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好都合だと思ったんだ。
つまらなかった授業が。
僕にとっては最高のチャンスで…
逃すことなんて許されなかった。
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︎ ︎︎︎︎︎ Look at me
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「今回の授業はアモルテンシアについて調べてもらう。」
「さて、アモルテンシアとは何か、皆はご存知かな?」
グレンジャーがびしっ、と手を挙げる光景が伺えた。
唯一贔屓してくれ、自分も得意な魔法薬学の授業、グリフィンドールとの合同授業で少し胸が踊った。…というのも理由は簡易的なものだ。ポッターと顔を合わせられるから、なんてものだった。ポッターと顔を合わせれば口喧嘩は当たり前、隣にいるウィーズリーやグレンジャーも巻き込んで嫌味を垂らせる。その時に段々と赤くなる顔は最高の光景そのもの。僕の言葉でコロコロと表情が変わる此奴等を見ていて暇な時間は無かった。
…ただ、最近は少しした悩みがある。ポッターが僕にみせたことの無い顔であの二人と話している所をよく見るようになった。尤も、僕に見せる顔なんて3種類ほどしかなかったが…。それでも楽しげに笑っている顔を僕にも見せて欲しかった。彼らが楽しげにしている姿を見て心に霧ができたかの如くモヤモヤとして、少し苦しくなる。というのが悩みの詳細だった。
「…Ms.グレンジャー。」
「アモルテンシアとは、別名魅惑万能薬と言われ、世界で一番強力なラブポーションです。 強力な執着心や強迫概念を引き起こす効果がある危険な魔法薬で、真実の愛を生み出すものではありません。」
「ふむ…よろしい。」
「先程Ms.グレンジャーが説明した通りのこの薬、魅惑万能薬を皆に嗅いでもらう。この薬は嗅ぐ人が好む匂いを発するのだ。さて、初めはグリフィンドールから来てもらおうか。」
その声とともにグリフィンドールは列を生した。スネイプ先生がアモルテンシアが入った瓶を鍋に垂らした。色自体は無色透明で匂いなんてしなさそうだった。グリフィンドール生が嗅ぎ始めては各々がどんな匂いだ、なんて口々に言い始めた。糖蜜タルトだの、羊皮紙だの、古い本の匂いだのそれはそれは様々だった。
ふと、ポッターはどんな匂いがしたのか気になった。顔を上げてグリフィンドールの列を見るとちょうどポッターが嗅いでいるところだった。すると、ポッターは何を嗅いだのかハッ、と僕の方を見上げた。無論、僕はポッターを見詰めていたしばっちりと視線があった。僕は思わず目を鍋に下げ、誤魔化そうと必死だった。
暫く目を伏せて居ると鍋が転げる音がした。
ネビル・ロングボトムだ。
彼がアモルテンシアが入った鍋にぶつかったらしい。ポッターがその液を被りずぶ濡れだった。
「目を開けるなポッター!」
スネイプ先生の声が教室に響く。僕がぽかん、と見詰めていればスネイプ先生に呼ばれ、ポッターを医務室まで運ぶよう指示された。
「なんでよりによって僕なんだ。」
「君が暇そうにしてたからじゃない?」
「英雄殿は薬を被っても尚元気なんだな。」
「体調自体は悪くないし、ただ目を開けちゃダメってだけだし…話すことくらいは容易いよ。」
「はぁ、この騒動でグリフィンドールは何点引かれるだろうな。」
「さぁね、スネイプによるんじゃない?」
「スネイプ先生ならきっと50点は引くだろうよ。」
「…ほんと、贔屓がすごいよね。」
「さぁな、それほど贔屓を感じないよ。」
「君の言葉に呆れたよ。」
「それなら一人で歩くか?」
「…確かに君となら目を開けてもいいけどね。」
「……は?」
「マルフォイなら効果対象に入ってもいいって事だよ。」
「…英雄殿もネジが飛んだか?」
「…ほら、着いたぞ。」
彼は初めに見た生物に魅惑万能薬の効果を発する。それが自分であれば……自分だけを見ていてほしくて……。彼が言った言葉が本当であって欲しくて……。
「顔を拭くから…出ていっててよ?」
「それくらい分かっているさ。」
彼を座らせた椅子の前に跪く。ポッターと視線が合うように……彼の恋路を塞ぐように…。
「マル…フォイ…?」
ポッターは呆気なく引っ掛かった。
英雄殿もどうやら抜けている部分があるらしい。僕は思わず口角を釣りあげた。
「なに…して……」
大広間に戻ると僕とポッターの姿を見てグレンジャーが目を見開いた。
「さぁね、僕は目を開くなと言ったはずなのに勝手に開いたんだ。聞いて呆れるだろう?」
「マルフォイ!何を考えて…!」
「ちょっとロン、僕のドラコに酷い言葉遣いはよしてよ。」
「ドラ……コ…?」
ウィーズリーもどうやら雷が落ちたようだ。
あんぐり口を開けて硬直してしまった。
「ほら、ドラコもう行こう?君の可愛い顔をこんなヤツらに見せ続けてたくないな。」
「…はぁ、まぁ、そういう事だ。しっかりと英雄殿の面倒は見てやるさ。効果はいつまで持つんだろうねぇ?」
彼らをせせら笑ってはくるりと踵を返し、必要の部屋に戻った。
ポッターがこうなってから僕と離れることを拒み続けたので必要の部屋を僕らの部屋にすることが認められた。
「ドラコ、」
「ん?」
この時間が大好きだった。
優しい声でファーストネームを呼んでくれるポッターがこの世に存在する事に喜びが隠せなかった。いずれ効果が消えることはよくわかっている。だからこそこの時間を楽しみたかった。
「ドラコ、好きだよ。」
「あぁ、、僕もだ。」
「名前、呼んでよ。」
「……ハリー。」
「ふふ、可愛い。好き。」
「…恥ずかしいだろ、」
「恥ずかしがっちゃってさぁ、」
ポッターが唇を重ねた。啄むような優しい口付けを何度も繰り返した。その口付けは次第に重く、深く、甘くなって行った。
するりと身体に手が這うた。ゆっくりとボタンを外して僕の身体を晒していく。抵抗なんてすることも無くゆっくりと晒されていく身体に顔を熱くするだけだった。
「可愛い、」
「さっきから可愛いって言い過ぎだ。」
「だって本当のことなんだもん。」
「君の瞳には僕だけを写して欲しいなぁ。」
「もう君しか写っていない。」
「…君最高だよ。」
僕の下半身を優しく撫でてはスラックスのチャックをゆっくりと下ろしていく。その微かな振動すらも緊張感を際立たせて気分を昂らせた。
「慣らすよ…?」
「あぁ、来てくれ、ハリー。」
はだけたシャツを握りしめポッターの指を待った。潤滑剤で濡れたポッターの指が窄まりに沈む。
「っ…う、」
「苦しい?」
「まだ…大丈夫…、」
初めこそは違和感があったものの時間が経てば慣れる。ポッターは指を入れきっては探るように指を動かした。
「っふぅ、ん、」
「声、出してもいいんだよ?」
「あ、ぁっ、」
優しく僕の中を探し回る指がとある1点に当たった。
「~~~~~!?!?」
声にならない声と共に腰が上がった。
「見つけた。」
ポッターが嬉しそうに呟けば重点的にいじめる。
「っあ、はりっ…はりぃっ、!」
身を捩らせ必死に名前を呼んだ。これ以上はダメだ、壊れてしまう。そう思った。
「動かないで、まだ本番じゃないんだから。」
肩をグッと、抑えられ動きを封じられる。
とんとん、と一点を叩くように愛でられると自分から出ているとは思えない甘い声がどんどん漏れた。
本番を迎える前に果てた僕にポッターが鬱血痕を残した。残された時は本当に幸せで脳が溶けてしまいそうだった。
ポッターが僕に身を沈めた。ぎゅう、と抱きしめたままゆっくりと窄まりに入れる。苦しくて幸せで痛くて気持ちよくて、色んな感情が混じっては涙が止まらなくなった。それでもポッターは優しく口付けをしてくれ宥めてくれた。
甘い時間が始まった。ただただ幸せだった。
アモルテンシアは一時的なものだし真実の愛なんてないけれど、それでもポッターと身体を重ね偽りでも愛を伝えてくれていたのが嬉しかった。この上ない幸福の時間を過ごせた気がした。もうこんな幸せな時間は訪れないのに、またいつかなんて約束をしてしまった自分がもはや憎い。
あの事件から何日が経っただろう。
アモルテンシアの反対薬が出来たとスネイプ先生から報告を受けた。正直、信じたくは無かった。ただ、自分の幸せもこれまでだと、今まで彼らをいじめてきた報復が来たのだと自分に言い聞かせるしかなかった。
スネイプ先生から受けとった透き通った青色の瓶を片手に必要の部屋に向かうため足を早めた。
必要の部屋に着くと既にポッターはベッドに腰をかけていた。
「やぁ、ドラコ!待っていたよ。」
「……」
僕はポッターを乱暴に押し倒し馬乗りになる。
「…ドラコ?」
「君は、僕のことが好きか?」
「当たり前だよ、いきなりどうしたの?」
「……」
これで、これでいいんだ。
僕との思い出は…もう……。
「じゃあな、愛しいハリー。」
受け取った小瓶をポッターの口に押し付ける。無理矢理中身を飲み込ませてはポッターに気絶呪文をかけた。
「…先生、彼の薬の効果期間の記憶を飛ばして欲しいのですが…」
「あぁ、分かった。忘却呪文をかけておこう。」
「ありがとうございます、スネイプ先生。」
「ハリー!大丈夫なの!?」
「…うぅん、何があったのかさっぱり、」
「えぇっと…、魔法薬学の授業で薬を被ってしまって寝たきりだったのよ、!」
「マルフォイのせいでね。」
「ロン、!それは秘密、!」
「…マルフォイが?」
「ううん、何も無い。君が意識を無くしている時にマルフォイが馬鹿にしに来たってだけさ。」
「そうよ、気にする事はないわ。いつもの事だし、ね。」
「それじゃあ、次は授業だから、行ってくるよ、また来るねハリー。」
「うん、ありがとう2人とも。」
「…目を覚ましたか英雄殿。」
「…なんの用?」
「まだ眠り姫状態なのかと思ってね。」
「そんなわけ、ちゃんと目を覚ましたよ。」
「…こりゃあ残念。まだ揶揄えるかと思ったのだが…」
「……」
「それじゃあ、僕は失礼するよ。居る意味もなくなったからね。」
「ドラコ。」
優しい声色にハッとする。出口を向いたまま固まってしまった。
「ポッター…?何だ、いきなり、気持ち悪い…、!」
固まった身体を無理矢理動かしてはゆっくりと彼の方を見た。
「名前、呼んでよ。」
「っ、なんなんだ、君は!」
「ハリーだよ。君が大好きなハリー。」
ポッターが目を細めた。
そんな表情をされると…期待してしまう…。
「ほら、こっちに来て、もっと話そう?」
あの頃のようにポッターが僕を誘った。
僕は何故か…彼の元に向かって足を動かした。
「偉いね、ドラコ。」
「…なん…なんだ、」
「いつもの声、出してくれないの?2人きりなのに。」
「出すわけが無いだろう、だいたい君のことは嫌いだ、!」
「僕は大好きだよ。」
「っ、は?」
「薬の効果期間の記憶は消されてるみたいだけど…早い段階で覚めててさ。」
「ぁ…」
「意識が覚醒した時には可愛い君が可愛い顔に可愛い声でハリーって呼ぶものだから吃驚しちゃった。」
「あ…ぁ……」
「そこからやけに素直な君が僕とキスして僕のを君の─」
「う、うるさい!バカポッター!」
「酷いなぁ、名前で呼んでよ」
「ぅ…、」
「ほら、ハリーって。」
「……ハリー…」
「なぁに?」
「…呼んだだけだ、君が執拗いから、」
「好きって言ってくれないの?あの時みたいにさ。」
ポッターが僕のローブを引っ張った。
そのまま倒れ込んだ僕はポッターと身体を密着させていた。
「ぁ、は、離せ!」
「好きって、言って?」
「ッ~~~~~!!」
「はぁやぁくぅ〜…」
「……好き、だ。」
背後で本が落ちる音がした。その後に続いたのが誰かの叫び声。
2人が慌てて後ろを向くも時すでに遅し。
ハーマイオニー・グレンジャーとロナルド・ウィーズリーは見てはならない何かを見てしまったようだ。
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