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「キャメさーん?」
聞き慣れた、落ち着く声が俺の名前を呼んでいる。
「おーーい」
ばっ、と勢いよく起き上がると、そこには彼がいた。
「りぃ………ちょ…くん………ッ?」
「うん、おれだよ。」
いい歳をして、久しぶりに号泣した。
彼に縋るように抱きしめて。
ここがどこかも、あれからどうなったかも分からないけれど、どうでもいい。
彼が、俺のそばに居てくれればそれで――
「…キャメさん。」
彼が頭を撫でながら、俺の名前を呼ぶ。
「なぁに?りぃちょくん。」
「キャメさんはさ、ここにいちゃだめなんだよ。」
「え…?」
「早く起きなきゃ、みんな心配してるよ。」
そんな事言わないで。だって、起きたら……
「起きたら、もう…君に会えない……」
「………おれさ、まぬけだから…刺されちゃったんだ笑」
彼は恥ずかしそうに、困ったように頬をかく。
「だから、まぬけなおれのかわりにいっぱい生きて、でっかくなって、それから逢いに来て欲しい。」
「きっと、また逢えるから。」
「だから、生きて……」
ああ、そりゃあ夢だもんな。しょうがない。
本物のりぃちょくんなら、もっと俺にワガママ言って、俺を揺らがせて、引き止めるはずだ。
…俺は、こう言われるのを望んでいたのか。
『生きたい』って、心のどこかで思っていたのか。
りぃちょくんのいない世界では生きていけない、と思っていたのに…。
本当は―――
「おきて、キャメさん」
言わせないで欲しかった。
彼の口から『生きて欲しい』だなんて。
そんな言葉…呪いと同じだよ、