駅長が私を椅子に座らせ、話を始めた。
「えー…コホン。まず、皆様…こんな手荒な方法で連れてきてしまって大変申し訳ありませんでした!」
私たちはその言葉に困惑した。彼から謝罪の言葉が出るとは思ってもみなかった。
「まず、私が皆様がいる各駅に行って、列車に乗ってもらおうとしたのですが、そこに座っている水無月ねね様の所へ行くと…これでもかというほどに反抗されてしまって…こうなった時の最終手段としてあのガスを使ったんですぅ…」
演技に聞こえる悲しそうな声で語りかけるが、彼の言う水無月ねねと思われる女の子が椅子から立ち上がり彼を指さした。
「そうよ!それであたし死にかけたんだから!まずそもそもあんたが…」
彼女の言葉を無視して遮るように駅長は話を続けた。
「それでぇ…思ったよりガスの量が多くて色んなとこに充満しちゃって…でも…起きるまで置いとくのもアレだしぃ…」
どんどん弱っていく彼の声を聞くのが苦痛になったのか、魔法少女のような服を着ている人が手を挙げた。
「はいはい!わかった!わかったから!まずは自己紹介からじゃない?」
ボイスチェンジャーを使って話している彼女の意見は正しく、みんなが賛成した。
全員が賛成したところで、好きな順番に自己紹介をすることになった。
「じゃあ!まずは私からですね!ここの駅長!あ、でもここの車掌です!キャンドルのキャン・ドリーです!」
化け物。人ではないことはみんな重々承知しているだろう。駅長でもあり車掌でもあるそうだ。
「あ、睦月凛子です!えーっと…小説家やってます!よろしくお願いしまーす…!」
緊張して手の甲を撫でる。こんなこと言っても私のこと知ってるわけはない。
「堺さつきです…よろしくお願いします…?」
彼は…よく分からない、少し緊張しているようだ。だが結構イケメンだ。この中で一番かもしれない。
「水無月ねね!アンタたちよりよっぽど偉いから!よろしく!」
お嬢様だ…フランス人形のような見た目だ…綺麗…!ライトノベルに出てくるヒロインのようなツンデレオーラを感じる。
「はぁっ…はぁっ…ここに…私の推しのオトメちゃんがなぜかいて…天国っ…!あっ…佐々木やよいです…!腐女子です…!」
オタク系の女の子だ…そこの女の子が推し…有名なのかな?彼女はすごく目が泳ぎモジモジしている。腐女子らしい。
「如月オトメでーす!あ…でも、卯月慎太郎です!よろしくお願いします!ごめんね!やよいちゃん!」
彼女がつけていたボイスチェンジャーを外した途端、エクステだったツインテールも外して服以外完全に男性になった。うわ…
人がいたこと、人の名前や人格性がわかった途端、心強くて安心した。
そんな想いに浸りながら談笑している内に、急に列車が止まった。
コメント
4件
設定から何から良すぎて発狂した
え、キャラ設定良。全員可愛ッ