【登場人物】
・瑛太(えいた)
・瑛太の父
・瑛太の先生
※少し他の人物が出てくるかもしれません
例)瑛太の母‥
~何でも許せる方向け~
𝕤𝕥𝕒𝕣𝕥🎬
「瑛太は凄いな。」
それが父によく言われる言葉だ。
「僕ね、父さんみたいになる!」
「そうか…ならもっと頭を良くしないとな。」
「うん!僕、頭良くなってお医者さんになるもん!」
「はは…楽しみだなぁ。」
「そうねぇ、瑛太がお医者さんになったら診察してもらおうかな?」
「うん!僕お母さんとお父さんがもし怪我したら絶対に治すから!」
「嬉しいな、ありがとうね瑛太」
「瑛太は凄いな。」「頭良すぎだろ…少しは分けてくれよな。」
「…ありがとうございます。」「あはは、、そうか?」俺は必ずそう返す。
どうせそんな事思ってもいない。ただのお世辞、余計なお世話だ。
「ただいま」
「おかえり、瑛太。今日は肉じゃがだ。」
「…うん」
「学校どうだったか?楽しかったか?」
「うん、楽しかった」
「そうか…なら良かった。」
家に帰ると、いつも通り仕事着のままの父が夕飯を作っている。
俺はいつも通り全て素っ気なく言葉を返す。
父は毎日仕事を早く切り上げ、家の家事をしている。誰かに頼めばいいものを…
「「いただきます」」
「…父さん」
「どうした?」
「なんで家の家事を他の人に頼まないんだ?家は金の問題も心配要らないし、サービスとかもあるのに」
「…何でだろうなぁ。 身体が勝手に動いてるんだろうな。」
「そうか…。」
「家の家事をすると、母さんと一緒に居るみたいに感じれるんだ。」
母さんは、俺が中学二年生の頃に急死で他界してしまった。
「そっか…」 俺は、ふと仏壇を見た。
そこには、笑顔の母、そして、供えられた花と大福があった。
「このままだと、難なく志望大学に受かれると思います。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「瑛太くんは成績優秀で、人にも優しく誠実な人だと感じています。」
「そうですか…私は、父としてとても誇らしいです。」
「あともう少し、一緒に頑張りましょう、瑛太くん。」
「…はい」
「瑛太は凄いな。父さんの昔の頃と違って笑」
「…ありがとう。笑」
「…昔は父さんみたいになるって言ってたの可愛かったなぁ」
「それどんだけ昔の話だよ」
「でも今は、俺より優秀で誰にでも優しくて…俺は幸せだなぁ。」
そうやって父は、少し照れくさそうに話した
「もし…瑛太は 大学が受かったらどうするんだ?」
「どうするって…。 まぁ、多分一人暮らし」
「一人暮らし…楽しめよ」 そう言って、父は俺の頭をワシャワシャと撫でた
「瑛太、今日は本番だな」
「嗚呼」
「気合い入れて行けよ。」
「…ありがとう。」
「瑛太、いってらっしゃい」
これが、父との最後の会話だった。
父さんが他界した。 原因は交通事故だった。
いつも通り”ただいま”と言えば”おかえり”と返ってするはずなのに
いつも通り台所に仕事着のまま、夕飯を作っている姿が見えるはずなのに
「どうして受験後にこんな結果をしらないといけねぇんだよ…っ…。」 俺のいつも通りが唐突に奪われてしまった。
「…うぅっ…、っはぁ”…」 まただ。
父が他界してから、悪夢ばかり見てしまう。
何かに追いかけられる、責められる。
「… 寂しいなぁ…。」
あの落ち着きのある声が、とても大きく暖かい手の温もりが、もう感じられない。
この気持ちも、誰にも伝えられない。
「…」
公園に来た。昔父と母と俺でよく遊びに来たいた公園だ。
「懐かし…この滑り台で父さんを蹴ったんだっけ…。」
母と幼稚園帰りによく来ていたこと、父と走り回ったのを思い出す。
「…ブランコか、久しぶりにやるか。」
「うわっ、こんな感じだったな。」
ブランコに乗り、母に背中を押してもらっていたっけな…懐かしいな。
「俺、どうなるんだろうな…」
父も、母も居なくなった。
俺はこれから誰に頼ればいい?どうすればいい?どうご飯を食べればいい?
受験をしたものの、受かっていなければ全てが水の泡になる。だが…
「受かっても、誰も一緒に居てくれないじゃないか…」 俺はそう思った。
お祝いにどこかに行く、そんな事はもう出来ない。そうする気力もない。
「…父さん、母さん会いたいよ」
_ _
「…瑛太、瑛太起きろ」
「…ん、、。ブルルッ…寒っ、ぁ。」 そのまま公園で俺は寝てたのか?
「…どんだけ疲れてんだよ。」
「お疲れ様、瑛太」
「え?」 …母さん、父さん、?
「瑛太、こんな所で寝ていたら風を引くぞ。早く家に帰ろう。」
「今日は瑛太の好きなハンバーグよ。いっぱい作ってるから楽しみにしててね。」
「…ぇ、、は?」 な、何が起こっているんだ?
どうして父さんと母さんがここに、、?
「父…さ、ん、、母さん…?」
「どうした?今日は受験もあって疲れただろ。早く行こう 」
夢じゃない…父さんと母さんが受験の事を知っている、なら…これは現実、?
「さぁ、はやく行こう。瑛太。」
「…うん!父さん、母さん!」
__________
「今日はよく眠って、疲れを取ろうな。」
「なぁ…父さん」
「どうしたんだ?」
「……父さんと母さんは…もう、どこにもいかない?」
「……嗚呼、どこにも行かない。」
「俺の傍にずっと居てくれる…?」
「勿論、父さんと母さんは瑛太の傍にずっと居るよ。」
夢のように心地が良い。これ程幸せな時間があるだろうか…。
「瑛太は、沢山の人に感謝されてるし信頼されている。こんな恵まれている息子が居るなんて幸せだ。」
「そうね。私たちは、瑛太の元気で何事にも頑張って輝いてる姿が1番好きよ。」
「感謝されてる…?」
「さぁ、もう寝る時間だ。おやすみ瑛太」
「うん、おやすみ。父さん、母さん」
__た__瑛太_………
声が聞こえる。もう朝になったのだろうか。
「瑛太っ!」
「……父さん…母さん…?あれ…どうして、先生、が?」 父さんと母さんは?家は?
「良かった…やっと目を覚ました…」
「先生…?」 先生が泣いている。何かあったのだろうか?
「瑛太さん、あなたは軽い植物状態に入っていました。」
「植物状態?」 俺が?どうして?
「□□公園のベンチで倒れているのを目撃した地域の方が通報し、ここに運ばれてきました。」
「いや、…何分からないこと言ってるんですか。俺は父さんと母さんと家でご飯を食べて、寝て…それから……」 あれ…なんだっけ、?
「瑛太…お父さんとお母さんのことは気の毒だが受け止めるしかないんだ」
「は?父さんと母さんは生きて…今父さんは会社に行って、母さんは家で家事で…そして…」
「現実を見ろ、瑛太」
息が上がり、段々と鼓動が高鳴る。
「父さんと母さんは…死んでる、?」
「……嗚呼」
「先生…嘘ですよね、?嘘だと言ってくださいよ…俺、さっきまで2人と家で…」
いや、違う。2人とも死んだんだ。
母さんは急死、父さんは交通事故。
父さんは俺の受験中に死んだ。俺は受験後すぐに聞かされた。
「嫌だ、ぁあ”…頼む、、嘘だ、どうして…”」
「瑛太、落ち着け」
「どうして?なんで父さん達は俺を残して先に逝ったんだよ。交通事故?急死?なんで?俺はあの二人が生き甲斐だったのに、俺はこれからどうすればいい?どう生きればいい?」
「瑛太、!」
「先生…っ、俺はこれから、、どうすればいいんだよ、? 」何をすればいいのか、全て分からない。どうすればいい?どうやったら認められる?どうすればこの気持ちが晴れる?
「…瑛太…突然こんな悲劇が起こったら例えお前でも対応出来ないことはわかってる」
「でも、俺はこれからどうすればいいっていうんですか?こんな状況じゃ合格しても学費が払えないし人並みの事が出来ない、!」
先生は俺を抱きしめてくれた。
「…ごめんな、自分の生徒にこんな辛い思いさせてるのになんも出来なくて。ごめんな…」
どうして先生が謝るんだ?俺のせいなのに。先生は必死に俺の事を思って言ってくれてるのに。
「でも…せめて聞いて欲しいことがある。」
「聞いてくれるか?」
「…はい」
「まず、将来的にお前が安定するまで俺が全て負担をする」
「…今、なんて…?」
「俺が最大限出来ることはこれだけだ、お父さんやお母さんの代わりになんてなれる訳がない。…だから、お前の進みたい将来をせめて叶えさせたいんだ。頼む…この通りだ。」
こんなことってあるか…?
「…こ、こんなにしてくれるんですか…?」
「勿論、こんな事でもいいか?」
「先生…本当にありがとうございます。そして、迷惑をかけてごめんなさい。」
「謝らなくていい。ずっと、辛かったもんな。気づいてやれなくてごめんな。」
「うぅっ…あぁ”ッ、泣」
「今日は合否発表の日…。」
俺はドキドキしながら、結果を見た
「087…087…087…!」 あった。俺の番号。
「あった…受かった…」 これで、大学に行ける、!
「やったぁ、!」
「瑛太」
声のした方向に目を向ける
「…!」そこには、微笑む母と父がこちらを優しく見ていた。
「、!」俺は2人に向けてガッツポーズをした。
「瑛太!」「先生!!」
「どうだ?受かったのか、?」
「受かりました!先生におかげです!!」
「それは実にめでたい事だ!!おめでとう!」
「ありがとうございます!」
「ならそうと決まれば、お祝いしに行くぞ!」
「え?」
「ぼーっとしてないで早く行くぞ!合格祝いだ!」
俺のいつも通りは、突然奪われた。
しかし、新しい日々が訪れた。
「おい瑛太、早く行くぞ!」
俺は元気良く返事をする
「はい!!」
2人のいた方向またを見ると、そこは花びらが風に舞って空に飛んでいた。
おかえりなさい
唐突に思いついたので書いてみました。
活動休止中なのにね…笑笑
題名は、ありません。あらすじも、ありません。
突然来る悲劇は日常で必ずしも起こらないとは限りません。
私は、そんな事を最近よく思ったりするので書きました。
ここまで見てくれてありがとうございます。
誤字脱字があったらすいません。
また気が向いたらここ投稿するかもです。
その時はまた見てくれたら嬉しいです。
長くなりすいません。見てくれてありがとうございました。
またね👋
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