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「…っと、そろそろ散歩再開しないと」暫く探偵社で駄弁っていた舞だったが、ふと散歩の途中だったことを思い出して腰を上げた。
「えー、まだ居てもいいのにぃ…」
「お仕事なので、ごめんなさい」
「そうかい。怪我したらすぐ戻って来るんだよ」
「了解しましった。お母様」
と敬礼して刀を取り、探偵社を出ようと扉を開ける。
「……失礼しました」
「待ちなさい」
そこには見知った男性が立っており、捕まってしまった。
「何だよー。離してよう、お父さーん」
「誰がお父さんだ」
((一寸 嬉しそう…))
横で二人のやり取りを見ていた立原と銀は、二人して和んでいる。
「って、そんな悠長にしている訳にもいかないんスよ!」
「ふーん、そっか。じゃあ邪魔する訳にもいかないし私は行くね」
「だから駄目ですって」
「もー、そんなに遊びたいの?しょーが無いなぁ〜…」
そう云うと舞は、手にしていた刀を前に突き出してにっこりと笑顔を浮かべる。
「私が遊んだげる」
病室を抜け出して探偵社から逃げていた時、探偵社の方から爆発音の様なものが聞こえた。
「…!?」
瞬間、探偵社に向かって走り出していた。何故 探偵社が襲われているのか理解が出来ない。
無我夢中で走っている内に探偵社のある建物まで辿り着いた。そうして階段を上り、探偵社の眼の前まで来た。だが、そこには…
「…ありゃ、敦君?先刻振りだねー」
と、伸びた輩の上に座り、先程までの可愛らしい笑顔を振り撒く少女がいた。
「…ん」
「ん?」
「舞ちゃん!!怪我は!?」
「あえ、な、何…?」
敦が物凄い勢いで飛びついてきたため、何時もの飄々とした態度は消えて驚いた表情に変わる。
そんな時、探偵社の扉が開いた。
「うわっ!ま、舞…と敦!?」
「国木田さん!舞ちゃんが…!!」
「何!?」
「ちょちょちょ!待っ…!」
舞が慌てて止めようとするのも虚しく、出てきた与謝野女医に連れて行かれてしまった。
「…うん、怪我は無いみたいだねェ」
「ふふん。私は頑丈だからねー」
にこにこ得意気に云う舞を横目に救急箱を片しながら溜息を吐く。
「はいはい…あんまり心配掛けんじゃないよ。偶々太宰が居なかったから良かったものの…」
「あー…バレたら面倒か。絶対秘密!ねっ」
「ぐっ…し、仕方ない…(可愛い…!)」
上目遣いの彼女に与謝野女医は額に手を当て、天を仰いだ。
その後、舞は賢治と共に伸びたマフィアの連中を片し、去り際にもう一度与謝野女医に念を押して散歩へ戻っていった。