コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
緑谷班side(甲田、青山、麗日、蛙水)
不気味だなと思った。
トン、トン。
階段を下がっていく度になる足の音。
それがまるで自分の足音では無いように思えてしまう。
恐怖というのは人をおかしくするらしい。
甲田「保健室…」
1階について薄暗い廊下を見渡す。
目の前には保健室と書いてあるプレート。
保健室の横は下駄箱のようだった。
緑谷「包帯とか、緊急用に持っていった方がいいかもね」
蛙水「みんなも保健室に来るかもだから、欲張りすぎても良くないわ」
そして保健室の扉に手をかける。
ガタガタ。
扉の音が、やけに不気味に聞こえた。
蛙水「お茶子ちゃん、顔色が悪いわ」
蛙水の声に、緑谷は振り向いた。
確かに顔色が悪い。
緑谷「ちょっと休んでから行こう。」
そう決めて保健室のベットに麗日を横たわらせ、医療道具を物色する。
甲田は個性の関係上、動物の治療にはある程度慣れているようで、参考にしながら。
緑谷「3人も今のうちに休んだ方がいいよ」
扉の方は僕が見ておく、そう付け足す。
しかし蛙水はこれに反対した。
蛙水「でもそうしたら緑谷ちゃんが大変よ」
緑谷「僕は次の機会にでも寝かせてもらうから、大丈夫。」
蛙水「…わかったわ、約束よ」
そうして空いていたベットに3人は入っていった。
緑谷「さて、」
あまり音を立てる探索は良くない。
あとみんなが寝るまでは動くこともしない方がいいだろう。
となると必然的に思考するしかない。
今の段階でこの中から鬼を見つけ出すことは不可能に思える。
なんせ飛び抜けて怪しい人がいない。
怪しいと思えば、全員が怪しいのだ。
じゃあなにを考えようか。
そうだ、ゲームの主催について。
このゲームの主催は子供と考えていいだろう。
字が歪だし、ひらがなだった。
では主催とは誰か。
それは恐らく、このクラスの誰かの知り合いだ。
手紙の中で何度も【あなた】と【あなたのお友達】で分けていた。
特定の誰かの知り合いがゲームを主催している。
「緑谷ちゃん!!!逃げて!!!!」
声に驚いてバッと振り返る。
蛙水の声だ。
そして
緑谷「うら、らかさん…?」
麗日が、蛙水をメスで何度も何度も刺していた。
グサ、グサ、グサ、グサ。
白くて清潔に見えた布団が、赤く染まっていく。
時より聞こえる蛙水のうめき声が、苦しい。
そうだ、青山くんと甲田くん
蛙水の隣のベットをみた
緑谷「うそだ」
真っ赤。
ベットの下にはありえないほどの血が垂れていた。
もう2人、いや3人は生きていないだろう。
僕が休んでと言ったから。
僕が注意していなかったから。
僕のせいで、3人が
麗日「ふふ、あとひとりだね」
蛙水の声が頭に響いた。
『逃げて!!!!』
そうだ、逃げなくちゃ。
保健室をパッと飛び出した。
どこか、どこかに行かなくちゃ。
息が苦しい。
2階には上がれない。
誰かが探索しているはず。
麗日さんを連れて行けない。
緑谷「ハッ…ハッ…」
普段鍛えてるのが嘘のように、息が上がった。
苦しい、あれは誰なんだ。
鬼。
このゲームの鬼なのだろう。
グサ、グサ。
あの音が、呻き声が、耳を離れない。
麗日「でーくくんーどーこー?」
やめろ、その声で僕を呼ぶな。
麗日「ひとりはあぶないよー?」
あれは、麗日さんじゃない。
麗日「おーい、どこー?」
やられる前に、やらないといけないんだ。
鬼が後ろを向いた瞬間、僕は影から飛び出して鬼の手にあったメスを黒鞭で掴んだ。
そして僕の手に収まったそのメスで、鬼の腹を刺した。
麗日「う、そ…なんで、デク…くん」
ここに来ても演技か。
鬼を刺した手の震えが止まらない。
鬼とはいえ、僕は生き物を殺したのだ。
頭がぼーっとして、落ち着かない。
手が、冷たい。
バタリと音を立てて鬼が倒れた。
でもまだ息はある。
とどめを、ささないと。
震えるてで、鬼の腹に刺さったナイフを抜いた。
切島「うら、らか…?」
声に驚いてバッ階段の方を向いた。
そこには2階を担当していた爆豪班が。
早く麗日さんが鬼だったことを伝えなきゃ
緑谷「みん」
視界が、ゆらいだ。
BONBONBON!!!!
爆豪「まさかテメェがユダだったとはなクソデク!!!!」
耳郎「っ、まだ生きがある!」
瀬呂「あそこ!保健室!!」
切島「俺運ぶわ!背中乗せてくれ!!」
僕の目の前では、麗日さんを助けようと人命救助が行われていた。
なんで、その麗日さんは鬼なのに。
爆豪「ユダはユダらしく死ね!!!」
そう言いつつ、拘束する当たりがかっちゃんらしいなと、場違いにも思った。
そして、ふと思う。
2階には爆豪班。
1階には僕らの班。
黒鞭が使えたことから、個性は使用可能。
おかしい。
この状況で、彼女が間違えるはずない。
保健室に向かう切島の背中をおう耳郎が、にやりと笑った。
【5話・ユダ】