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空を久々に見上げた竜凰は懐かしさを感じていた。最近は忙しく、空を見上げる機会も少なかったな、と目から伝わってくる日差しを通じて思った。周りからはいろんな人が挨拶を交わして、今日、一日のスタートを切っている。母親から離れてからは挨拶をする人がおらず、悲しく思う。今日は真夏で体育祭の準備するのには、倒れそうな厚さである。
「気温が高いため、水分補給をこまめにし、体調管理を徹底しましょう」
生徒会長として、みんなに呼びかけをして準備をはじめる。この高校は他の高校と違い、夏に体育祭があり、秋に文化祭がある。体育祭が夏にあるため、熱中症で倒れる人が続出する。
「あちぃーし、だり〜」
「はよ終わらそーぜ」
そんな声が次々飛び交う中、
「えー!まじで?!まゆ、B組のあの人のこと好きなの?!」
「しー!声大きいよ!さら」
「あ、ごめん、で??なんでなんで?!」
など恋バナを繰り広げる女子たちが、明るい声で話している。体育祭や文化祭近くになると、クラスを飛び越えて関わることが多くなるため、恋愛をする人が多くなる。恋ってどんなものなのだろう、と竜凰は話をしている女子を横目に考える。頭に一条の顔が浮かぶ。
(っいや!ちがう、そんな訳ない、)
竜凰は心の中では否定しているが、当たりを見回し一条を探している。想像以上に一条はすぐに見つかった。いつも一条の周りにいるメンバーと笑いながら、準備をしていた。その輝かしい笑顔に嬉しさが生まれる。最近では絡むことが多くなったため、少しずつ竜凰は一条に感心を抱いていた。
朝早くに目を覚ました。カーテンをあけ、天気を確認する。昨日とはうってかわり快晴だった。生徒会や実行委員は朝早くから集合して、準備をしなければならないため、いつもより早めに起きた。外に出ると気温が高く、地面からは熱を感じる。学校には集合時間より30分は早く着いてしまった。生徒会長としてやることが多いため、都合がいいと思い、準備を始めた。15分ほどすると、
「楽しみすぎて、ちょー早く着いたわ〜」
などと盛り上がっている一条たちが学校に来た。そして、俺に気づいた一条が少し小走りで近づいてきた。
「竜凰も早く着いたのか?」
「家を思ったより早く出てしまった。」
ホストに最近は出入りしていなかったため、久しぶりに一条と話す。そのため、素っ気ない返事になってしまう。
「そうか、また倒れるなよ?」
そう言われ、熱を出し寝込んでいる時のことを思い出してしまった。
「あぁ、気をつける」
また素っ気ない返事をする。一条は友達に呼ばれ「じゃ、また」と告げ、帰って行った。集合時間になるにつれ、どんどん人が集まった来た。作業スピードはどんと上がり、すぐに準備が整った。全校生徒が雲ひとつない空の下で集合した。