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その光景は、何年経った今でも鮮明に思い出せる。
地獄のようなあの光景は、生まれ変わっても忘れられないだろう。
本当に、あの様は地獄と称するに相応しかった。
目の前が赤く赤く染まっていた。
まるで、大輪の薔薇を床に散らばしたかのような。いや、薔薇というより、なんと表せばいいのだろうか。
薔薇なんかよりもっともっとおぞましい赤なのだ。
悪夢を見ているのだろうか?それにしては現実味が過ぎる。
意識が自分へと回ってくる。自分は今、なにをしているのだろう?
その答えは、目の前に広がる赤に飲み込まれていく。
頬に、ぬるっとした感覚が伝わる。いや、右半身全体に。
自分は―――その、赤い血の海に、右半身を濡らしながら横たわっているようだった。
右足の上あたりに、鈍い痛みがある。
その、痛みの中心に目をやると、痛々しく銃弾が肉を貫通していた。とどめなく血が溢れている。
焦点の合わない目で周囲を見渡すと、赤い海が広範囲に広がっていた。
血を流した人が、あちらこちらに倒れている。血を流した、で済むようなものではない。
地獄絵図のように、ぐちゃぐちゃした肉が飛び散っている死体や原型がないくらいにひしゃげた死体。
それらが、周りにあふれていた。息がある者はいないように思えた。
そして、それらの死体が、『自分の仲間たち』ということがわかる。
共に裏社会で暗躍した仲間たちが、無残な姿で転がっているのを見ると、いくら裏社会で慣れた自分でさえも怯える。
そして、自分が『ボス』と呼び慕っていた男性の死体を見つけると、恐怖は最高潮に達した。
みっともなく失禁してしまった気がするが、それよりも己の命が窮地に晒されていることが怖かった。
しかし、焦る心に反して、目はなぜか男性の死体に釘付けになっていた。いや、‟その上に”釘付けになっていた。
死体の上に、一人の女性が立っていたのだ。
ダークブルーの、深い深い藍の髪。全てを見透かすような、凛とした碧い瞳。
タン色のシャツに、紺色のロングスカート。右腕に、見せつけるように刻まれた髑髏のタトゥー。
微笑みながら、こちらをじっと見つめている。
これまでの人生で出会った女性の中の一番の美人に、人生で一番の恐怖を感じた。
彼女が自分に近づいてくる。
殺される。
そう思った瞬間、目をつぶっていた。
しかし、痛みはなかった。
もう死んだのか?と疑うが、心臓は恐怖で激しく鳴り響いていた。
目を開くと、こちらに背を向けて去っていく彼女の姿があった。
そこで、意識を失った。
その後、味方組織の救援が来て、自分だけが助かった。
復讐に燃えた。
絶対に、自分があの女を葬ると決め、何年もかけて準備を進めてきた。
しかし、彼女の情報は闇に包まれていた。ありったけの情報網を駆使しても、彼女のことについて書かれているものは全く見つからなかった。
まるで、彼女のことを知った者は皆、消されているような。
そして、何とかして手に入れた情報も、僅かなものだった。
彼女のコードネームは、《めめんともり》。二つ名は《死神》。裏社会自由組織【MMMR】のリーダーで、MMMR結成前は、別の組織に所属していたようだが、真偽は不明。
そして、復讐は決行される。
ザシュッ
「あぁ、昔救済し損ねた哀れな下っ端さんじゃないですか。まだ生きてたんですね」
紅い華が飛び散った。
その男は、拙い情報を頼りに、彼女の位置を特定し暗殺を試みた。
結果は失敗に終わり、男はあっけなく死んだ。いや、‟救済された”。
彼女の手にかかれば、多勢も無勢。
弱肉強食。裏社会の常識だ。その頂点に立つ最高捕食者―――それが、裏社会自由組織【MMMR】だ。
この本は、MMMRの抗争から日常までを記録したものである。
裏社会自由組織について
裏社会には、殺し屋、マフィア、掃除屋、闇医者などなど、多種多様な役職の人々が抗争を繰り広げている。
その中で、殺し屋だけの組織など、一つの役職の人々のみで結成された組織は『裏社会役職指定組織』という分かりにくい名前で呼ばれている。
普通は、略称である『UPDO(Underworld position designated organizationの略)』と呼ぶのが基本。
裏社会自由組織とは、〈役職が指定されておらず、性別や出自を問わない裏社会組織〉を指す。
要するに、自由に結成された組織。地下秘密結社なども含まれ、裏社会の組織の大半は自由組織である。
略称は『UFO(Underworld freedom organizationの略)』だが、どうしても未確認飛行物体の『UFO』と被るので『裏社会自由組織』と呼ばれている。
こんにちはこんばんはおはようございます(?)
本気で皆さんに投稿しない人だと思われてるんで投稿する人ですよって言う意思表示と共に書きたかったのを書きました!
不定期だとしても投稿するんで!鬼更新になったらそれはゴメンだけど。
それではでは!
追記:Prologueで2000文字近く書いてるってこれどうなるんだろう。