ロシアちゃんは頭が弱い‼️
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一章 なっちゃんに文字を教えたの、それと
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外の世界はまるで白色の絵の具で塗り潰したみたいに真っ白で、皆んなはこの景色に怯えていたの。
けれど、私はこの景色を愛していた。それは、とっても綺麗で何時間だって見つめられる様なそんな気がしたから。皆んなが怯えた景色だろつと、私だけはこの景色を愛せる様な気がして”優越感”にひたれる気がしたから。
なっちゃんは何時も土の匂いがする。土いじりが好きなんだって言ってたけれど、それを言うなっちゃんて言ったら何時も私じゃない何処かを見てた。
そんなのどうでもいいから、私を見てよ、なんて言えなかったのは秘密だよ。
それでね、なはНаって書くのーーУкраинаって、なっちゃんの名前は書くんだよーー。
丁寧に、丁寧に教える。
細かく指摘をしながら、なっちゃんは黙々と自分の名前をノートに書き写した、まるで私もせんせみたいになった様で胸がドキドキした。
でも、文字を書くなっちゃんは少しだけ難しくて険しい表情をしていた、眉間に皺を寄せるものだから、折角可愛いのにそんな顔をしないで欲しいと思った。
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なっちゃんに文字を教えたの、そういや少し難しい表情をしたの私覚えてるんだから。
それと、その日は、確かちーちゃんと遊んだ。
名前を呼ぶとちーちゃんは顔をしかめてまるでたしなめるみたいに私を叱ったの。理不尽だって叫んだのにちーちゃんはちっとも気にしてはくれない。なんだっていうんだ!って叫びたかったけど、前にそれをして殴られたんだからしないでおくの。前にしてしまった過ちは、間違いは戻せないんだって。お兄ちゃんが言ってたよ、たしか。
私は少し腹を立てながら、改まって遊ぼうよと目的を伝えたのだった。
「ねえねえちーちゃん、ボール遊びしよう?わたし上手なんだよ、お兄ちゃんも褒めてくれたの」
声は帰らないけど、ちーちゃんは答えて私と一緒にボール遊びをしてくれた。優しいな、なんて思いながら私は早速家の中に置いてあったボールを取りに行った。
前々から言われるのだけれど、そんなに頼むなら前から準備すればって。ちーちゃんはそう言うけれど、誰かが私の為に待っていてくれるのは”ありがたい”んだって私は知ってる。
だから、ちーちゃんを待たせて玄関口の側の棚に置かれたボールに手を伸ばすの。
そういや、棚に置いてあった畳まれた黒いコートには国花(お兄ちゃんが言ってたの)が飾られてあったけどあれはなんだったんだろう。お兄ちゃんにそのコートの事、後で聞いとかなきゃ。
私がボールを投げるとちーちゃんはその腕をそれに伸ばして軽くキャッチした。私が持つと大きく見えるボールは、ちーちゃんが持つととても小さい玩具に見えた。
ちーちゃんの投げるボールはとっても強くて高い。
そういやお兄ちゃんも何か細長い物を、何処かの方向に向けて飛ばしていた気がする。体制が全く一緒で、屈みやすい様にって何か練習をしてた。
全く、遊ぶ時ぐらい気を休めてよ。
私はちーちゃんが投げたボールを綺麗に取るとこは出来なくて何度も奥の方に走っていった。その分、体力は削れていくけどとても幸せだった。
皆んな、ずっと忙しそうにするんだから私に構おうともしない。腹を立てて、むくれながらなっちゃんとるーちゃんに八つ当たりしたのは秘密だよ?
「そろそろ終わろう。ロシア。
貴方のお兄様も待ってるでしょ、私は用があるから暫く来ないよ」
ええっ、何で?
大きな声を出して、ついつい反応してしまった。ちーちゃんはね、こういう反応が嫌いらひくて何度か怒られたんだよ?
ちーちゃんは案の定五月蠅いって私の頭を叩いた、小さな声で謝り前を見るとその綺麗で真っ直ぐな後ろ姿は帰路に立とうとしていて私は口をつぐんだ。あーあ、もっと遊びたかった。
私は、大人しくボールを持っておうちに帰った。
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お兄ちゃんはいっぱいの一升瓶を床に置いて、結局呑んでるのは一杯分だけ。
お兄ちゃんは少食なの、私は取り敢えず邪魔にならない様にってテーブルの近くを避けて早々に階段を登った。
「日記を書かなきゃね」
自分の部屋に戻って、勉強机と向き合う。
そこらにあった、何も書かれてないシンプルなデザインの鉛筆はお兄ちゃんが買ってくれたんだよ。
私はそれを手に取って、ノートを開いた。
「
なっちゃんに文字を教えたの、それとちーちゃんと遊んだの。
あいかわらずお兄ちゃんは少食で、置いてあったご飯も食べず一しょう分のお酒だけ飲んで。
」
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