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※この作品では、そのEpisodeの視点の人の言葉を『』で、その他の人の言葉はすべて「」で統一させていただきます。「」の言葉が誰のものかわからない場合は、口調で判断してもらえるとありがたいです。それでもなお判断しきれない場合は、コメントしていただけると嬉しいです。少し考えさせていただきます。それをご理解の上この作品をお読みになられてください。
第一章:
第一話
”心”は存在しない
『瑠珀、起きて。』
僕の名前は琥珀。今は双子の弟である瑠珀を起こしている最中なのだ。
が、ユサユサと揺さぶっているにもかかわらず起きる気配がない。相変わらずだな。
、、はぁやりたくないがあれをするか。
僕は、瑠珀に近づき耳元で、
『起きたら、キスをしてやる。』
すると、ガバッとものすごい勢いで目の前の瑠珀が起き上がった。
まだ少し、ぽやぁっとしているが躊躇なく
「ん、ん」
とキスをねだってくる。とんだシスコン野郎だ。というか僕より可愛いと言うのに、、、どうしてシスコンに、、
『はいはい、、、チュ』
「もっと」
これは、いつものこと。キスすると、もっととねだってくる。だからこの手はつかいたくないんだ。
『瑠珀、もう終わり。ほらはやく支度して、今日は仕事でしょう?』
「ん、わかった。俺、頑張る。」
のそっと効果音が付きそうなくらいゆっくりと立ち上がり寝ぼけたまんまドアの方へって
ガンッ
ドアが開いていないのに気づかず、ドアに突っ込み、ごっつんこ。おでこが少し赤い気がする
でも、瑠珀はそんなこと気にせず歩き始める。
そんな瑠珀はやっぱりかわいい。
さて、瑠珀の仕事について話そう。まだ高校1年生の瑠珀は、モデルをしている。
僕と一緒に出かけていたときに街でスカウトされていた。こういうことは何回かあった。
何なら、僕も一緒にスカウトされることだって少なくなかった。
でも、僕がモデルになるのを母親が許してくれなかった。
瑠珀は、今までスカウトされた事務所の中で一番良さそうなところを選び入所した。
瑠珀の人気は申し分なかった。あっという間に事務所の先輩達を追い抜き、1番の売れっ子モデルになってしまった。
最近では、テレビ番組の方に出演してみないかとオファーがくることもあるそう。
『そろそろ僕も準備しようかな。』
ちなみに僕は、母親に虐待されているためご飯がもらえない。
なので、バイトして自分でためたお金で食べ物を買っている。
そして、僕にはバイト瑠珀をロケ地まで送り届けるという仕事がある。
ちなみに、瑠珀が起きるのが遅くていちいち事務所によっていたら間に合わなくなるからだそう。
おっと、話していたら時間がやばいな。今日は、あそこにも行くから服は動きやすいものにしよう。
僕は迷わずに黒いパーカーとデニムのショートパンツ、その中に着るタイツを棚から取り出し着替える。
あそこに行くときはいつもこれなのだ。
というか、これ以外の服がダサすぎたりボロすぎたりで着たくない、着れないものばかりなのだ。
着替え終わった僕は、瑠珀の方へと急ぐ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『瑠珀、準備できた?』
「まだぁ」
『もう時間ないよ。』
「え、うそっ」
バタバタと走る音が家中に響く。
僕はすでに外の車庫にある自分のバイクに腰掛けていた。
僕のバイクは、黒をベースとしたもので所々に琥珀色のラインが入っている。
そして、バイクのハンドルにはジャガーのマスコットキーホルダーがぶら下がっている。
何でも、僕と同じ名前だそうで瑠珀が旅行に行ったときに買ってきてくれた。気に入っている。
「お姉ちゃん、おまたせ!」
『瑠珀、遅い。』
さて、時間ないから飛ばしますか〜
「お姉ちゃん?まさか、飛ばす気じゃないよね。」
『うん、そのまさかだよ。』
「うぅ、ちょっとは手加減してよね。」
『それはどうかな?』
僕は今最高にワクワクしている。なぜって?そりゃ思いっきり飛ばすからだよ。
瑠珀にああ言われたけど、遅くなった瑠珀が悪いんだからね。
『瑠珀、しっかり捕まってなよ。』
「、、はぁ~い」
今の返事の仕方から、諦めたのだろうと悟る。まあでも、自業自得だ。
『行くよっ、』
ブルルンブルルンブルルンブンブーン
僕は豪快にスタートを切った。
今日のロケ地は沿岸沿いだそう。いま冬なのに。
スピードを出しているから、顔で思いっきり風を受ける。冬の風は冷たいな。
でも、さっきから腰辺りにガッチリと抱きついてくる瑠珀のお陰であまり寒く感じない。
さあ、時間もないしもっと飛ばしますか〜。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ、はぁ」
『瑠珀〜、着いたよ。降りないの?』
「飛ばし過ぎだよ、お姉ちゃん。俺、耐えられないって。」
『関係ない。はやく行かないと遅れるよ。せっかく急いだのに。』
「一人じゃ無理。立てない。お姉ちゃんも着いてきて。」
はぁ、こうなったか。僕、あまり人に会いたくないんだけど。
しょうがない、これも瑠珀のためだ。
『わかった。一緒に行くから。ほら、立って。』
「やった〜。」
こいつ今、ぴょんって立ちやがった。絶対演技してたな。まんまとはめられたよ。
はぁ、行きたくねぇ。
「お姉ちゃん行こ。」
『はいはい。』
二人で並んで、底の見えない海の方へとあるき出す。その上空には、薄暗い雲が広がっていた。
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「おはようございます!モデルの黒華瑠珀です。」
「おはようございます。」
「おお、瑠珀くんおはよう。」
「瑠珀くんおはようございます。」
「あ、マネージャーさん。おはようございます。」
「また連れてきたんですか。はぁ、」
『っ、すみません。僕お邪魔でしたよね。』
これは、いつも通り。
「はぁ、まったくだよ。わかってるんなら来ないでもらえるかしら。」
これも、、
「マネージャーさんやめてっ。俺が着いてきてっていったの、だからお姉ちゃんを責めないで。」
これも、、、、
「大丈夫だよ、瑠珀くん。私は責めてるわけじゃないから。ね?お姉さん。」
『瑠珀、僕は大丈夫よ。また終わる頃連絡してね。迎えにくるから。』
「むぅ、わかった。お姉ちゃん、また後でね!」
『はいはい、頑張ってね。』
「二度と来るな。」
耳元でボソッと囁かれる。
これも、、全部いつも通りだ。
この人にあったら必ずああ言われる。もう、何回聞いただろうか。
僕は、瑠珀を残してこの場を去る。
そして、あそこに行くため僕はバイクを走らせる。
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カツンカツンと足音が響くここは、繁華街の裏路地。いわゆる社会の裏だ。
ここらへんでは、喧嘩はもちろん殺しだってある。薬は当たり前でみんな狂っている。
僕もその一人だ。僕は薬はしていないしタバコも吸っていない。
だが、僕だって喧嘩はする。相手をボコボコにしすぎて殺してしまったこともある。
そんな僕は、今日も裏の世界で一人彷徨う。