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文を綴るのが好きだった。
文字は嫌い。自分を表現するのが好きなだけ。
何でも良かった。
詞でも、音でも、動きでも、なんでも。
いつからか、「好き」は「仕事」になった。
でも、そんな環境がどこか心地よい。
自分という存在を遺していくのが気持ちいい。
いつしか、そんな環境も、変わった。
「仕事」は「好きだった」になった。
大きな愛に包み込まれて、抜け出せない。
俺の、指先。
夢を掴む指先。
詩を綴る指先。
音を描く指先。
しがみつく指先。
マイクを握る指先。
引っ掻く指先。
斬られる指先。
赤い糸が結ばれた、指先。
.
貴方の音が好きだった。
綺麗事は嫌い。貴方の愛が好きなだけ。
何でも良かった。
愛でも、怒りでも、娯楽でも、なんでも。
いつからか、「好き」は「仕事」になった。
もうこの場所が愛おしくてたまらなかった。
貴方という存在を遺せるのが気持ちいい。
いつしか、そんな環境を変えた。
「好き」は「歪み」になった。
大きな愛を患ってしまって、前が見えない。
俺の、指先。
夢を掴む指先。
音を鳴らす指先。
支える指先。
絞める指先。
ピックを持つ指先。
傷付ける指先。
斬る指先。
赤い糸で結ばれた、指先。
赤く染った、指先。
糸なんかより、もっと濃くて綺麗。
貴方のと、俺の。
微妙に色の違うそれが混じり合う。
まるで糸が結ばれるみたいに。
これで一生一緒。
すきだよ。ずっと繋がれていようね。
この、赤黒い指先に誓って。