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ううぅ、ほんとに泣きそう、、
うぐ、最高だ、
HappyEND
(BADENDの途中からなので、BADの方見てからじゃないと分かりずらいかも)
悲報、、、1回書いたの全部消えました…、3000文字くらい書いたのにね…はは。
『 其れでも、僕は貴方の事が大好きでした』
その言葉を聞いた瞬間、何を聞いても緩まなかった筈の手が緩んで彼の首を離してしまった。
敦くんはまだ弱い息でぐったりとしたまま起きない。
でもまだ、息がある…。
彼を殺すことが出来なかったという申し訳なさと、想い人がまだ生きているという安心が襲う。
彼が目覚めてもまた苦しみの中に引き込むだけだと分かっていても、もう一度彼の首を絞めることなんて私には出来なかった。
太「与謝野さんを…呼ばないと」
先程までずっと彼の首を絞めていたせいか、力の抜けた、情けなく震える手で与謝野さんに電話をかけた。
太「…与謝野さん、夜遅くにすみません。なるべく急ぎで探偵社に来ていただけますか」
与「…なんだい、太宰か、珍しいねえ。…其れだけ急用ってワケだろう?」
太「お願い、できますか?」
与「勿論。まかせな」
太「ありがとうございます」
何とか連絡が着いてよかった、と安堵する。
そして彼を探偵社に運ぶため、その体に手を回して抱え上げた。
ぐったりと垂れ下がった体が月明かりに照らされて、今にでも天使に攫われてしまいそうだ。、
早くしないと。。
思ったより早くついたのは、ポートマフィア時代に鍛え上げられた体術のおかげか、余りにも軽い彼のお陰か、。どちらかと言えば後者の方が大きいだろう。
探偵社のドアに手をかけようとしたけれど、その前に先客の与謝野さんが扉を開けてくれた。
与「早かったねぇ。所で太宰、こんな夜中に呼び出すという事は、相当の事があったんだろうね?」
太「はい」
与「其れで、患者は…って、敦かい?!」
太「事情は後でお話します。」
彼を治してもらうのに、事情を話さないのは無理だろう。……勘が良ければ言わなくても大体は気づかれてしまうだろうけど。
何より、まだ首に残っている赤い手形がその証拠だ。今は青紫色に変化しつつある。
其れを自分がつけたものだと思い知らされて無意識に目を逸らしてしまった。
与「ああ、そう言うことかい、まぁ、理由はあるんだろう?後で聞かせてもらうよ」
…予想通り、気づかれてしまったみたいだけど、其れでも理由を聞くよ、と優しく迎えてくれるのが何とも探偵社らしいと思った。
医務室のベッドに彼を寝かせて治療を任せる。
与「本当、こう見ると痩せてるね。隈も酷い」
?「そうだね、恐らく4日くらい睡眠も食事もしてないよ〜」
不意に聞こえた気の抜けた声に耳をすませば、医務室のドアがガチャリと空いて乱歩さんが入ってくる。
太「…!乱歩さん?!」
乱「…何か嫌な予感がしてね。」
太「…乱歩さんは前兆に気づいていたんですか」
乱「ほんの少しだけだよ…。その他は全く。」
太「その前兆というのは?」
乱「……ほんと、些細な事だけどね。敦くん、嬉しそうな時ほど苦しい顔をするんだよ。ずっとそう。変だなとは思ってたけど、まさかこんな事になるなんてね。」
乱歩さんの話を聞いて、そんな事にも気づけなかった自分が不甲斐なくなる。
与謝野さんも、同じ気持ちのようで、視線を落としていた。
乱「今は敦が目覚めるのを待とう」
…生きることを拒んでいた彼の目覚めを待つ。なんて、そんな事はしたくなかったけれど、それ以外に出来ることなんてなくて、私たち3人は静かに彼の目覚めを待った。
敦「…ん…」
静かに唸って、静かに上半身を起こした敦くんを目に捉えても、彼は視線を返さなかった。
敦「結局、生き残っちゃったな」
そんな悲しい事をポツリと呟いた彼は、暗い瞳を落としている。
さっきも見たはずの瞳なのに、何故か普段の敦くんのように感じられなくてまた少し驚く。
与謝野さんと乱歩さんは初めて目にする暗い敦くんの様子に驚いて悲しい顔をしていた。
太「ごめんね」
敦「…太宰さんが謝ることじゃないですよ。結局悪いのは、この社会において不適合者の僕なんですから」
微笑む敦くんが此方を見ずに、苦しそうな顔で言う。
与「そんなこと…、言うんじゃないよ」
与謝野さんはもっと苦しそうな顔で敦くんに語りかける。
そんな様子を見たからか、心の中には敦くんに言いたい言葉が溢れ返った。
太「……私が手を離したのは…君に死んで欲しくないと強く思ったからなんだよ。どれだけ君が生きていることに苦痛を感じていたとしても、君に…生きていて欲しいんだ」
太「探偵社の皆、同じ気持ちの筈だよ」
太「……お願いだよ。もう、置いて…行かないで呉れ」
最後にポツリと呟いた言葉を聞いて、敦くんが驚いている。
どうか伝わって欲しいと弱々しいその手を握っては力を込めた。
与「妾だって、敦に生きていて欲しいとそう思うよ」
私の言葉を後押しするように与謝野さんもそう答える。
乱「…、敦。君が、幸せに苦しみを感じてしまうのなら、その不幸を埋め尽くすくらい、探偵社が敦のことを支えるよ。だから、そんな死にたい、だなんて言葉、言わないで」
…乱歩さんは珍しく悲しく、優しく微笑んで敦くんの頭にぽんと手を置いた。、
敦「…う…ぅ、ポロポロ」
返事の代わりに敦くんは涙をながした。
…想いが…伝わって良かった。
敦くんの震える体に優しく手を回してぎゅっと抱きしめる。
与謝野さんも乱歩さんも安心した様子で、優しく見守ってくれていた。
…その後、涙の収まった敦くんの腫れた目を冷やすために与謝野さんが母のように世話をやき、乱歩さんは珍しく空腹の彼にお菓子を分けようとしていた。
流石に4日間何も食べなかった敦くんに急にお菓子は無いだろうと焦って止めたけれど…。
後日、事情を聞いた探偵社の社員が泣きそうな顔で敦くんに抱きついたのは言うまでもない。
徐々に敦くんの体調も良くなりつつある。
彼の感じた苦しみや過去が消える事は無いとしても、其れでも死なないで欲しい。
置いて行って欲しくない。
だから私は彼に告げた。あの時の返事を。
in太宰家
敦「…だとしてもですよ?…『これからも、私の為に苦しんで呉れますか』なんて告白の仕方あります???」
太「今更『 好きです』だなんて質素な告白で成立する関係でもないだろう?」
太「そう言う敦くんだって『貴方の為なら』と、返して呉れたじゃないか!!!」
敦「うわ!最低!!それリピートしないでくださいよ!!」
太「君が最初にしたんだもーーん」
ムスッとした敦くんを見て、可愛い、なんて伝えたら余計怒ってしまうだろうから今は伝えない。
その代わり、可愛いお顔に接物を落として、ごめんね、と伝えるとあら不思議、何も言えなくなって口をぱくぱくさせながら赤面するのだ。(確信犯)
…こんな他愛もない幸せな日が続けばいいと思う。ポートマフィア時代には考えられなかったような生活に、悪くない、と顔が綻んでいるのは、気づかれないようにそっと写真に目を向けた。
織田作、彼を君の元へ送るのはもう少し後にするよ。
写真の中の彼が、
『嗚呼、それがいい。』
と返事を返してくれたような気がした。
HappyEND