「!?、ゆう…?悠!?起きたの?!」
僕が周りの慌ただしい音で目が覚めると、そこは見慣れない天井だった。看護師さんたちがいっぱいきて、いろいろみてもらった後、診察室へ案内された。
「……、非常に言いづらいのですが、お子さんは記憶の1部を失っています。」
医者から告げられた言葉に母は絶句していた。医者はこれからの様子を見ていろいろ判断するとのことだった。
病室のベッドへ戻り、母から色んな話を聞いた。
とりあえず心の整理が着くまでは1人にしてもらうことにした。
いろんなことを考えていると眠気が襲ってきた。
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「んん…、、ん」
「お!、起きた?」
僕が起きると横には男の子がいた。同じ歳ぐらいの、黒髪で涙ボクロがあるとても綺麗な目をした男の子だ。
「お前、記憶無くしたってまじ?」
お友達、かな……?
「えっと、うん。 君は?僕の友達なのかな?」
「ん〜……。」少し黙ったあと彼は続けて 「覚えてねーの、なんかムカつくから教えてやんね〜笑」とわざとらしく言った。
「……どこまで聞いたん?記憶失う前のこと」僕は彼に聞かれ、自分の頭を整理するように順を追って話始めた。
…僕の名前は霧夜悠、3人家族。……恋人がいて、事故に遭って僕を庇った恋人だけが死んでしまった。
「……、!」そこまで話すと咄嗟に彼の方を見た。
「なに、なんか思い出した? 」 彼は優しく口を緩ませてそう言った
「ううん、」
「…じゃあ、なんで泣いてんの」
あれ、おかしい、彼のことは何も覚えていないのに。
「わかんない、わかんないけど、」 僕は涙を流しながらそう言った
「忘れちゃいけない気がする」
僕は訳もわからず泣いていた。彼はその間ずっと困ったように笑って、僕の傍にいてくれた。
すると、彼が喋り始めた
「……本当なら、忘れられてもこれから思い出作れたんだけどなぁ、、」 少し、彼の目が潤んでいた
「俺のこと、覚えてて欲しかったなぁ、。」
ーあぁやっぱりこの人は、僕の大切な人なんだ
だって、なんでか分からないのに涙が止まらなくなる。
「名前、なんて言うの?」 もっと彼を知りたかった
「嘉李尚登【かり なおと】」 潤んでいる目を擦りながら彼は言った
「尚登、僕もっと尚登のこと知りたい、!」
「……、、ごめん、悠。 もう、その願いは叶えられない、。」
「え、?」
「最後に悠が見れて、俺と話してくれてよかった。悠はもっと、俺の分まで長生きしろよ、!悠ならきっと、俺がいなくても大丈夫だから」
じゃあな!
尚登は涙でぐしゃぐしゃになった笑顔でそう言って、カーテンを閉めた。
どう言う意味だったのかな。あの言葉は。尚登は僕にとってなんだったんだろう。
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その日から尚登は僕に会いに来なくなった
恋人のことも気になったので、母に恋人の写真を見せて欲しいとお願いした。
その写真で僕とピースをして笑顔で立っていたのは、 尚登だった。
尚登は恋人だった。
あぁそうか、そうだったんだ……会いに来なくなっていたんじゃなくて、会いに来れなかったんだ……、
写真を見ながら僕は泣いていた。尚登と付き合っていた頃の記憶はないし、お互いがどんな風に呼びあっていたのかも、なんにも覚えていないけど。
ただただ、尚登に会いたくて仕方がなかった。
「…なおと、、…」
この世にもう居ないことが、信じられなかった
もっともっと尚登のこと、知りたかった…。
また会えたときには、ありがとうって伝えるから。君の分まで生きるから。 記憶を失った僕でも愛してくれるなら。もう少しだけ、そっちで待ってて。
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