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テスト勉強の休憩で見ました!!やはり最高だჱ̒⸝⸝•̀֊•́⸝⸝)
或る時誰かが言いました。
みんな役割があるんだと。
観客なんて居ない。
「1人もあなたを見ていないよ」
明かりなんて無い。
「1人もあなたを見れないよ」
どうして私はステージに立っているの。
「これを見るためだよ」
あなたは誰?
「私はあなた」
私と話していた光に包まれた女の人は大きいスクリーン画面を私に見せてくれた。そこには中学生の私が映っていたのだ。
「やめてぇっ!」
「びっくりした…大丈夫?」
私は目を瞑り耳を抑えた。見たくない、聞きたくない。それでも映像は流れ続ける。声は聞こえ続ける。音は流れ続ける。私は膝から崩れ落ちたまま涙を流した。光のあの子はただ無言で私の背中を撫で続けて。
場面は高校生になった私になった。背丈はほんの少しだけ高くなり髪も少し伸びて顔も大人びていた。まんまと今の私だ。それでも何かが違う。何かが私じゃない。私は胸を抑えながら映像を見つめていた。
『お母さん、私の歌詞…どうかな?』
『あら素敵ね、まふゆは音楽の才にも恵まれているのね』
『まふゆ、今からカラオケ行かない!?』
『いいよ、また勝負する?』
『うわ!また負けるじゃん!まふゆ歌上手いからな〜!』
「楽しそう…」
違和感の正体はそれだろう。心の底から楽しんで笑っている。お母さんも私の音楽を認めてくれて、友達も私を“優等生”として見ていない。ひとりの“高校生”として見てくれている。
「貴方の役割が少しでも違かったらね」
「役…割?」
光の子は私の立ち上がってスクリーンを消してそのまま私に背中を見せた。
「あなたは“優等生”という“役割”だから苦しんでいるの?」
振り向いて私に1歩近づく。
「私は“高校生”という役割だとこんなにも行きやすいよ。」
手が震えていた。何も言い返せない。そして光に包まれているあたたかい手は冷たい私の頬を触った。
「この誰もいない舞台にはあなたの本当の想いを叫びなよ」
「…」
私は立ち上がった。そして目を開けて観客のいない客席を見つめた。
ささやかな願い事。
無垢な希望や将来の夢。
祈りさえすればいつか叶うと、
誰に教わったんだっけ。
「私はここだよ…」
愛されたいと願って
愛される為自分を捨てて。
私の声は観客もいない舞台の上で響いたんだ。頬に涙が伝わっていた。
「どうか気づいて!!」
胸が痛くて、苦しかった。それでも叫んだ。誰かが、ううん。あの光の子に伝えたかった。あの子を見ていると苦しいんだ。
「私は、音楽をやりたい!!!!」
私にしか分からない声を伝えるんだ。
あの子は倒れた。光に包まれていないあの子。優等生を演じるなんて、それも皆に本当の気持ちを誤解されるなんてさぞ悲しい役割ね。それでも私はあなたの未来を信じる。
私はあの子の涙を人差し指で拭いてあげた。
「今私の舞台を終わらせるから目を覚まして」