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菊の照れた顔が、好きだ。
サランハンダ、と呟いた時に、みるみる紅く染まる頬。戸惑いながらも、嬉々とした感情を滲ませていく二つの瞳。可愛くて、綺麗で、好きだ。
菊は元の内気な性格も相まって、自分の好意を相手に直接伝えることが大の苦手だ。 でも、俺には分かる。恥ずかしがって言葉を謹んでしまう分、こうして表情に現れるのだということを。
俺は徐ろに手を伸ばし、その端正な顔に、指先でそっと触れる。菊は驚きに目を見開きつつも、それを受け入れるかのように、ゆっくりと瞼を閉じて俯いた。
『私も、貴方を愛しています』────うん、伝わってるんだぜ、充分に。