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「……さて! そろそろ第二形態を解除するか!」


俺はメルク(ハーフエルフ)とマナミ(獣人《ネコ》)と俺のバックがある方を向きながら、第二形態を解除しようとした。だが。


「ナオト! まだ第二形態を維持しろ。死にたくなければな」


『|力の中心《あいぼう》』がそう言ったため、俺はそのままの形態でいることにした。


「どうしたんだ? 敵はもういないだろ?」


「いや、いる。やつはこれが狙《ねら》いだったらしい」


「えっ? それってどういう……」


「『|白光製の長槍《ホワイト・スピア》』!」


その声に反応して、『|力の中心(あいぼう》』は俺に指示を出した。


「避《よ》けろ! ナオト!」


俺は咄嗟(とっさ)にこちらに飛んできた、その長槍《ながやり》を済んでのところで回避(かいひ)した。


「おーっとっとっと、危ないな! いきなり何すんだよ! メルク!」


俺にそれを放ったのは、メルク(ハーフエルフ)であった。

メルクは、こちらを嘲笑(あざわら)うかのような表情を浮かべながら、応(こた)えた。


「ふふふふ……それは、あなたがよく分かっているはずですよ。ナオトさん」


「悪いが心当たりがない。お前はいいやつだと思っていたよ……本気でな。だが、どうやら間違いだったみたいだな」


「私がなぜ、こんなところまで来たと思っているんですか?」


「それは、ハーフエルフ族の宝を取りに来たって……おい、まさか!」


メルクは両手を広げながら、そう言った。


「その通り! 今までのは! 全部! ウソでえええええええええええす!! あははははは! まんまと騙《だま》されましたね! お人好しのナオトさん。あはははははははは!!」


「……お前の目的はいったい何なんだ?」


「あれ? 怒《おこ》らないんですか? 私はあなたを騙《だま》していたんですよ?」


「怒《おこ》る理由がない」


「えっ? それはいったいどういう……」


「メルク。お前は何を怯《おび》えているんだ?」


「は、はぁ? 私が怯《おび》えているですって? 命乞《いのちご》いのつもりですか? それとも時間|稼《かせ》ぎをしているのですか? まあ、どっちにしろ助けなんてこな……」


「メルク!!」


俺はメルク(ハーフエルフ)が最後まで言い終わる前に自分が名付けた彼女の名前を言うと、彼女を凝視《ぎょうし》した。


「な、なんですか? 急に大きな声なんか出して。らしくないですよ?」


「お前の本音を言ってみろ」


「は、はい?」


「本音を言わないというのなら、俺はここでお前をあの世に送らなければならなくなる。今の俺にはそれができる力があるからな。さぁ、答えろ。メルク」


「えっ、いや、その、あの、えーっと……」


「五、四、三、二……」


俺がカウントダウンを始めると、メルクは涙《なみだ》目になりながら俺に抱《だ》きついて。


「ご、ごめんなさあああああああい!! 村のみんなを救《すく》うためにも、誕生石の力が必要だったんです! だから、許してええええええええええ!!」


俺は泣き叫《さけ》ぶメルクを抱《だ》きしめ返し、頭を撫《な》でながら。


「お前は悪くない。お前にこんなことをさせたやつらが悪い。だから、もう安心しろ。俺たちがなんとかするから」


メルクは涙《なみだ》でぐちゃぐちゃになった顔を見せながら。


「ナオトさん! ナオトさあああああああああん! ありがとうございますうううううう!! このご恩《おん》は一生忘れませえええええええええん!!」


俺の胸《むね》に顔を埋《う》めながら、先ほどよりも大声で泣き始めた。


「そんなになるくらいなら最初からそう言えよ。まったく、困《こま》ったやつだ」


その泣き声で目を覚ましたマナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)に先ほどから、こちらを覗《のぞ》き見している三人を連れてきてくれとアイコンタクトをした。

マナミが戻ってくるのが先か、メルクが泣き止むのが先かは分からないが、とりあえず俺はその状態で待つことにした。



その頃、『ライチーター』(体にライチの実がなるチーター)数匹を捕獲《ほかく》したミノリ(吸血鬼)たちは、アパートに戻って晩ごはんを何にしようかと悩《なや》んでいた。(ミノリたちはちゃぶ台を周りに座っている)


「うーん、今日の献立《こんだて》は何がいいかしら?」


腕《うで》組みをしながら考えるミノリ(吸血鬼)にコハル(湖の主)は。


「お兄様たちは歩き疲れているでしょうから、ステーキがいいと私は思います!」


「ステーキ……ねえ」


「ミノリさん、何かご不満ですか?」


「ん? いや、悪くないと思うんだけど……」


「だけど?」


「ナオトは、ああ見えて肉はあんまり食べないのよね」


「そう……なのですか?」


「私の調査だと、一般男性が食べる肉の量の平均を大きく下回っているわ」


「それは初耳です。お兄様は少食なのですね」


「ううん、野菜はしっかり食べてるから別に少食ってわけではないのよ」


「ちなみにマスターの好きな食べ物は《スイートポテト》です」


コユリ(本物の天使)が急に口を挟(はさ)んできたため、それに対してミノリ(吸血鬼)はこう言った。


「あんた、その情報をどこで入手したの?」


ミノリ(吸血鬼)の問いに、コユリは。


「……秘密です」


「そう……なら、話を元に戻すわよ」


「どうぞ、私に構(かま)わず進めてください」


「言われなくてもそうするわよ」


「……能無し吸血鬼」


「あんた今なんか言ったわよね! ねえ!?」


「まあまあ、二人とも落ち着こうよ。僕たちは洞窟の調査に出かけている、ご主人たちにおいしい晩ごはんをごちそうしてあげようと、こうして話し合いをしてるんだから」


ミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)がすかさず仲介に入って、最悪の事態になるのを阻止《そし》した。


「ミサキの言う通りだ。というか、お前らのその仲の悪さは解消されたんじゃなかったのか?」


カオリ(ゾンビ)がそう訊(き)くと。ミノリとコユリは。


『それは一時的なものよ(です)』


同時に、そう応(こた)えた。


「そうかよ。なら、さっさと決めようぜ。じゃないと日が暮れちまう」


「じゃあ、師匠(ししょう)に私たちを食べてもら……」


『却下《きゃっか》』


ベルモス(悪魔)の案は、あっけなく全員に却下《きゃっか》されてしまった。

その直後、チエミ(体長十五センチほどの妖精)が何かを思いついて。


「そうだ! なら、『焼き肉』にしましょう!」


『焼き肉?』


チエミ以外の全員がそう言ったが、チエミは話を続けた。


「みんなでワイワイできて! 野菜も肉も食べられて! なおかつ、その場で調理できるんですよ! これ以上の料理がありますか!」


チエミ(体長十五センチほどの妖精)がそう言った直後、全員が。


『後始末が大変だから却下《きゃっか》』


容赦《ようしゃ》なく、チエミのメンタルを破壊してしまった。チエミがしょんぼりしていると。


「じゃあ、『にゃんカツ』にしましょうか」


ミノリ(吸血鬼)が突然《とつぜん》、そんなことを言った。そして、それに全員が反応した。


『【にゃんカツ】?』


「そう、『にゃんカツ』。手順は『トンカツ』と同じだから、分かりやすいでしょう? それに、キャベツの千切りとキュウリの輪切りとミニトマトを添《そ》えて、お好みのドレッシングをかけたらいい感じじゃない?」


ミノリの案に全員が賛成して。


『異議《いぎ》なし!』


そう言ったため、今晩《こんばん》の献立《こんだて》は『にゃんカツ』に決定したのであった。(裁判かよ)



マナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)がこちらを覗《のぞ》き見していたシオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)とルル(白魔女)とキミコ(狐《きつね》の巫女《みこ》)を連れてきたのを確認すると。(第二形態は解除しています。メルクが持っていてくれたウエストバッグも身につけています)


「それで? お前の村は今どんな状況なんだ?」


泣きすぎたせいで目の周りが赤くなっているメルク(ハーフエルフ)に俺が話しかけるとメルクは。


「え、えーっと。その」


「……そのままモジモジしてると日が暮れるぞ? メルク」


「ご、ごめんなさい」


「話しにくいのなら、アパートに戻る道中で話したらどうだ?」


「そ、そうします」


「よし、分かった……。じゃあ、みんな行くぞ」


俺がそう言って、出口に向かって歩き始めると。


『はーい!』


マナミたち四人は同時に返事をして、俺の後《あと》に続いた。

俺たちが数歩歩いてもメルクの足音がまったく聞こえてこなかったので俺は立ち止まって。


「メルク、早くしないと置いていくぞ?」


少し冷たく言った。


「は、はい! すみませんでした!」


メルクはそう言うと、俺の後ろを歩き始めた。その足音が俺たちに近づくまで少し待つと俺たちは再び歩き始めた。


「ところで、三人は奥の部屋で何をしていたんだ?」


俺が三人(シオリ、ルル、キミコ)に訊(き)くと三人は。


『……ひ・み・つ♡』


なぜかは分からないが誤魔化《ごまか》されてしまった。


「そっか。まあ、人には言えない秘密の一つや二つあった方が人生、面白いかもな」


その時、四人(マナミ、シオリ、ルル、キミコ)はいつのまにか、スキップをしていた。


「ん? 急に、どうしたんだ?」


『べっつにー』


全員がそんなことを言ったため、俺は。


「なんだよ、それー」


そんなことを言って、五人で笑いあった。


この人たちなら、村のみんなを助けられるかもしれない。

でも、それは同時にモンスターチルドレンの力を借りることになる……。

ううん、そんなことを気にしてたら助かるものも助からないよね!

メルク(ハーフエルフ)は、そう決心し、ナオトたちに村のことを話そうと思った。

たとえそれが、村の掟《おきて》に背《そむ》くようなことだとしても。

____俺たちが『若葉色に染まりし洞窟』から無傷の状態で出た直後、メルクはアパートに戻るまでの間に自分の村のことを話してくれた。

それを聞いた俺たちは、とりあえずアパートに戻ってから、それについての作戦を立てた方が良いと思い、代表して俺がそのことを伝えた。

メルクは心から感謝していたが、それは村の一件が済んだ後にしてほしかった。

なぜなら、これから行くその場所で俺たちが生きて戻れる保証など、これっぽっちもないからだ……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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