彼が死んでから、数日が経ち彼の葬儀が始まった
シグマさんは泣き崩れていたが僕は泣かなかった、厭、泣けなかった
葬儀後、何時迄も会場に残るシグマさんを近くの海岸へと連れて行く
放って置いてくれと言われ、何も言えずただ海猫を見つめていたら心の整理が着いたのか要件を聞いて来る
「ニコラーシャから、渡してくれと言われた物があるんです」
旅館でキスを交わす前の事、僕は彼がモルヒネ中毒になる前に、シグマさんが記憶を取り戻して自責をする前に、
彼と心中しようとしていた、でも其れを彼が止めた
「僕には多額の死亡保険が掛けられてる、だから其のお金をシグマ君の治療に充てて」
そう。シグマさんに渡したのはニコラーシャに掛けられていた保険金だ
相当な額あるので余る程だろう、でもシグマさんは受け取るのを拒む
「シグマさん。例え彼が亡くなったとしても彼が愛した貴方には生きて欲しいんです。其れが、彼の願いですから」
また眼を腫らすと思ったが乾いた笑いを浮かべたシグマさんは僕を置き去って前へと歩いて行った
此の言葉は………貴方の言葉ですよ。
「ヒョードル。これ、やる。手術費用が余ったからな」
数ヶ月後久々に逢ったシグマさんは何やら紙袋を手渡して来た
中には、お金が入っていた
「ありがとうございます、ニコラーシャ」
嗚呼、此の最期の贈り物でこれからを如何生きていこうか
再び歩き出した彼を一匹の鳩が見守っていた
コメント
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ゴゴちゃん…死んでほしくなかったなぁぁ!!でもシグマ君も前を向けたしドス君も頑張ろうとしてる…これもゴゴちゃんのおかげなんだよね!もう最高!!!!!!!!!