🍏で、初のノベルです。
⚠死ネタ
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“若井滉斗”
俺にとって、特別な人の名前だ。
中学からの仲で、俺がしん どい時にはよく話を聞いてくれたし、毎年涼ちゃんと2人でわざわざ俺の家に誕生日を祝いに来てくれる。
いつからだろう、若井が好きだと感じたのは。
何気なく、いつも通り話していると、1つの仕草にどきっ、としてしまうようになって。
それを涼ちゃんに話すと、
「それ、若井の事が好きなんじゃない?」って。
その夜、そのことについて考えて、全然寝れなかった。
いつも通り話している時、俺だけどきどきしてしまっているように感じて、少し悲しさを覚えたり。
そんな事を感じて、改めて
「俺、若井のこと好きなんだ……」
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その日はいつも通り、朝からレコーディングがあって。
眠たいなぁとか、今日はお昼の差し入れ何かなぁとか…そんなことを考えながらレコーディングスタジオに向かっていたんだ。
あんなこと、知らせれると思ってなかったから_________。
レコーディングスタジオに着くと、俺以外は全員来ていた。
スタッフさんの様子がおかしい。
なんというか…凄く慌てている。
心配になってきたので、「どうしましたか…?」と声をかけた。
「若井さんが、車に跳ねられて……、! 」
「………は、?」
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スタッフさんと涼ちゃんと一緒に、すぐに病院に向かった。
お医者さんによると、
「信号無視の車に跳ねられ、危険な状態です。」
とのこと。
今は手術の最中だ。
俺と涼ちゃんは、ただただ祈ることしか出来ず、手術中と光っているランプの前で、手を組んで祈る。
ぱっ、とランプが消えた。
手術をしていたお医者さんが出てくる。
「最善を尽くしましたが………」
「息を引き取られました。」
1番、聞きたくなかった結果だった。
ぽろぽろと涙が零れる。
1度流れてくると止められず、ぽたっ、とズボンに染みを作っていく。
「っ…なん、でぇ…ひぐっ、泣」
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若井が亡くなってから、2ヶ月が経った。
お葬式は身内やミセスに関わっているメンバーやスタッフさんだけで行われた。
俺はまだ気持ちの整理がつかず、なんとか忘れようとしている。
あんなに仲良かったのに
あんなに好きだったのに…
そんな思いがずっと頭によぎって、寝れない。
ここ最近、部屋にこもっている。
ある日、涼ちゃんが家に来た。
「……寝れない、?」
「……うん」
「………………」
しばらく沈黙が続く。
「…あのね、今日、渡したいものがあってさ、」
そう言って、持ってきたかばんを探る。
そっと差し出された手には、綺麗な花がのっている。
「…なぁに?これ」
「…あ、お花」
「そうそう、若井の部屋に置いてあったの」
「これが赤のチューリップで…これは?」
「黄色のヒヤシンスだよ」
きっと、この花言葉がどうのこうの…とかなのかな、?
「……花言葉は、?」
「………」
涼ちゃんが控えめにきゅっと下唇を噛む。
「黄色のヒヤシンスは、あなたとなら幸せ」
「赤のチューリップは……12本あるでしょ?これ」
「……うん」
少し泣きそうな声で答える。
「………恋人になってください、」
涙が流れる
下唇がわなわなと震える
嗚咽がこぼれる
「ん゙ぁ…ふぇ、うわぁ゙ぁ゙っ、!泣 」
涙は、あの時にとっくに枯れたと思っていたのに。
どんどん溢れてくる。
若井、なんでこんな遅いのさ。
もっと早く言ってくれよ…、
返事なんて、決まってたのに。
「俺もっ、若井が好き、!泣」
𝑭𝒊𝒏.
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(´°̥̥̥ω°̥̥̥`) .˚‧º·(°இωஇ°)‧º·˚.