あぁ、時は崩れた。空は濁った。水は腐った。音は凍えた。花は絶えた。鳥は沈んだ。風は枯れた。月は堕ちた。なにもかもが朽ち果てた。そんな中で佇む少女が1人。その瞳はガラスに光を当てたようなペリドット。その髪はまるで太陽が目覚め風がなびいたように透き通る萌黄色。朽ち果てた世界には似合わないほどに酷く鬱くしく脆かった。彼女は今日も1人佇んでいる。この世界は鳥籠だ。ただの牢獄だ。彼女1人を閉じ込めるための箱庭だ。彼女がこの世界から出られること……赦される事は2度と無い。彼女は今日も歌っている。赦しを求めることなく運命に流され今日も歌っている。彼女が持て余すほどの箱庭で今日も歌っている。明日も明後日も明明後日もそして何十年後も彼女は歌っている。自分を忘れないよう歌っている。もし彼女が赦される日が来るのなら、それは世界が彼女を忘れた時のみだ。
コメント
4件
凄い✨👏
すげぇ