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奇危回異
「転生するならスライムだよね。」千秋
「ラノベ系は始まりませんよ?」小鳥 悠
1話「空想」
此処は空想世界。人間が立ち寄れない所か世界のどこに行っても見つからない、見えない世界。人間ならの話だが。
「ぁあああああっ!」
男の情けない叫び声が空想世界の1部で響き渡る、その叫び声を聞いた住人達は声のする方へ歩く。
「ぅーー」
声のする方を辿った住人達は音の主の周りに集まる、まるでじゃじゃ馬の如く。
「何処ここ。誰あなた達!?」
そう叫ぶ男を不思議そうに眺めていると子供の様な青年がじゃじゃ馬をすり抜け男に近付く、
「やあ…空想世界にようこそ?、君は確か……、」
と、男の様子も気にせず話し掛ける。
「小鳥 悠。、、16歳、高校1年生…男性、165cm、視力が悪くメガネを掛けているが、メガネでよく馬鹿にされると。あとスイカ好き」
と青年が、
「ぇ、なんで知って……公開処刑……」
涙目になる小鳥に青年は
「僕は千秋…この世界でいっちばん偉い神様だよ、まあ他の世界でもだけど」
そういう。
「神様……僕を元の世界に戻してくださいここはどこぉおお!!」
懺悔のポーズで泣きながら小鳥は言う
「此処は空想世界。君を戻す事は残念ながらもうできない…君はあの世界の生き残りだから。」
千秋が生き残りと言った瞬間住人達は小鳥の周りに固まるのを辞め大人しく道を開く。
「わわ……?」
それを見て固まる小鳥、を見てクスッと笑う千秋。
「…生き残りはね、生存者様と呼ばれるのさ、滅んだ世界の生き残り様って意味でね。僕は滅んだ世界の生き残りを探してもらい、この空想世界に送っているのさ。君は歓迎されて居るのさ…”特別”な生き残りだから。」
「生き……残り、滅んだ、世界の。」
千秋の言葉に絶望する小鳥は足がすくんでしまう。
「僕の、家族は?」
不安げに聞いてくる小鳥に千秋は嘲笑うように言う
「君、此処に来た時1人だったでしょ?。そゆことだから」
「ぇ……。」
千秋は小鳥の手を引くと、開いた道を通って行く。
「落ち込む暇は無いから、ささ…君の新しい家にご招待だ」
明るい口調でそう言う千秋に少し戸惑いながらも、小鳥は黙々とついて行く
2話「門番」
30分程歩くと大きい館が見えてくる、薄暗い雰囲気でタイルや壁、柱などがドス黒い色をしている、禍々しさに顔を少し顰めると
「そんな顔しないでよ…ここが君の新しい家なんだから」
そう気持ち悪いぐらいウザイ顔で言ってくるので
「え、ここが僕の?…新しい家?……。チェンジで」
「うそ、僕結構気に入ってるんだけど。」
感性が歪んでる千秋は物凄く残念そうな顔をする、少しだけ殺りたくなった 。
門前近くに行くと門番が居るのが見える、結構でかい…結構ってか、巨人??レベルの、と心の中で思っていると千秋は僕の腕をガッシリ掴むとズカズカと門番の真正面に立つ。
おいおい嘘でしょ、と思っていると
「よ、たーでまハード、、帰ってきたぞ」
「おかえりなさい…。そちらの方は…?」
泣く子はギャン泣きするレベルの声色と図体で、此方を三角の布の下から睨み付けられる。
「そんなに威嚇すんなって…☆、この子は小鳥 悠。特別な生存者様だ。」
「……そうですか、失礼致しました。俺はハード。以後お見知りおきを」
ハードと名乗る男性は頭を少し下げ後ろに1歩下がる
「あ、はあ……ど、どうも…」
と言うか怖すぎる。
「あー、ハード怖い?、んま確かに。図体余計にデカイもんね〜!」
「貴方は一言余計ですけどね。」
呪い殺しそうな目で千秋を直視するハードは恐ろしすぎる。
「、、あはは……。」
「…中、入られるんですよね。どうぞ…ごゆっくり」
家に帰りたい……家ここなのか。
「あはは、白目剥いてる。!」
「笑えませんが?」
とハードは言う。
「じゃ、僕ら中行くね〜!後で会議ね、来いよー」
そう言い千秋は僕の腕を離し、手を握り引っ張られる。
3話「手」
玄関の廊下の壁に飾られてある絵は、どれも見た事が無いもので、何処の物なのか聞いてみると
「これはねー……まあ時期に分かるっしょ」
と促されてしまう、千秋は僕の前を歩き廊下の曲がり角でちょいちょいと来るのを急かす。
いい加減手を離して欲しい。
「ん?………あれ。」
手?千秋は廊下の曲がり角に居て僕は玄関付近だぞ?千秋の場所から僕の場所まで5分くらいは掛かりそうだが?
「…………」
あまりの出来事に硬直してしまう、怖くて自分の手を見る事が出来ない。
「ぁ……。あ…、ぁああああああああああッッッ!??!」
勇気をだして自分の手を勢いよく見ると、手首から下が無い手が僕の手を握って居た、あまりの恐怖に手をブンブン振り回し引き剥がそうとしたが中々離れず、僕は泣き叫んだ。
「……うるせえな…ハンド達がビビるだろ。黙って掴まれとけ」
不意に背後から声が聞こえ、肩をビクッと震わせる。
「…ひ………」
後ろを振り向くと、1人の男が立っている、よく見ると僕の手を握っている奴と同じような手が男の至る所を掴んでいた。
「おいハンド。ソイツの手離せ。ったくどこいったかと思ったら……」
男は清々しい顔で言うとハンドと呼ばれるものは僕の手を離し宙を浮くと大人しく彼に掴まる。
「はあ、……で、お前誰」
すんとした表情で此方を向き直す男
「え、、、と……小鳥 悠です……そ、それじゃあっ!?」
僕は怖くなりその場を離れ千秋の元へと全力ダッシュした。駆け付けた場所には千秋は居らず、階段と道に続く廊下があるのみだった。
最悪だ……終わった。
と思っていると玄関側からコツコツと足音が響く。
ぜ…絶対あの人だっっ……。、もう帰りたいっ誰か夢だと言ってくださいっ!?
怖くなり階段前で膝を崩し絶望していると後ろに気配がした。
え、もう後ろまで…
「おい……邪魔だ。」
あの声が聞こえ、ビビり散らかす俺を見下ろす。
「なんだ?…新しい食材?、それとも新しい社員か。」
しょ、食材…断じてそれは無いと誰か言って欲しい。社員は知らないけど。
「…ああ。千秋の連れか。道理で鈍臭いわけだ。」
「酷いですっ!!、僕は今にも死にそうなんですけどっ!」
「そうかどうでもいい、そこ邪魔だつってるだろ、会議に間に合わねえ。」
男は僕の体を足でどかすと階段を登ろうとする、僕はその足を掴み動きを止める。
「ぼ、僕も連れてってください、、千秋さんとはぐれてしまって、場所が分からないんです」
そう言うと男は顔を顰める、少し間があき
「分かった、分かったから…離せ。」
4話「電源」
何だかんだあり男に名を聞く、どうやら男はライと言うらしい。
「なんか……寒くないですか、ライさん」
その問いには「普通」と返される。すると「いやちょっと寒いかもな」こう付け足す。
「ですよね…」
寒さに体を震わすと何処から持ってきたのかハンドがジャケットの様な上着を僕に渡してくる。
「あ、ありがとうございます……」
「おかしいな、秋とは言えこんなさみいか?12月の真冬より寒いぞ…」
「で、ですよね?…どうしてでしょうか…。」
渡されたジャケットを着ながら答える、
「…此処はクーラーもねえしな…、っかしいな」
とライはハンドを使い廊下中を手探りで探す、すると僕達が歩くちょっと前の空間に亀裂が入る。そこからどんどん破れていきついには円形の黒い穴のような物になってしまった。
「ぇ、ええ!」
それにびっくりしているとライは、はあと溜め息を付き
「お前のせいか……」
その穴に向かって言う
どういう意味か分からず、え、と零れる。すると黒い穴から手が伸びてき、次第に上半身が出てくる。
「ひぇっ……」
訳が分からない状況に困惑する、髪が長く翠の目をした者と目が合う。
「aー…すまん…またバグっちまってこれだ…すぐ直るから待っとけ。」
そんな事言われても…。
「てかお前誰?」
「そんなこと言われても……」
ほんとにね
「コイツ…小鳥って言うんだと。」
「へー、じゃあヒヨコな。俺はバグ、宜しく」
「…そ、そうですか」
ここの人たちってみんな結構タフなのかな…なんて思えてくるぐらいには受け入れるのが早い気がする。
「おいバグ、千秋何処に居た?」
「会議室」
「そうか。」
会話はそれだけで終わりライはそそくさとその場を後にした。勿論僕も。
続く(((多分。