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※実際の団体、個人とは無関係です。
※捏造した設定が多く含まれます 。
※※曲パロです※※
※※死ネタです※※
るむふぉ‐元ネタ:君の夜をくれ/古川本舗 様
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ずっと貴方と話がしたいと思っていた。
あの夜のこと。
決して、哀しい話ではない。
ただ今、話すということになると寂しくなる。
でも、それでもいい。
明け方の陽が差し込む夜の事務所、依頼主から押し付けられるように頂いたレコードプレイヤーに、実業家の友人から借りたレコード。
冷めてしまった珈琲だけが静かに私を見守っていた。
逃げ込むように、ひとくち飲み込めば目の前の彼が訝しげに私を見てきた。
「冷めてちゃ美味しくないんじゃない?アキラ。」
そう言って、新しく温かい珈琲を注ぎ直して、私の前に差し出した。
『…ありがとうございます。』
礼は言ったが、私は珈琲を飲まなかった。
『セラフ、一曲どうですか?』
彼へ手を差し出すと、どうしてだとでも言いたげな顔で手を取った。
音楽が止まった。
ハッとして、閉じかけた瞼を開けると、冷めたままの珈琲だけが私を見ていた。
風楽から借りたままだったレコードを、再びレコードにかけようと立ち上がると涙が溢れた。
あの夜、彼は、セラフは私を殺めそこねた。 そのせいか組織に消された、という話を聞いた。
実際、その後セラフを見ていない。
私は結局、一人で足抜けをした。そして、何でも請け負う事務所を開けた。
事務所の窓から街を見る。
明け方の太陽に照らされた街、街頭が影を柔らかく照らしている。
眠れなかった昨日よりも、街は暖かくて、優しい気がした。
『なんだか、眠いな……』
今日はよく眠れるかもしれない。
あの夜を、貴方との夜を全てもらってしまえばよかった。