【長尾side】
ガチャ
「ただいまぁー!」「お邪魔します!」
あ、みんなが帰ってきた。
無事に帰ってきてよかった。
何かあったらどうしよう…と、不安だったので、いつもよりホッとしていた。
そんな時間もつかの間だった。
ハルと不破さんの後ろに“何か”がついている。
なんか、なんとも言い表せない禍々しい雰囲気を醸し出している黒い霧?影?のようなものが後ろについているのだ。
なんだあれは……?
横にいるとーじろーの顔を見ると、驚いた様な顔をしていた。
とーじろーも見えてるのか。
「…ッ長尾!弦月!ガク先輩は大丈夫なの!?」
「目は覚ましてないけど、悪化はしてないよ」
「…良かったぁ〜〜!!」
ハルはそんな事を言ってへにゃっと笑っていた。
さっきとーじろーと話した内容も言っといた方がいいのか、と俺は思い、話す事にした。
「なぁ、俺ちょっとみんなに話したいことがあるんだけどさ」
「どうした?」「何かあったの?」
「…みんなが収録行ってる時にさ、とーじろーと話してたんだけど……」
「うんうん」
「ガクさんね、気を失う直前に『とやさん、いかないで』って言ってたわけよ」
「ガクさんってなんか霊的なやつとか強いイメージない?」
「あーなんかわかる」
「だからさ、何となくだけど
“いかないで”
って……」
「そっちのって事?」
ずはさんが合図値を打つ。
「俺はその可能性もあるな、と思って話したんだけど……みんなはどう思う?」
部屋が静まり返る。
「私はてっきり剣持さんの事なので家に帰ってると勝手に思っていましたが……もしそうなら早く探しに行った方がいいのでは………?」
「そうだね…僕もそう思う…早く探しに行かないと………」
「俺も手伝う。だから早く探そうぜ、俺吸血鬼だからすぐ見つけれるっしょ」
意外にも冷静だった加賀美さんと叶さんとずはさん。
だが、少し手が震えている。焦っている、怖い、心配しているっていうのはあるんだろうな。
ハルと不破さんは喋っていない。余程焦っているのだろう。
2人は加賀美さん達より重く受け止めているようだ。
まぁ2人の気持ちも分かる、がいつまでもうじうじしてられない。
絶対どこかにいるはず。
ここは魔もいないし、神隠しなんてあるわけない。
早く剣持さんを探さないと……!
────────────────
【叶side】
もちさんを早く探さないといけないのにガクくんが起きてないから、二手に別れることにした。
ふわっちと甲斐田が先に探しに行って、3人は後で合流する、という流れだ。
僕たちも早くガクくんを起こして2人と合流しないと……
「これ、伏見さん起こしてもいいですかね?」
「でも起こさなきゃどうしようもないもんね」
「…伏見さん?……起きてますかー?」
社長がガクくんの肩をトントン、と叩きながら声を掛ける。
「……?」
うっすらとガクくんの瞼が開く。
「お!起きた!?」
「ガッさん起きんの遅いっすよ!」
「体調は大丈夫ですか?」
「……ッダメ!!!!!!」
「「「…えっ?」」」
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