瑞side
瑞は…〝俺〟は〝満月〟で、比較的他の人より行きやすかった。
〝欠け月〟や〝半月〟よりも身体も安定しているし、周りからの信頼も厚くなる傾向にある。
でも、俺はそうじゃなかった。
赫「──────」
茈「───」
翠「──────────」
3人みたいに優れてなかった。
…きっと、俺の努力不足なのは分かってる。
勉強も、スポーツも、他人からの評価も、どれもこれも下から数えた方が早い。
親しくない人からは〝半月〟だと思われていたくらいには。
瑞母「瑞はやればできる子なんだから、ゆっくり頑張っていけばいいのよ(微笑)」
瑞父「瑞は瑞なんだから、周りを気にしすぎるな(頭撫)」
そんな出来損ないの瑞を〝満月〟同士のお母さんとお父さんは優しく支えてくれた。
やればできる子なんだから。
…
遊ぶ時間を減らした。
帰ってきたら使える時間は全て勉強に使った。
瑞「…」
赫「わ、さすが翠…」
茈「ちょっと脳みそ分けろよ~(笑)」
翠「2人も悪くないじゃん(笑)」
〝満月〟の中では最下位だった。
スポーツクラブに通った。
時間いっぱい努力した。
翠「茈ちゃん凄いね~!」
赫「まじで疲れたぁ…」
瑞「…ふぅ、はぁッ…」
茈「瑞は息切れしすぎだろ(笑)」
赫「ふはっ、死にかけじゃん(笑)」
〝半月〟の中で真ん中くらいだった。
友1「学級委員誰にする~?」
友2「やっぱ翠くんじゃない?」
友3「いや~茈くんでしょ!」
友1「え~あえての赫くん!」
友2「えありあり!!」
友3「意外と安心できるよね(笑)」
話題にも入らなかった。
赫「パートナー?」
そんなある日、いつもの四人組で帰っている時のこと。
茈「そ。そろそろ考えてもいいかなぁって…」
翠「茈ちゃんがパートナーなんて珍しいね」
茈「あ?…まぁ、たしかに(笑)」
パートナー…
〝欠け月〟か〝半月〟…か。
瑞「…瑞、〝欠け月〟の子がえぇなぁ…」
翠「お、瑞ちゃんはパートナー探す気満々だね~?」
瑞「…まぁ(笑)」
自分より劣っている子が、この輪に入ってくれる。
…
茈「でも〝欠け月〟だったらもう1人〝満月〟いねぇと無理じゃん?」
瑞「あ~…赫くん!」
赫「パス。」
瑞「えっと~茈にき!」
茈「無理。そんな適当に決めねぇ。」
瑞「翠っち~…!(泣)」
翠「もう泣かないの(笑)」
そんなこんなで〝欠け月 〟の中でもさらに評価の悪い黈くんを見つけてきた。
瑞「もう~黈くん!(笑)」
黈「うわぁ!?ごめん瑞ちゃん…!」
瑞「あはっ、もぉ…(笑)」
出来損ないの〝欠け月〟は、いるだけで心の支えだった。
…さいっていだな、瑞。
…ごめんね、こんな馴れ初めで。
でもそれから、一緒に過ごす時間が増えて、
黈「ふふ、瑞ちゃん!(笑顔)」
瑞「あ…うん!(笑顔)」
…なんて、自分を守りたいだけかな、…。
翠side
翠「瑞ちゃん…。」
最近元気を取り戻したように見える瑞ちゃんだが、無理をしているのなんて丸わかりだ。
翠「…」
はぁ…
リビングで1人、ココアを飲みながら瑞ちゃんのことを想う。
黈「翠くん?」
翠「!?」
黈「わぁ!ごめん!驚かせようと思った訳じゃなくて!!」
後ろから声がしたかと思ったらいつも通りのほほんとした黈ちゃんだった。
黈「なんか悩み事?」
自分のカップを机に置きながら、隣に座る黈ちゃん。
翠「…んー、…まぁ、」
なんとなく、素直にうん、とは言いづらい。
黈「…あのさ、違ったらごめんなんやけど、」
少し声量を下げた黈ちゃんが口を開く。
黈「…ううん、ごめん、やっぱ何でもない!」
急にいつもの調子に戻る黈ちゃん。
翠「…そう?」
黈「うん!…翠くんが悩んでるのは言えること?」
翠「…もうちょっと、1人で考えたいかも。」
黈「ならお互いもう少し悩も!…あ、でも悩みすぎは良くないから詰まったら頼ろうね!」
翠「…ふふ、はぁい(笑)」
黈ちゃんと話すと、少し空気が和らいだ気がした。
百side
百「…っ、はぁッ…(息荒)」
まただ。
夜中に息苦しさで目が覚める。
百「っ、!?…ぃッ…」
ただ、いつもより酷い。
頭の奥が沸騰しているような感じ。
百「っ、ゃ…だれッか…(泣)」
誰にも聞こえないような小さな声。
それでも助けを呼び続けた。
なんだか頭がほわほわする。
口の中は熱くて、今にも溶けちゃいそうで…。
身体はなにか大きいものに包まれてるみたい。
…
しばらくこのままがいい、…なんて、
百「…ん、、?」
茈「おはよ、百」
赫「はよ…(目逸)」
目を覚ますと相変わらず俺にくっついている茈さんと珍しく少し離れている赫さん。
百「あ、おはようございます」
そう言って体を起こそうとすると、
百「…、!」
いつもより身体が軽い気がする。
赫「…体調、良くなった?」
百「はいっ…!」
茈「ふはっ、なら良かったわ(笑) 」
赫「…まぁ、一安心か…。」
不自然なふたりに疑問を抱きつつ立ち上がろうとする。
百「…ぇっ、?」
その時、やっと俺は裸なことに気づきました。
茈side
瑞「昨日はお盛んだったようで~?(笑)」
翠「瑞ちゃん…(苦笑)」
黈「…俺もあんな感じなんか…(顔赤)」
リビングに入ると瑞達が朝食を取り始めていた。
…瑞はいつもの調子を取り戻したようで普段通りに見える。
百「っ…(顔赤)」
赫「…黈だってそれなりにでかい声であぇ」
茈「さっさと食おうぜ(笑)」
赫の言葉をさえぎって椅子へ座り、用意されている朝食へと手を伸ばす。
百「うっ…(顔赤)」
翠「…でも、しょうがない事だからさ、?」
茈「あのまま死ぬほうが嫌だろ(笑)」
〝欠け月〟は〝満月〟からの供給がないと死んでしまうのだからしょうがないことだと割り切るしかない、と顔が真っ赤な百に伝える。
黈「無理するのがいちばん良くないから、!」
瑞「…瑞ちゃ、翠っちーッ、…もっとっ…!(喘)」
黈「瑞ちゃん!!!!(照)」
窓から見えた青空を暗雲が襲っていた。
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コメント
4件
内容は平和な感じになりつつあるけど、お話の雲行きは怪しい…?どうなるんだろ✨続き待っています!✨
主様お疲れ様です✨️🩵くん無理しないでね、続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください