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なんでこんな神作品が、読まれてないのか分かりません!!( ˘•ω•˘ ).。oஇ 無理にとは言いませんが続きが気になります( ̄∇ ̄*)ゞ もし良ければでいいので!!ぜひ続きが見たいです!!
エリちゃんを抱きしめて、周りの状況を確かめていたその時。
「緑谷出久、来い」
「治崎・・・っ!」
エリちゃんがいるということは、ここは治崎の組の地下室の可能性が高い。
それは分かっていたけれど・・・
地下室。
人体実験。
いつ聞いても胸糞の悪い話だ。
「この子に何をした」
「この子..あぁ、エリか」
エリちゃんが震えてる。
息が荒れていて、顔が恐怖で満ちている。
「大丈夫だよ」
「っ….っ….ッ」
「大丈夫。」
「っ……..」
高校生の頃の僕なら、治崎を睨みつけていたかもしれない。
けど、僕は知っている。
助けを求めている人の表情を。
「・・・もう一度言うぞ、来い」
「分かった。」
ここで逃げると、コイツを追っているナイトアイに迷惑がかかる。
せめてエリちゃんを安全に、確実に救い出せるタイミングで一緒に逃げないと..。
「エリちゃん、大丈夫。行ってくるね」
「っ….」
傷ついてる女の子を1人にするのは正直不安だけど、従わないとどうなるかが分からない。
僕はエリちゃんに笑顔で手を振って、この部屋を出た。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「エリちゃんに手を出すな」
「手を出すな、とは?」
「あの子は人間だ。道具じゃない」
「・・・どこまで知ってる」
全部だよ
これからお前がする事も、してきた事も。
「答えない」
「そうか」
そこからは何も話さなかった。
話したくなかった、という方が正しいかもしれない。
「そこに座れ」
「・・・断る」
すると治崎の目つきが悪くなった。
僕ごときに抵抗されると思わなかったんだろう。
「自分の立場をわきまえろ」
僕は誘拐された身。
けど、今の僕の庇護対象はエリちゃんだけだ。
「・・・エリちゃんに手を出さないのなら抵抗はしない。」
「ほう」
治崎が腕を組んで考え込んだ。
利益を考えているのだろう。
「お前が用済みになるまで、が条件だ。」
「・・・分かった。」
指示に従う。
「!」
座った瞬間に手首を固定された。
まるで囚人にでもなった気分だ。
「お前も親父の役にたて。」
そこからは地獄だった。
研ぎ澄まされる五感。
麻酔なしでの解剖。
ナイフで切られる感覚。
ピンセットでいじられる感覚。
与えられる全てが不快だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「エリちゃん」
部屋に戻ると、エリちゃんが僕に抱きついてきた。
「ごめ、私のために..って…」
治崎か部下からか聞いたのだろう。
なんで言っちゃうのかなぁ..。
「大丈夫。僕はヒーローだから」
「ヒーロー?」
エリちゃんが初めて聞いた単語ですという顔をして不思議がる。
「ヒーローはみんなを笑顔にするんだ。」
「えがお..」
「だから、大丈夫。僕はヒーローだよ」
エリちゃんをぎゅっと抱きしめる。
すると泣き出してしまった。
「わたし..っえがお…できない..っ」
そうだ。
エリちゃんは笑い方を知らない。
「僕が君を笑顔にする。約束する。」
「っ!!」
泣き疲れてしまったのか、エリちゃんは僕の腕の中で眠ってしまった。