蒐が出て行ったあと、事務所は静まり返った。
太宰「小鳥遊。今のは言いすぎじゃない?」
小鳥遊「違います。蒐は自ら死にたいといったからそれを肯定しただけです」
太宰「そこまで追い詰められていたのは此処の環境が悪かったからだ。特に小鳥遊、君は特にいじめと同等の行為を蒐ちゃんにしていただろう」
乱歩「太宰、そこまでにしておけ」
太宰「ですが・・・」
乱歩「確かに言い過ぎた。だが、そこまで責めるのは少し違うだろ」
太宰「・・・はい」
今日はひどいことをしてしまった。言い過ぎた、少しちょっかいをかけるのはストレス解消によかったが、言い過ぎてしまうと罪悪感が少し出てしまう、これからは気を付けよう。
???「こんばんは」
小鳥遊「あっ、フョードルさん。こんばんは」
フョードル「順調ですか?」
小鳥遊「いえ、あまり・・・太宰治が四月一日さんに思いを寄せているようで」
フョードル「まあ、そうは思っていました。なので、貴女の異能力が太宰君にも効くような薬を用意しました」
小鳥遊「・・・あまりお役に立てず申し訳ありません。私一人で考えることができればもっとスムーズにいくのですが・・・」
フョードル「そうですね。ですが、貴女がいることでかなりのスピードで進むことができています。このままいけば蒐さんは必ず私の手に入れることができます。では」
小鳥遊「はい」
私は昼間に、自宅へ帰宅する途中だった。頭の中で、乱歩さんや恵の言った言葉が何回も再生される。
???「あ、あの!待ってください!」
後ろで誰かの声が聞こえた。きっと探偵社の誰かだろう。私に続きを聴かせるために連れ戻そうとしているのだ。私は無視し、少し早めに足を動かした。あのようなところには、今日はもう行きたくなかった。
???「早いですよ~!」
私は、ふと足を止めた。声の主がだれかわかったからだ。
賢治「やっと止まってくれました」
賢治君、この子は私にあまり接触はしていないが、皆が私を馬鹿にしているとき、いつも黙っている。つまり傍観者だ。
蒐「賢治君・・・どうしたの」
賢治「・・・僕は、謝りに来たんです」
謝りに?なんで?
賢治「いつも皆さんが蒐さんを悪くいっていたときに、僕はいつも見ているだけだったんです。なので・・・」
よかった。賢治君は戻ったんだ。私はうれしく思い、一粒、また一粒と涙が出てきてしまった。
賢治「大丈夫ですか!?悪いことしましたよね。今まで本当に申し訳ございませんでした。ですが、これからは蒐さんの味方です!」
蒐「・・・ありがとう。こんな私に・・・わざわざ・・・」
今までずっと抑えてきた感情と涙が、ここで一気にこみあげてきてしまった。私は、自分では大丈夫だと思っていた。だが、心の奥底では苦しんでいたのだ。
あの後、私は賢治君と他愛のない会話を交わしながら家へ帰った。事務所に戻るのは怖かったからだ。もし賢治君と私が仲良くなってしまったことがばれてしまえば賢治君が危険な目にあう可能性が高い。賢治君は私に言い残したことがあり、言うと泣いて家へ帰ってしまった、ということにしたらしい。
次の日、私は嫌な気分でいっぱいだったが、同時に嫌な予感もしたので探偵社へ行くことにした(?)。
蒐「おはようございます」
賢治「おh、・・・・」
賢治君との関係を隠すために言葉はあまり交わさないようにしている。
太宰「・・・」
いつもは挨拶をくれる太宰さんが黙ったままだった。不思議に思いながらも、私は自分の席に着き、仕事を始めた。
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