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nmmn / 夢 / NL
「 おつかれさま 」
午後23時。終電の時間が近づく夜
今日もその言葉を君へと渡す
「うん、ありがとう」
梅雨の生暖かい夜はわたし達の恋のようだった。
昼はミーティングやリハーサル、夜は配信。会える時間なんてほぼないのに配信が終わると必ず決まった場所にわたしを呼ぶ君。
でも「会いたい」なんて言葉、君の口から聞いた事ないな…
「…来てくれてありがとう」
「うん、会いたかったから」
傘の中、雨音が強くなると愛の気持ちも強くなる。
この無言の時間がもどかしくて、辛くて、苦しくて、きっと君はそんな事思ってないよね。
いつも愛を伝えるのはわたしからだもん。
いつも寂しいのはわたしだけだもん。
でもこんなこと言ったって君は困るだけだもんね。君の活動が第一優先だから、わたしは何も言わない
「もうすぐ駅着くね。…ここら辺で大丈夫だよ、送ってくれてありがと」
「…うん、気をつけてね!」
結局またこれで終わっちゃう。
寂しいとか言ってくれてもいいのにとか、くだらないことを考えながらも駅に入る
引き止められたい、なんてわがままかな
「…りあ、まって!」
「えっ、なに…」
振り返ると同時に、わたしは彼の腕に包み込まれた。わたしに体重をかけて強く抱きしめる君はまるで 「寂しい」って言ってるみたいだった。
「け、けちゃくん?」
そう問いかけながら優しく抱きしめ返すと肩に顔を埋めてくる君が愛おしかった。
「終電もうすぐなのにごめん…」
「どうしたの?なんかあった?」
「なんでだろうね、笑 僕もよくわかんない」
クスッと笑いながら言う君。わたしの方がよく分かんないけど…なんて思いながら君の腕の中で目を閉じる。
「…だいすきだよ。いつもありがとう」
「え、けちゃくん?」
「しゅ、終電来るから、ほら!」
わたしから離れた君の顔は赤く染まっていた。
照れて話を逸らそうとする君が大好き
「わたしもだいすき。気をつけて帰ってね」
「…うん、またね」
次は終電逃すから、今日よりもっと一緒にいようよ
ねぇ、見て
雨止んでるよ!