玄関のドアを開け、外へ出る。
息を吐くと、白い煙が出る。
「…早く行って帰ろう」
そうつぶやき、近くのコンビニへ行く
〜蜂楽side〜
「わああっ!今のゴールすっご!!」
世っちゃん、世っちゃん
「………世っちゃん…早く帰ってきて…おねがい…」
不安だよ、俺。世っちゃんが帰ってこないかもしれない。
俺を置いて、どこか遠くに行っちゃうかもしれない。
そう思うとね、苦しくて、苦しくて、たまらなくなる。
胸が痛くて、息が止まるような感覚がして、つらくなる。
「世っちゃん…俺、ご飯いらないから…帰ってきて…」
どんどんどんどん苦しくなってく。
「はぁっ…はぁっ…」
俺はドアに走ってた。
ふらふらする。世っちゃん、たすけて。
〚ドアを開けて。〛
「…へっ?世っちゃん?」
〚ううん。俺は潔じゃない。でも、俺は君を助けてあげれる。一番近いところで。〛
「…ガチャッ」
俺はドアを開けてはしってた。
どこかわからない場所。なにがどこにあるのか、俺がどこにいるのかもわかんない。
でも、俺は走ってた。
「いたっ、ぁ、血…」
ころんじゃった。ころんじゃった。でも、でも、世っちゃん、いない。
お母さんも、世っちゃんもいない。どうしよう。どうしよう。
〚大丈夫。前を向いて。立って、前を向いて、堂々と。君なら、潔のためにできるでしょ?〛
「…ッ世っちゃん…」
俺はまた走った。心が向く方に。自分がどこに行ってるのかわかんないけど、必死に走ってた。
あったかいお家を見つけた。不安じゃない。俺はお家のインターホンを押した。
そしたら、俺に似た人が出てきた。
「はぁーい?あれ、君だぁれ?どこから来たの?」
「ぅ…あ…」
うまく喋れない。でもこわくない。
「…ッ世っちゃん知らないっ、ですかっ」
声がふるえる。でも、多分、この人なら大丈夫だからっ
「世っちゃん…世っちゃん?もしかして、潔?」
「うんっ、潔おにーちゃんっ」
「な、なんで?どうしたの?なんで潔を探してるの?」
世っちゃんの名前をいうと、出てきたおにーちゃんは少しどうよう?っていうのをしてた。
きょどーふしん?なのかなぁ。
「と、とりあえず上がって!君怪我してるし!」
「お、おじゃまします…」
しらないひとのお家。なんで、怖くないんだろう。
世っちゃんのおうちも、このひとのお家も怖くない。
なんでだろう。
「ありゃ?髪の毛少し濡れてるね。こっちおいで!乾かしてあげる!」
「え…えっと…」
いきなりでちょっとこわい。
「ほら、風邪引いちゃうよ?いさg…世っちゃんに心配かけちゃうよ?」
「いやっ!!」
世っちゃんに心配かけさせたくない!!!
だから、俺はおにーちゃんの方に歩いた。