暖かい風が頬を撫で、春の訪れを感じられる季節になった。
辺りには人だかりができている。その中でただ一人、商店街で立ち止まり周りを見渡している女子学生が居た。
つい先日この町に引っ越してきた私、如月凪紗である。
彼女は言った。
「ここどこ………?」
だが誰かに道を訪ねたりはしない。尋ねることが出来ないのだ。私は極度のコミュ症なのである。
「君、今暇?俺らと遊ばない?w」
急に声をかけられた
ナンパ…なのか…?私なんかのことを…?
というか、遊びに行くってどこにだろう?とりあえず断らないと…
「す、すみませ…」
ナンパしてきたチャラ男たちは口元を緩めた
「君よく見たらめちゃくちゃ可愛いじゃーん!まずどこから行く?」
「え、あ、あの…」
駄目だ、こいつら全然聞く耳を持たない。私が何を言っても無駄なようだ。
「そこのお兄さんたち、僕の彼女に何してるんですか?」
そう言ったのは私と年が近そうな男子である。メガネをかけているが、メガネ越しでもわかるくらいのかなりの美形だ。
私は状況が全く理解できていなかった
私に彼氏などいるはずがない。こんなイケメンと付き合うことができるはず無い
もしや、彼氏のふりをして、チャラ男たちを遠ざけてくれようとしているのだろうか
「チッ…彼氏持ちかよ、外れだな…」
チャラ男たちは後味悪そうにその場を後にした。
「あ、ちょっと」
呼び止めるように、メガネの男子はチャラ男たちに声をかけた
「…際…彼女……なよ?………。もし……たら、潰…ぞ?」
彼はチャラ男の耳元で何かを囁いていた。
チャラ男たちは青ざめてその場から逃げるように立ち去った。
「君、大丈夫だった?怖かったでしょ」
「あ、その…正直…すごく怖かったです…助けてくださって…ありがとうございました…」
「全然いいよ、気にしないで?そういえば君の名前は?」
「如月…凪紗です」
「凪紗…か…。今度からは変な輩に絡まれないように気をつけるんだよ?可愛いんだから」
彼は少し照れながらそう言った
「それじゃ、僕はこれで。またどっかで会えたらいいね」
これが、私と彼との出会いだった
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