WTさんのBL?nmmnです。
なんでも許せる方のみの拝覧を推奨します。
読み切り 解説付き(次話)
ATTENTION
・kn×sm ⚠︎左右なし
・死ネタ
knさんはどっか闇の人でその上司のnkさん。何故か狙われてたsmさんのお話。
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愛を模して愛を殺す
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knst
sm「なぁ。」
「…なに。」
緩やかに枯れていく菫。
それを見つめながら自らの手に最大限の想いを込めた。
sm「…す …き」
文字と文字の間に空白を詰めながら綴るその言葉に、戸惑って手を弛めてしまった。
喉が収縮したのであろうヒュッと甲高い音を出しながら咳を出す目の前のソレに目をやれなかった。
自身の体を浮き沈みさせるソレの腹の動きに呼吸を許してしまっているという焦燥感が込み上げて上手く息が吸えなくて、次第にゆらゆらと視界が揺れ動いた。
それでもやらなくては。と輪郭さえも正確に移せないこの目でソレを写しながらまた手に力を込めた。今度は勢いよくと。
手に、もっと、もっと力を加えなくては。
そう思うと自身の口からは枯れた声しか出なくて、幾度となく聴いてきたその鈍い音をまさか自分がだすことになるとは思いもしなかった。
その声を転写したのように目の前のソレも同じ音を出しては身のうち回っていた。
手から伝わる血の音は、谷に差し掛かるように静かになっていった。
それとは対照的に、腐木を踏み締める音だけが、耳をつんざくほど大きくなった。
耳を塞ぎたいがそれが出来るこの手はその原因を作っていて、しょうがないから自身の音でそれらを無に帰した。
獣が怒り狂ったような音しか聞こえなくなった時、頬に微動を感じた。力を入れるために瞑っていた目を開くと、そこには帰りたい場所があった。
sm「……」
無言のまま微笑み、こちらの頬へと手を伸ばしていた。最後でそんな非効率なことをする愚か者が居るのかと思った。
あまりに愚かで顔を歪ませると視界が狭まりよく見えなくなってしまった。
頬どころかこの身体に一切の振動が伝わらなくなった時、ソレから手を離した。
何故が微動を帯びる手で自身の胸元へと手をやり1つの機器に触れた。
ジジッとお世辞にも綺麗だとは言えない機械特有の音を放ったそれに、静まり返ったこの場所から叩きつけるように声を組み込んだ。
「…お掃除…終わりました。」
また同じ音を繰り返したかと思うと誰かのものを模した合成音声が届いた。
「長い間、お疲れ様。後は他のやつが引き継ぐから気をつけて帰っておいで。」
長らく聴きたかったその声に何も情など持てず、冷えきった襤褸をそっと撫でその場を後にした。
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そんな過去のことを思い出しては嗚咽を出す。
?「ほーんと、残念だよ」
目の前にある水色はそう言って忌々しそうにこちらを見つめる。
先程入れられた腹への蹴りのせいで何かが逆流してくる。
mb「まだ吐かせますか?Nakamuさん」
nk「…もういいよ。腹のものを出したんだ。吐く物も吐き出しただろ。」
nk「じゃ、きんとき。最後のお仕事ね。」
ゆらりゆらりと霞む視界に映るその姿はこちらへと近づいてくる
あー。最後なんだ。と分かる。
やっと愛する恋人の元へ、自身がこの手にかけたスマイルの元へと行けるのだと考えたらなんだか安心してしまった。
耳元で風がすると同時に耳打ちされる。
nk「愛してたよ」
いつもの彼の態度からは想像できないほど、震えていて弱々しいその声が酷くこびりつく。
ふっと目の前の人物がどこか悲しげに笑うと冷気を帯びた銃口が額へと押し付けられた。
その言葉が最後の、貴方から俺に手向けた愛だった。
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nkst
赤色をバックにぐったりとしたあいつの四肢を眺めた。
本当に馬鹿なヤツ。
殺すために近寄ったやつに惚れ込んで、苦しくなって、僕を裏切るなんて。
…まぁ、所詮は道具だ。嘘の愛で懐柔する必要のある道具。道具に愛着をもつことなんてありえない。
…そうありえないのだ
嬉しい。ありがとう。と虚像の愛で伝える物事をはにかみながら幸せそうに笑う目の前の道具のことを思い出す。
手にこびりついた、鉄の匂いを放つ赤を差し出された布で拭き取とった。
「本当に。残念だよ。」
そんな言葉をこの部屋に赤に染った布と同じように捨てて、詰まるような息苦しさから外に出た。
外は灰色に覆われていて、頬に雫が垂れる。
いつぞやの日だったか、彼に手渡した書類で見たあの色を思い出せるこの花を
菫を踏み潰した。
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