私は「岩野 真奈香」。
中学一年生。
私には好きな男の子が居る。
「鈴本 誠」。
学校で同じクラスだ。
いつもはヘラヘラしたチャラい男子だけど、
何かあった時は全力で行動をする所が、私は大好きだった。
今日は遂に告白の日。心の準備は何とか大丈夫。
下校中。そんなことを考えていると、誠くんが話しかけてきた。
「ほーら今日も一緒に帰るんだろー?」
「う、うん。」
話しかけられた瞬間、心臓が飛び出しそうなくらいドキドキした。驚きもあったけど。
後もうすぐで家に着いちゃう。毎回こうなんだから、今日こそ言わなきゃ!
「ねぇ…!」
ドキドキする心臓を抑えながら、叫んだ。
「あ…れ?」
2度見した。誠くんの姿がない。
え…?幻だったの?
そんな…こと、あるわけないよね!
うんうん!
きっと急いで行っちゃっただけだ、とそう自分に言い聞かせながら歩く。
でも、なんだか怖くなってきて、走って家に向かった。
「ただいま!!!」
勢いよく叫んだ。
怖いから。ちょっとでも安心したかった。
「ちょっと姉ちゃん。うるさいよー!」
呆れた声で言う弟の「あきら」。
小学3年生。
「ごめんごめ…」
謝る途中で、メッセージが来た。
『まなちゃん、大変だよ!』
友達の「前原 幸加」ちゃんからだ。
『え、なに!?』
よいしょ、と椅子に腰掛けながら打つ。
『誠くんが行方不明なんだって!』
え…?え…?え?え?え?
目の前が真っ白になった。もちろん頭も。
その時。
ここは…?どこ?
「ほーら今日も一緒に帰るんだろー?」
え?どうなってるの?もしかして、
「ねーなんで無視すんのー」
「あ、あ、ご、ごめん…」
「行くよー」
「う、うん。」
よし。絶対また行方不明になんかさせない!
でも、どうしたら誠くんを救えるの?
私が早く告ったら?
私が手を繋いで絶対話さないようにするとか?
よさそうよさそう。
でもよく考えたら、私が原因で行方不明なのかって言ったら違う可能性もあるよね…
でもほんとに幻だったり消えちゃったりしてるんなら、私の可能性大だよね…
そんなこと言ってられない!
「誠くん!」
「なに?」
「え?」
誠くん…泣いてる?
「手…繋ご?」
思い切って言ってみる
「う…ん」
不安そうな返事が帰ってきた。
手を差しのべられて、手を握った、その時。
スッ…
え?え?横を見た。誠くんが居ない。
まただ。また、誠くんが消えちゃった。
家に帰ると、また幸加ちゃんから連絡が来て。内容は全くおなじだった。
そしてまた、目の前が真っ白になって。
「ほーら、今日も一緒に帰るんだろー?」
3回目の誠くんの言葉。
もういっそ、私と帰らなきゃいいのかな。
「ごめん、今日は無理っ!」
「んぁぁ?」
急いで家に直行した。
「ただいまー」
「んー」
あきらさぁ…
でもこれでちょっとはあんしん…なのかな?
プーップーッ
『まなちゃん!大変だよ!』
え?これでもダメなの?
『わかるよ!』
『誠くんだよね…』
『え!?なんでわかるの!?』
また、行きたい。過去に。
そうねがって、目を閉じた。
まっしろになった。
「*ほーら、今日も一緒に帰るんだろー?*」
小声で呟いた。
「え?なんで言おうとしたこと分かったんだ?」
や、やば!
「た、たまたまだよ!言いそうだなーって思って…ははは…」
「ふーん」
あの後、また何回も何十回も過去に戻った。
でも、誠くんが行方不明にならないことはなかった。
「ほーら、今日も一緒に帰るんだろー?」
何回目だろうか。
もう、辛いよ。
神様、お願いします。誠くんを救ってください。
ピカッ!
「眩し!」
「な、なんだよこれ!」
「*こ、ここどこ!?*」
「ここは、生きる意味を失った可哀想な奴らがくる天の場所だ。」
「天…?」
「そなたは鈴本誠こと人間を救って欲しいと願っておったな。」
「そう、です。」
「お前の苦労をわしは見ておったぞ。」
「そう、なんですか。」
「少し手伝ってあげようと思ってな。」
「ほんとですか!?」
「すばり、誠を救う方法は、そなたからの“*告白*”じゃ。」
「あ…そうだ、何回もやってたけど告白はしてない!」
「じゃあ、行ってこい。わしから言えることはこれだけじゃ。」
ピカッ!
「ほーら、今日も一緒に帰るんだろー?」
「うん!あとね、私、誠くんのことが、大好きなの!」
力を込めて言った。
「俺も!」
「かえろ!」
「おう!」
あれから5年。
高校3年生になった私は、まだ、まことくんと付き合っている──
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好きだよー