今回はリクエストです。それではスタート
FREELY TOMORROW
不破湊side
「俺、お前のことが好きだ」
兄貴としてでも無い、友人としてでも無い、『好き』が、体中に駆け巡る。
昔のただ並行な好きは、もう記憶の中にしか存在しない。今、ただ目の前にいる好きになってしまった人へ、指先から溢れ出していく感覚が伝わる。
「お疲れ様でした〜」
ホストとして活動している俺が働いている店から一言言ってから出る。外は寒く、雪が降っていた。
雪なんて滅多に見れないため、中々にテンションが上がっている。が、明日はろふまおの撮影が控えている。正直かなり寒いため、体を壊さないために急いで家まで戻る。
甲斐田「……」
信号の前で青になるのを待っている彼を見つけた。話しかけようと近づくと遠くから見ても泣いていた。
よくよく見れば鼻をかなり啜っているし、所々で顔を乱雑に殴っていた。
真っ青な空に酷似した瞳にいつからか己の心を奪った本人が、そんなに綺麗な瞳なのか、空色の涙がボロボロと流れ落ちていた。
甲斐田「っ、、」
俺の存在に気づいていたらしく、こちらを見てくる。それでも逃げる仕草を見せない彼を見て来て欲しいのだと、ハッと気づいた。
走って彼の手を握れば、今にも消えてしまいそうな程に冷たい彼の手。
甲斐田「ぇ?な、、んで、握って、、るんです、か?」
涙でしゃくりあげながらも戸惑う彼の姿。そんな彼の頬に、彼と同じくらいの冷えた手を当ててこう言った。
「俺、お前のことが好きだ」
「だから、お前は雲の雨より、霽れの方が似合う」
そう自分が言い終わると風が吹き、雪とも桜とも見えるような形をした物が舞い降りてきた。
甲斐田side
不破湊「俺お前のことが好きだ」
不破湊「だから、お前は雲の雨より、霽れの方が似合う」
ずっと自分の中で隠していた。男同士なんて気持ち悪いって、周りの人の目が怖かった。何より、不破さんとの関係が壊れてしまうことが何より怖かった。でも、彼の温もりで閉じ込めて忘れさせていた想いが沸騰したお湯のように熱くなる。
今、ここで自らの口で、言葉で彼に答えなければ、今度は不破さんも一緒に苦しむことになる。彼が与えてくれたチャンスを、逃してたまるものか。
あの時、周りから冷たい視線を、言葉を夢の中で浴びせられ、朝起きると泣いてるなんてもう懲り懲りだ。
その時に感じた心の痛みも、叶わない恋と知って1人涙流す時も、今日で記憶の中でしかない幻のような存在にする。
己の心を叩き、単純だけど全てが詰まっている言葉を吐く。
「僕も、、不破さんの事が好き」
桜とも雪ともとれる物が舞い落ちたところでそう呟く。
彼が霽れさせてくれたから、明日は雲ひとつない快晴で、一緒に暖かくしてやる。
そう決意してふわさんの顔を改めてハッキリと見つめた。
先程までかなりの量が降っていて、辺りを冷たくしていた雪は嘘のように止んでいた。
コメント
3件
リクエスト受け入れていただきありがとうございます!これからも見ています!
あぁ、、、どれだけ時間がかかつたんだか。シリアスじゃ無いやつ書くのは難しい。夏休み終わるまでに投稿したかった。