購入してしまう。
「今日は見るだけ…見る…だけ……」
ーーーーーーーー
結局欲に負け漫画をたくさん購入してしまった。
「……まぁいっか」
いつも?の事なのでまあいいだろう。
自分に呆れながらも本屋を後にし帰り道を自転車に乗って漕いでいた
するりと肌にかすめる風がとても心地良い
『ずっとこの風を感じていたい』とそう思いながら家路についた
ーーーーーーーー
「ただいまー」
「…?スンスン」
家の中に入ると私の大好きな匂いがした
ふわっとした甘いお菓子のようなとても心地良い匂い。
あまりにもその匂いが良すぎてずっと玄関に立ったまま嗅いでいた
すると
「おかえり」と声をかけられた
「…!ふわらぁ!」
「楽しかった?笑」
「うん!」
甘々の匂いに塗れたこの子はどの食べ物よりも生物よりも甘く可愛く可憐だ
「譜春!大好き!!」
「ありがとう笑」
拒否することも拒むこともせず愛を受け入れてくれる、そんな譜春が大好きだ
:^)