「じゃあ、、、今日はここまでっ!皆お疲れ様~。」
うーん、と背伸びして強ばったからだ伸ばしている彼、大森元貴は俺の彼女。
ここはあるビルの会議室。今日は打ち合わせの日。
メンバーがそれぞれ仕事で昼間に集まれず、夜20時から打ち合わせが始まった。
今は22時。思ったより長引いて皆疲れ果てている。
荷物をまとめ、帰る準備をしていると元貴に話しかけられた。
「ねぇ、明日仕事ないよね?」
「うん、ないけど、、、なんで?」
「今日泊まっていい?」
いたずらっぽい笑みを浮かばせ聞いてくる。
「え、今日!?」
「うん、今日。ありがとー決まりねー。」
まだ答えていないのに自己解決してもう用がないと言わんばかりにその場から去っていく。
別にいいけど、、、。それにしても急だ。
「あ、ついでに一緒に帰ろー。」
振り向いて言われる。
毎日一緒に帰ってるくせに。そんなことを考えながら快く承諾する。
「元貴若井んち泊まるの?いいねぇ」
「でしょでしょー、涼ちゃんは大人しく家に帰ってねー。」
そんな涼ちゃんと元貴の会話が聞こえてくる。
「あ、じゃあ俺先あがるわ。二人共お疲れ様~。」
涼ちゃんは俺達が付き合っているのに気づいているのか気づいていないのか。
なんとなく察してそうだなと思いつつ。
「涼ちゃんばいばーい。」
「お疲れ~。」
二人で涼ちゃんが帰るのを見守る。
元貴の鼻歌が聞こえる。よっぽどご機嫌なのだろうか。
急に元貴のスマホから着信音が鳴る。
「若井ー、電話来ちゃった。ちょっと待ってて~。」
言い残して部屋から出る。
ほんと自由な人だな…一人取り残された会議室で呟く。
数分後。元貴が戻ってきた。
「若井お待たせ~!」
笑顔で駆け寄ってくる。
「ん、帰ろー。」
ビルをでる。今は12月で夜は空気が冷たくて寒い。
「うわっ。さむ…。」
白い息を吐きながら元貴が言う。
「もうすっかり冬だね。」
当たり前のように恋人繋ぎをする。
元貴の手は冷たくて。でも僅かに温もりを感じる。
「若井の手、あったか…」
言うと同時に手にきゅっと力を込めてくる。
なんだ、可愛いコトしてくれるじゃん。
自然と口元が緩む。
「あ、若井ニヤニヤしてるぅー。エロいこと考えてる?」
煽られるけど気にしない。
「てか今日泊まるってことはシていいんだよね?」
「もちろん、そのつもりで誘ったんじゃんか。」
当たり前のように平然と元貴が言う。
「へ、自分から誘ったこと後悔しないでね」
俺も煽り返す。
「うん、楽しみ~。」
ダメだ。元貴には煽りが通じない。
繋いだ手の先から徐々に体が温まっていくのを感じる。
どこか落ち着かなくて早足で家へと向かった。
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