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注意
ドス太要素がありますので地雷の方は戻ってください。
話があまり思い浮かばす、おかしな感じになっております。
昨日と同じ時間帯、二人は昨夜と同じ施設の地下室に居た。そのうちの一人の少年_太宰は椅子に座らせられており、空虚な双眼は目隠しで隠されていた。
「太宰君、少し場所を変えてもいいですか?」と、フョードルは太宰に尋ねた。
「いいよ」と云う太宰の言葉と同時にフョードルは太宰の首に睡眠薬を打ち込んだ。因みにその睡眠薬の効果は一般的なものよりも絶大だ。少し痛かったのか太宰が唸る。だが、抵抗する事はなかった。その数秒後、徐々に体の力が抜けていき太宰は眠りについた。
「ぅ、ん?」
目を覚ました太宰の視界には汚れのひとつも無い白い壁。そして床に乱雑と置かれている数々の責め道具。太宰が周りを観察しているとドアが開かれた。フョードルだ。
「嗚呼、太宰君起きましたか」
「ねぇフョードルここ何処」
「僕の家の地下室です。あぁ安心して下さいちゃんと死なせてあげますよ」
「もしかしてこれ使うの…?」
太宰は床に転がる責め道具を指さした。
「いえ、使いませんよ。その代わり使うのは___」
そう云い乍らフョードルが取り出したのは__
「注射器?」
「ええ」
見たところ何の変哲もない注射器だが何らかの薬物が入っている事が太宰には分かった。が、何が入っているのかは全くと云っていい程分からない。太宰は試しに尋ねてみる事にした。そして返って来た答えは 「何が入っていると思います?」 だった。流石に質問を質問で返すのはどうなのか?と太宰は口を尖らせた。
「冗談です。そうはぶてないで下さい。これは唯の麻酔薬です。貴方痛い事が嫌いなんでしょう?」
「覚えてたんだ」
「ええ、それは勿論」
そう云いながらフョードルは手馴れているのか手元を見ずに準備を進めている。
「そういえば太宰君、一つ聞きたい事が」
「何さフョードル、まさかとは思うけどやっぱりやめたとか云わないよね?」
「それはこちらの台詞です」
「じゃあ何さ」
「貴方が死ぬよりも前に壊れてしまった時の事です。そのまま殺してもいいのですが貴方には少し興味が湧きました。貴方を僕のものにしてもいいですか?」
「君、だいぶ偏った趣味してるね。まぁ答えとしてはどうぞお好きなようにって感じだけど」
「そうですか。ではおやすみなさい太宰君」
太宰side
ふわふわする。暗い暗い空間に僕はいる。足元を見てみると底無しに続く闇。遠くから誰かの声が聞こえる。心地よい、懐かしい声。貴方は誰?思い出したくても霧がかかったかのように思い出せない。心を満たして行くのは冷たい空虚だけ。誰か僕をここから連れ出して?
「成功したようですね」
静かな部屋に響いたのは1人の男の声だった。
その男_フョードル・ドストエフスキーは愛らしいものを見る様に頬を紅潮させ乍ら目の前に居る人物を見詰めた。その人物_太宰治は目には目隠し、片方の足と手は鎖で繋がれており身動きが取れないようにされていた。
「ねぇ太宰君。矢張り貴方が先に壊れてしまったじゃないないですか。貴方も僕を殺すと云う交換条件を僕が出して太宰君は承認した。けれども貴方、最初から僕を殺そうなんて微塵も思っていなかったでしょう?貴方だけを彼処には行かせませんよ?」
フョードルは太宰に近づくと、彼の頭を優しく撫で乍ら云った。フョードルに頭を撫でられている間も太宰からは微塵の反応も無かった。
「太宰君起きているんでしょう?無視は酷いです」
フョードルはそう云い乍ら太宰の目隠しを取った。その目隠しのしたから出てきたのは底無しの闇でこちらを見詰めてくる双眼だった。
「だれ?」
太宰はフョードルに焦点を合わせると無感情に云った。
「おはようございます太宰君。僕はフョードル・ドストエフスキーです」
「あなたはぼくをしってるの?」
「ええ、そうです」
「ぼくをたすけてくれるひと?」
「そうです。僕だけが貴方を理解する事が出来ます」
「ほんとう?」
「ええ、なんせ僕は貴方の”友人”なんですから」
フョードルは微笑み乍ら云った。刹那、太宰は目を見開き顔を歪めた。
「ゆう、じん、、?ぃ゙ッ」
「どうかしました?」
「ちがう、ちがうッ君じゃ、ない」
「なぜです」
少しずつ落ち着いてきたのか太宰は深く息を吸い凛とした声で云った。
「だって彼はそんな風に笑わない」
「そうですか」
__
「だって彼はそんな風に笑わない」
そう云い切った太宰君は僕では無い誰かを見ていました。きっと太宰の云っている”彼”の事でしょう。それにしても一度堕ちた筈の太宰君の正気を取り戻させるとは思いもしませんでした。もう一度堕としてもいいのですが、完全に壊れた彼とはお話も真面に出来ないのでやめておきましょう。取り敢えず、記憶改善系の薬と睡眠薬を太宰君に飲ませました。いつかまた会える事を願って僕は太宰君を貧民街に運びました。あとはここから去るだけ。そんな時です。後方から声が聞こえたのは。
「貴方が僕をここに連れて来たの?」
正直驚きました。あの睡眠薬は僕が去ったタイミングで効果が薄くなっていくよう僕自身が調合したものです。ですが、流石太宰君。やはり貴方は僕の予想を越えてくる。
「また会える事を期待していますよ太宰君。」
「質問の答えになってないよ。と云うか、僕だけ情報を知られているなんて酷いと思うんだけど」
「僕の名前はフョードル・ドストエフスキーです」
その後に続く言葉を読んだようなフョードルの発言に太宰は驚くことも無く「あぁ、そう」と言うだけであった。まるでここまで全てがお見通しかのように。
「それでは僕はこれで」
フョードルは前に向き直り、歩き出した。
「うん、またね」
太宰からのまたねという言葉にフョードルは少し驚きつつも振り返らずそのまま去って行った。
そして数年後彼等は又、出会う事となる。
結構最後ぐたぐたですが、これにてこの物語は終了とさせていただきます。ここまで見て下さった方々本当にありがとうございました!